「相場のことは相場に聞け」という格言があるが、現実では相場が瞬間的に正しい方向にいかないことがある
「相場のことは相場に聞け」という格言があります。
これは、結局最後は相場が正しい方向に向かうということを意味しています。
しかし、現実では、相場が瞬間的に正しい方向にいかないことがあります。あるいは、相場も間違えることがあるとも言えます。
これはどういうことかと言うと、中長期的には相場が正しい方向に動くとしても、瞬間的には相場が間違った反応をしてしまうことがあるということです。
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今月に入ってからのマーケットの不可思議な反応は、「マーケットが短期的に間違える」ことによる「ゆがみ」だった
今年(2024年)に入ってからの相場は、まさにそうした典型ではなかったかと思います。
今月(1月)発表された米国の雇用統計やCPI(消費者物価指数)などの重要指標は、市場予想を上回る結果が続きました。
ところが、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のFFレート(※)先物を見ると、3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)での利下げを8割近く織り込んでいる状況になりました。
(※編集部注:「FFレート」とは、フェデラルファンド金利のことで、FF金利とも呼ばれる。米国の政策金利)
これだけいい結果が続いているにも関わらず、こんなに利下げを織り込んでいることに、正直違和感を持っていました。ひょっとすると、自分が知らないことがあるのかとも思いました。
それぐらいマーケットは利下げに前のめりになっていたわけです。
ところが、その後、利下げ期待は後退し、現時点では3月の利下げ確率は6割を切ってきています。
結局、利下げ期待が行き過ぎていたということです。
こうした動きは最終的には正しい方向に落ち着くのですが、瞬間的にはマーケットは間違った方向に反応してしまったということです。
これを私は「ゆがみ」と言っています。
こうしたゆがみを見つけられれば、その後の修正をある程度予測することが可能になります。
今月に入ってからのマーケットの反応は不可思議だとお話ししてきましたが、結果的には、それは「マーケットが短期的に間違える」ことによる「ゆがみ」だったということです。
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雇用環境が好調で、インフレの抑制も足踏みしているなか、利下げを決定するのはまずありえない
そこで、3月のFOMCで利下げはあるのかという点について考えてみます。
結論を言えば、その可能性はかなり低いということです。
今年最初のFOMCは1月31日(水)で、次が3月のFOMCになります。1月31日(水)のFOMCでは金利の据え置きは決定的です。
そして、3月のFOMCですが、やはり今年発表されたアメリカの経済指標の結果を見ると、とても3月に利下げをするような状況ではありません。
このコラムでも何度も指摘していますが、FOMCのメンバーは、インフレがどの程度抑制されているかを確認すると同時に、雇用環境がどの程度悪化してきたかに注目しています。
雇用環境が悪化し、賃金の伸びが鈍化してこないと、インフレは中期的に安定してこないからです。
直近の雇用統計を見ると、失業率は3.7%と低位で安定しており、非農業部門就業者数も20万人を超えて好調です。さらに、平均時給が年率で4%を超えているという状況は、今後インフレが高止まりするリスクを暗示しています。
CPIも前月より上昇しており、インフレの抑制は足踏みをしているように見えます。
この状態で利下げを決定するというのは、まずありえないのではないでしょうか?
もちろん、来月(2月)の経済指標が一転してかなり悪化を見せれば、利下げの可能性も高まりますが、現時点での材料では、利下げの可能性はかなり低いと考えています。
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米ドル/円はここから上昇が緩やかになると想定し、当面の目標を150円程度に。クロス円にも上昇余地
さて、今回も利下げ期待の先走りの反動で、金利が上がってくると、米ドルも上昇してきました。
それでも、まだなお、市場は3月の利下げを5割以上織り込んでいます。つまり、まだ修正は道半ばであるかもしれないということです。
ただ、米ドル/円は年初から7円程度上昇してきており、今回の上げは8合目あたりまで来ているように見えます。
ここからの上昇は緩やかになることを想定し、当面の目標を150円程度にしておきます。
(出所:TradingView)
また、メキシコペソ/円などのクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)もまだ上昇の余地はあると考えています。円売りの方針を維持します。
(出所:TradingView)
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