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 金曜日の日銀会合の後のユーロ円のショートカバーは激しかった。158円台から161円台まで巻き戻されたのである。９月中に155円台まで差し込んでいたことを考えると、かなりな戻しと言わざるをえない。たしかに米国株も史上最高値を更新する日が続いているし、日本株も堅調だ。それゆえのリスクオンも貢献している。

 そのユーロ円が昨日の欧州序盤では大幅に下げた。161円台から159円割れ寸前まで突っ込んだのである。ユーロドルも珍しくそれなりに落ちた。この局面の円買いでドル円も144円台に乗せていたものが、143円の前半まで押し込まれた。植田総裁の真意がわからないから、このような気迷いの動きになるのだろう。

 さて、その植田総裁が気にかけなければいけないというアメリカの株価動向を見ていこう。米国株の代表選手はS&P指数である。コロナ直前の史上最高値は3393ポイントであった。それがコロナ禍で2191まで下落。３分の１押しである。

 そこからワクチン開発や大統領選もあって、4818まで上がった。大底から２倍以上の上げである。その後にウクライナ紛争で3712まで落ち、先週には5733まで史上最高値を更新してきている。

 この状態でソフトランディングしたいというのであれば、株価はどうなることを期待しているのか。ランディングしていないものに対して利下げだけを先行させて、副作用のほうが大きいのではないだろうか。

 日銀の当局者としての立場としては、利上げを急ぎたいところだろう。それは植田総裁の発言からもわかる。だから米経済をもっと見たいというのは、何をしたいのか不透明さを増すだけに見えてしまうのである。

日本時間 15時30分

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