日経平均は大納会で4万円に届かず。トヨタROE20%宣言が日本株にとって意義深いものになる
叶内文子(以下、MC叶内) 明けましておめでとうございます。
西原宏一(以下、トレーダー西原) 明けましておめでとうございます。
今月(1月)はトランプ大統領の就任式を20日に控え、いよいよ、トランプ2.0が始まります。本年は為替相場が中心となりダイナミックに動くことを期待しています。
では、叶内さん、まず昨年(2024年)そして年末の株の振り返りからお願いします。
MC叶内 2024年の米国株は、S&P500で23%超の上昇、過去最高値更新と好調でした。10%以上の下落といった大きな調整がなかったのは驚くべきことでしょう。
2024年初めには米国はリセッション(景気後退)入りするとの不安な声が多かったにも関わらず、堅調さを維持できたことはサプライズです。しかも、2023年と2年連続の2割超の上昇になります。
NYダウは12%強、ナスダック総合指数(以下、ナスダック)も28%超の上げで終えました。株価上昇の背景としては米国経済が思いのほか堅調だったこと、FRB(米連邦準備制度理事会)の利下げ、AIブームなどがあげられます。
年末年始は、これまで上昇してきたビックテックなどが利益確定の売りに押される一方、景気敏感株が買われるような動きがあり、NYダウが4日続落、ナスダックとS&P500が5日続落しましたが、1月3日(金)は反発しています。半導体関連などに買いが入りました。
ただ、1週間では小幅マイナス、サンタクロース・ラリー(年末の5営業日と年始の2営業日の株価上昇)もありませんでした。市場参加者が戻ってくる6日(月)からが本番でしょうか。今週(1月6日~)は重要指標も目白押しです。
日本株は12月30日(月)に大納会を迎えました。長い休みに備えてポジションを落とした向きもあるとみられ反落し、前営業日につけた4万円の大台で終えることはできませんでした。個別ですが、トヨタが将来的にROE20%を目指すと日経で報じられました。もしこれが本当なら、日本株全体にとっても大変意義深いものと思われます。
(出所:TradingView)
では為替市場はいかがでしたか?
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日米金利差縮小は米ドル/円を動かす決定的な要因ではない
トレーダー西原 まず昨年(2024年)の主要通貨の騰落率をチェックしましょう。
以下は、2024年の主要通貨に対する対米ドルの騰落率です。
(※筆者提供のデータを元にザイFX!編集部が作成)
2024年が終わってみれば、すべての主要通貨が米ドルに対して下落しています(米ドル上昇)。特にニュージーランドドルと日本円の下落が際立っています。
金利の動向を振り返ってみれば、2024年はマーケットの予想どおり、米国(米ドル)は1.00%利下げしています。日本(円)は金利を正常化して、0.25%利上げしています。
つまり、日米金利差は急速に縮小しました。しかし、米ドル/円は4年連続で上昇しています。。
ここからみても日米金利差の縮小は、米ドル/円を動かす決定的な要因ではないことがわかります。
12月のコラムで私が何度かご紹介させていただいているように、2025年も日米金利差縮小でドル円が下落すると予測しているエコノミストも多数います。
【※関連記事はこちら!】
⇒米ドル/円、ユーロ/米ドルとも米ドルの押し目買い継続! FOMCが2025年利下げは2回と示唆、インフレ懸念で利下げ不要論も一部台頭。米10年債利回りが底堅く推移しそう(12月19日、西原宏一)
そして、「日米金利差縮小=米ドル/円下落」という解説は顧客に説得力があるため、実際に本邦事業法人のヘッジの米ドル買いが大幅に遅れています。このことから米ドル/円の下落余地は限定的だと考えています。
トレーダー西原 一方トランプ2.0はインフレ2.0とも称され、2025年のインフレは下げ止まる可能性が高く、ドル金利も下げ止まる可能性が高い。
結果、2025年も米ドル/円は年間を通して堅調にすると想定しています。
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個人も企業もキャピタルフライトしている限り円安はなかなかおさまらない
MC叶内 昨年(2024年)話題になった家計の円売りについてはいかがですか?
トレーダー西原 家計の円売に関しては、昨年(2024年)秋ごろ、いったん沈静化したようにみえたのですが、個人の海外への投資傾向は変わらず、家計からの円売りも根強い。
これは個人のキャピタルフライトともいえます。
一方企業も海外への投資加速。
例えば、ソフトバンクグループの孫正義会長による米国への投資宣言です。
孫会長は12月16日(月)、トランプ氏とともに記者会見に臨み、今後4年間で1000億ドル(約15兆円)を投資し、10万人の雇用を創出すると宣言。
よく、海外投資が話題になりますが、見方を変えれば日本からのキャピタルフライトであるともいえます。
キャピタルフライトとは、「投資家が政治的または経済的な不安定さのために、ある国または地域から資金を急速に引き揚げる現象」といわれます。
つまり、日本が誇る大企業が日本ではなく米国に投資し、米国の雇用を創出するというわけです。
個人も企業も海外投資という名のもとにキャピタルフライトしているわけですから、これでは円安はなかなかおさまりません。
この点においても、2025年も米ドル高・円安が進むと考えます。
(出所:TradingView)
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今週は重要指標が目白押し!新NISA関連の動きは出るのか?
MC叶内 国内では1月8日(水)に消費動向調査、9日(木)に毎月勤労統計、10日(金))に家計調査など確認すべき指標が出てきます。日経平均寄与度の高いファストリの決算が9日、7&Iも同日、10日には先行指標として注目度の高い安川電機の決算発表があります。10日がSQです。
米国では7日にJOLTS求人件数、8日ADP雇用報告で10日に12月雇用統計の発表と雇用関連に注目が集まりそうです。雇用統計ではNFP(非農業部門雇用者数)が前月比16万人前後の増加と11月の22.7万人から伸び鈍化の見込み。失業率は4.2%で変わらず、平均時給も前年比+4%と前月並みを見ています。
8日にFOMC(米連邦公開市場委員会)議事要旨、国債の入札も要注意。そのほか7日にISM非製造業景況感指数も出てきます。
株価に影響がありそうなものとして、米テクノロジー見本市「CES」が7日から開催されます。6日の開幕イベントでエヌビディアのジェン・スン・フアンCEOの基調講演が行われます。
昨年(2024)年1月には、新NISA開始で成長・積み立て投資枠合計で約2兆円(証券大手10社ベース)の資金が流入したそうです。今年(2025年)もこうした動きがあるのか。米株投資で為替への影響もあるのでしょうか。
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米ドル/円は買い場探し。ユーロ/米ドルはパリティに向けてゆっくり下がりそう
トレーダー西原 叶内さんがご紹介してくれたように新NISA関連の円売期待もあり、米ドル/円は買い場探し。
ユーロ/米ドルは昨年(2024年)安値であった1.0335ドルを1ヶ月半かけて、2025年初日にブレイクに成功しました。
ただ、なかなか加速せず、時間をかけてパリティ(=1.0000ドル)に向けて下がりそう。
(出所:TradingView)
米ドル/円の押し目買い、ユーロ/米ドルの戻り売り継続でしょうか?
では、本年も楽しく為替相場に向き合っていきましょう
トレーダー西原・MC叶内 本年もよろしくお願いします。
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