為替介入への警戒感が長続きせず、元の円安トレンドに戻る時期に入ってきた
先週のコラムで、為替介入の警戒警報発令というお話をしました。改めて、確認しておきます。
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為替介入が行われる環境というのは、トレンドがその逆方向に向いているときです。
つまり、円買い介入が検討、あるいは実施されるときは、世の中の流れが円安に向かっているときです。ですから、
(1)まず、警戒感から短期的に円高になる。
(2)それでも警戒感は長続きせず、元の円安トレンドに戻る。
(3)そして、円安が進み過ぎたときに、円買い介入が行われる。
こういう順番でやってきます。現在は(2)の段階に入っています。
ですから、今後はしばらく円安に向かう時期に入ってきたという認識でいます。
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RBAが0.25%利上げし、次回の0.25%利上げも60%程度織り込んでいる
さらに、その流れを加速することが、今週(6月5日~)2つ起きました。
まず、6月6日の火曜日です。
RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])が政策会合を開き、政策金利を0.25%引き上げて4.1%に決定しました。
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市場の織り込み方を見ると、7月の政策会合でも0.25%のさらなる利上げを60%程度織り込んでいます。
RBAはいったん利上げを停止していましたが、4月分のCPI(消費者物価指数)が前年同月比で6.8%と、3月の6.3%から上昇したことを受けて、インフレを抑えるためにもう一度利上げを再開したということです。
BOCも0.25%利上げ。コモンウェルスの国の金融政策動向が、世界全体の相場をリードしようとしている
また、翌7日の水曜日には、BOC(カナダ銀行[カナダの中央銀行])が政策会合を開き、こちらも政策金利を0.25%引き上げて4.75%にすることを決定しました。
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カナダでは、CPIがピークの8%台から順調に低下してきていたことから、BOCも金利を据え置いていましたが、4月のCPIが前年同月比で4.4%となり、前月の4.1%から上昇したことを受けて、3会合ぶりに利上げを決定したという経緯です。
この2つの国は、偶然にも旧大英帝国、現在のコモンウェルス国家です。コモンウェルスの国の金融政策動向が、世界全体の相場をリードしようとしています。
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6月FOMCは金利据え置きだが、7月以降の利上げ再開を織り込みに行く可能性が出てきた
実は、この2つの国のように、継続的な利上げによってインフレが徐々に低下してきたにもかかわらず、ここにきて足踏み、あるいは反転の傾向にある国が他にもあります。
その典型的な国が米国です。米国のCPIは3月が5.0%、4月は4.9%と、ここにきて低下のスピードが急速に鈍化しています。
これが、利上げ継続、あるいはいったん据え置きの後、利上げ再開という観測を広げています。
おそらく、6月のFOMCは金利据え置きになると思いますが、マーケットは7月以降の利上げ再開を織り込みにいく可能性がでてきました。
金利差を背景に円が弱くなる可能性が一番高い。為替介入のXデーは、米ドル/円が145円近くまで上昇したあたりか
さて、このような状況になってくると、一番可能性が高いのは、当面は金利差を背景とした相場の流れが加速するということです。
コロナ感染の影響で、一時は世界各国の政策金利がゼロ近くになっていましたが、その後、日本を除く各国は継続的な利上げを実施し、円と他の通貨の金利差はどんどん拡大をしてきました。
それがさらに拡大するということになると、当然円は弱くなっていきます。
それが続いてくると、いよいよ(3)の段階に入っていきます。
そのXデーは、米ドル/円が145円近くまで上昇したあたりではないかと思っています。
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(出所:TradingView)
円安が進みすぎ、円買い介入が行われるフェーズを迎えるまでは、クロス円の買いを主体に
先週(5月29日~)は(1)の段階でしたので、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の売りを中心に短期売買していましたが、今週に入って、買いに転換しています。
当面、(3)のフェーズを迎えるまでは、ユーロ/円、英ポンド/円、豪ドル/円、メキシコペソ/円などの買い(円売り)を主体にやっていきます。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 4時間足)
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