マイナス金利解除は完全に織り込まれたか
明日、3月19日(火)の日銀会合(日銀金融政策決定会合)に向けて、毎日のように報道が続いています。
「マイナス金利解除へ」との報道が出ても、米ドル/円は下がらなくなりましたし、もう完全に織り込んだのでしょうか?
マイナス金利の解除については織り込みましたが、ETF(上場投資信託)買い入れの停止やYCC(イールドカーブコントロール)撤廃まで織り込んだのかどうか。
それはまだ不明確だと考えていましたが、今日(3月18日)の日経平均は一時900円高(※)。日銀会合前日でも買う気まんまんですから、もはや関係ないのでしょう。
(※編集部注:日経平均は本コラム執筆後に一時1000円超高となった)
(出所:TradingView)
米ドル/円も149円台に戻しました。「バイ・ザ・ファクト」的な買いが入っているのでしょうか?
ファクトというからには結果が出ていないとおかしいのですが、織り込んでしまったということでしょうね。
投機筋はオプションを組んで下攻めを狙っていましたが、利食いが思ったよりも早かったという印象です。
(出所:TradingView)
サプライズがあるとすればFOMCか
まだ4月説を支持する人もいますし、マイナス金利解除の発表の瞬間、円高になる可能性もありますね。
4月になったとしても、3月か4月かで大きな違いはありませんし、ここから先にどんどん利上げするわけでもない。
大きな円高、株売りになる材料かというとそんな感じはありません。
先週(3月11日~)は米金利も上がりました。
先週発表された米CPI(消費者物価指数)や米PPI(卸売物価指数)は強い数字でしたし、サプライズがあるとしたら、日銀会合より3月20日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)かもしれません。
以前から言われていたことですが、インフレ目標である2%が見えるくらいまでに落ち着いたものの、「ラストワンマイル」が本当に遠いですね。
2月の米CPIは前年比+3.2%。前月比+0.4%。この強い数字を見ると、今回のFOMCでドットチャートが上がるのではと見る向きもあるでしょうね。
物価は強いですが、雇用や景気の指標は弱い。ハト派的な会合になるのか、タカ派的な会合になるか、どちらの可能性もあります。
いずれにせよ、今週最大のイベントは日銀会合かと思っていましたが、FOMCのほうが重要かもしれません。
スイス、豪州、メキシコで利下げの可能性
今週は中銀ウィークで、その他にも豪州(オーストラリア)や英国、スイスなどの金融政策が発表されます。
豪州は据え置きがコンセンサスですが、鉄鉱石が下落していることもあり、利下げの織り込みもわずかにあります。個人的には据え置きではないかなと。
スイスもコンセンサスは据え置きですが、利下げするのではないかと期待しています。
メキシコ中銀も利下げするかもしれませんね。メキシコペソを持っている人は多いでしょうから、慌てないよう要注意です。
ETFでも買われ始めたゴールドは底堅い
コモディティはいかがですか。ゴールドにはETFの資金が入っているようですね。
これまで中央銀行が支える相場でしたが、3月に入って先物、そしてETFが動き出しています。
米金利を下がる方向に見ている人がゴールドへ逃げているのか、あるいは地政学リスクを気にしているのかはわかりませんが、ETFの資金ということは年金筋まで動き出したということでもありますから、そんなに下がらないのかもしれません。
(出所:TradingView)
売り通貨はスイスフラン、円、買い通貨は米ドル
今年(2024年)の主要通貨は対米ドルで円がもっとも弱く、次に弱いのがスイスフラン。スイスフランへの売り目線は変わりませんし、円についても日銀会合の織り込みが終わったとなれば売りなのでしょう。
一方で、買い通貨は米ドルかユーロ。そんな組み立て方をするのがよいと思います。
ただ、ユーロは動かないですね。ユーロ主体で動いているイメージがありません。
ユーロ/米ドルは1.05ドルから1.10ドルを中心としたレンジが1年以上も続いています。ネガティブな材料も多いのですが、下がりません。
(出所:TradingView)
ゴールドがあれだけ上がっているなら、ユーロがもっと買われてもいいのですが、ついていけないですし……。
ユーロ/スイスフランやユーロ/円に対応して、動いているだけのようにも見えますね。
そうなると、米ドル/円か米ドル/スイスフランの押し目買いがいいのでしょう。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
(構成/ミドルマン・高城泰)
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は登録後10日間無料解約可能なので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)