FOMCは来年6回の利下げへ
先週(12月11日~)は、なんといってもFOMC(米連邦公開市場委員会)ですね。
パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は「利下げのタイミングを協議した」「(政策金利の)現状維持が長すぎるリスクを認識している」などハト派色の強い言葉が相次ぎました。
ドットチャートでも、利下げ回数は前回の2回から3回へと増えています。
(出所:FRB)
ゴールドマン・サックスは来年(2024年)、6回の利下げを予想していますね。
FEDウォッチで市場の織り込みを見ても、6回程度となっていますね。
思い出すのが2022年の利上げ局面です。
パウエル議長はかたくなに「インフレは一時的」と繰り返していたのに、豹変して一気に利上げに動きました。
今のところ利下げ開始は来年3月との声が多いですが、今回もまた豹変するのではとの可能性も頭をよぎります。
先週発表された11月の米CPI(消費者物価指数)は3.1%(前年同月比)でした。
ターゲットの2%にはまだ距離があるのにもかかわらず、急に態度を変えたのは、FRBが何か急激なリセッション入りを示唆するようなデータを把握しているのではないか、と勘ぐる向きもあります。
利下げが始まる時期は1月、2月のデータを見ながら判断するということになってくるのでしょう。
日銀会合の注目は「粘り強く金融緩和」への反応
明日、12月19日(火)は日銀会合(日銀金融政策決定会合)の結果発表です。
「チャレンジング」発言を聞くと、遅くとも来月(2024年1月)にはなにか変更があるんだろうなと感じますね。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円は143~148円程度のレンジで押し目買い! フラッシュクラッシュ的に141.60円まで急落し、止まるべきところで止まった。26週移動平均線超えで先週の否定に(12月11日、西原宏一&大橋ひろこ)
日銀関係者が「マイナス金利解除を急ぐ必要はない」と発言したとの報道により、12月の解除の可能性は後退していますが、今回会合で動かなくとも、早期のマイナス金利解除の示唆があるのではとの予想も根強いですね。
ひとつ気になるのは、今年(2023年)の日銀会合の傾向です。
日銀前に政策変更への期待が高まって米ドル/円が下がるものの、実際に発表されると上がっていくという傾向がありました。
常套句となっている「粘り強く金融緩和を続けていく」との発言が今回もあるでしょうから、それにどのくらい反応するかでしょうね。日銀会合をきっかけにリバウンドする可能性も否定できません。
ただ、チャート上では先週後半の米ドル安で、米ドル/円は200日移動平均線を明確に下回ってきました。
(出所:TradingView)
米ドル/円は127円割れも視野に入るか
チャート的には上攻めが厳しくなっています。
米ドル/円のIMM通貨先物ポジションは、11月14日(火)時点で13万枚ほどあった円ショートが、12月12日(火)時点で8万枚ほどへと大きく減りました。
とはいえ、年初の127円台へと落ちた場面では、円ショートが2万枚まで減りましたから、ポジション整理が終わったと判断するのは早計かもしれません。
(詳しくはこちら → IMM通貨先物ポジション/経済指標・政策金利)
来年6回の利下げということなら、米ドルも下げるのでしょう。
今年の米金利上昇で売られていた通貨は逆に買われるのでしょうし、そのひとつが円ということにもなるのでしょう。
今年は米利下げや日銀の金融政策正常化への期待だけで127円まで下落しました。
今回は期待ではなく、近い将来、実際に動き出すわけですから、下方向の可能性は高そうですね。
日経平均の弱さは政治の混乱が原因か
日経平均の弱さも気になりますね。
NYダウは3日連続で史上最高値を更新しているだけに、日本株の弱さが目立ちます。円高のせいもあるのでしょうか。
あるいは、政治の混乱が足を引っ張っている可能性もありますか?
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
為替というより政治の混乱ではないかと思います。
岸田内閣の支持率が20%前後まで低下し、裏金疑惑もあり不透明感は強い。外国人は政権交代リスクを嫌がりますから。
ユーロ/円は戻り売りか、日銀会合を見てから判断を
今週(12月18日~)は明日の日銀会合を通過すると大きなイベントはありません。海外勢もクリスマス休暇でしょうか?
早い人は先週末から休暇でしょうが、リスク・センシティブなディーラーは少なくとも日銀会合までは見るでしょう。リスクテイカーほど働き者なので。
今週の戦略はどう考えますか?
ユーロへのベア(弱気)な見方は変わりません。ユーロ/円の戻り売りを考えていますが、明日の日銀会合を見てからですね。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円は、146円台の26週移動平均線が決壊! FOMCは、米国の利上げキャンペーン終了を明確に示唆。ECBの連続利下げも織り込み始め、ユーロ/円は150円割れへ!(12月14日、西原宏一)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は登録後10日間無料解約可能なので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)