米ドル/円が140.93円の年初来高値まで上昇した直後に、財務省・日銀・金融庁が3者臨時会合を開催
今週、5月30日(火)、財務省・日銀・金融庁が3者臨時会合を開催しました。
会合終了後、神田財務官は「米国の債務上限問題や銀行の経営破綻の問題など、さまざまなリスク要因が指摘されており、金融為替市場の動向や、わが国経済への影響を十分注視する必要があるという認識を共有した」と話していますが、米ドル/円がちょうど140.93円の年初来高値まで米ドル高・円安が進んだ直後でしたので、本当は円安について協議が行われたということだと思います。
(出所:TradingView)
その為替相場に関しては、「為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であり、過度の変動は好ましくない。必要があれば適切に対応していく考えに変わりない」と、いつもの決まり文句でしたが、それでも警戒感が広がってきています。
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マーケットが介入を警戒するのは、昨年の経緯を考えれば当然。円売りポジションの積み上げが難しくなってきた
というのは、昨年(2022年)にも同じような動きがあったからです。
昨年は3月から米ドル高・円安の流れが鮮明になっていましたが、まず、6月10日(金)にこの3者臨時会合が初めて行われました。
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このときはそれで終わったのですが、その後円安が進むと、9月8日(木)に再び3者会合が開催され、9月22日(木)に最初の米ドル売り・円買い介入が実施されました。
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⇒米ドル/円にまだまだ上昇の余地! 中期的に150円も視野に。唯一気になるのは日本政府の介入のリスク。米ドル高の流れは、米国の利上げのピークが見えるまで続く!(2022年9月22日、今井雅人)
昨年の段階でも、3者会合があったからといって、実際に介入が行われるかは懐疑的な見方が多かったのですが、政府は為替介入を決断しました。
昨年のこうした経緯があるので、マーケットが介入を警戒するのは当然のことです。
これまでのように、米ドル円やクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)で、円売りポジションを積み上げていくことが難しくなってきました。
米ドル/円はチャートを見ても、調整が入っておかしくない状況。142~145円あたりまで円安が進行すれば、いよいよ介入か
米ドル/円の日足のチャートを見ると、これまで一方的に上昇してきた結果、一目均衡表雲の上限からの乖離がかなり大きくなっています。また、MACDを見ると買われすぎ水準に達しています。
チャートは必ず過去と同じ動きとなるとは限りませんが、過去こうした状況では、調整が起きることがよくありました。
今回の3者会合をきっかけに、調整が入ってもおかしくない状況ですので、十分警戒が必要だと思います。
(出所:TradingView)
マーケットが自律的に調整してくれれば、財務省は何もしませんが、ここから円安がさらに進行してくると、いよいよ米ドル売り・円買い介入が現実味を帯びてくると思います。
その水準はスピードにもよりますが、142~145円のあたりではないかと個人的には考えています。
(出所:TradingView)
約2週間後のFOMCまでに出てくる経済指標が重要に。利上げ継続となれば、いったん調整で落ちた米ドル/円も再び上昇していく可能性
さて、今日から6月に入りましたが、注目のFOMC(米連邦公開市場委員会)が約2週間後に迫ってきました。
CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のFFレート(※)先物市場を見ると、現時点では金利据え置き予想が主流ですが、0.25%利上げの確率がまだ35%程度ありますので、注目度が高まっています。
(※編集部注:「FFレート」とは、フェデラルファンド金利のことで、FF金利とも呼ばれる。米国の政策金利)
FOMCのメンバーの中には、正直迷っている人がかなりいると思います。
そういう意味では、これからFOMCまでに出てくる指標が重要になってきます。
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昨日(5月31日)発表された米雇用動態調査求人件数は、1010.3万件と予想を大きく上回る強い結果となりました。
明日、6月2日(金)に発表される米雇用統計、そして米CPI(消費者物価指数)、米PPI(卸売物価指数)などの結果に注目が集まります。
利上げ継続ということになれば、いったん調整で落ちた米ドル/円も再び上昇していく可能性が高まります。指標の結果には注目をしておきます。
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目先は米ドル/円、クロス円のショート。米ドル/円は最大137円台程度を視野に。
トレードとしては、目先は調整の円買いが起きやすいという認識で米ドル/円、クロス円のショート主体にやっています。
米ドル/円は最大137円台程度を視野に入れています。
(出所:TradingView)
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