米ドル/円が一時157.91円レベルまで急騰。FOMCがタカ派で終わり、日銀総裁の記者会見が極めてハト派だった
叶内文子(以下、MC叶内) 先週(12月16日~)は今年(2024年)最後の重要イベント、FOMC(米連邦公開市場委員会)と日銀会合(日銀金融政策決定会合)がありました。
西原さん、どうご覧になりましたか?
西原宏一(以下、トレーダー西原) FOMCは主要政策金利を0.25%引き下げることを決定。
注目の来年(2025年)の利下げについては、FOMC参加者の中央値で0.25%の利下げが2回実施されることが示唆されています。
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⇒米ドル/円、ユーロ/米ドルとも米ドルの押し目買い継続! FOMCが2025年利下げは2回と示唆、インフレ懸念で利下げ不要論も一部台頭。米10年債利回りが底堅く推移しそう(12月19日、西原宏一)
(出所:FRB)
来年の利下げは4回というのがコンセンサスになっていた時期もありますが、結局来年の利下げは2回。呼応して、米金利と米ドルは上昇しました。
さらに注目は、日銀総裁の記者会見。植田総裁の会見はかなりハト派でした。
今回の会見から想定できることは、来月1月の利上げは極めて困難といったところ。マーケットの期待は1月の利上げ示唆だったことから、いきなり円売りに傾斜。
FOMCがタカ派で終わり、日銀総裁の記者会見が極めてハト派だったことから、米ドル/円が一時157.91円レベルまで急騰しました。
ただ、多くの参加者が懸念したとおり、本邦当局の円安牽制コメントが出て、一気に2円反落するという展開。
(出所:TradingView)
総じてみれば、FOMCも日銀総裁の会見も米ドル買い要因として終わっており、来年に向けて米ドル需要が衰えない展開となりそうです。
先週の株式市場はいかがでしたか?
米国株式市場は軒並み下落。日経平均は「掉尾の一振」が期待されるが、実際はあったりなかったり
MC叶内 米国株式市場は軒並み下落となりました。
FOMCをタカ派的とみて木曜日(12月18日)に急落しました。NYダウは12月18日(木)まで10日続落、1974年以来のことでした。
金利上昇からハイテク大手も売りに押され、ナスダック総合指数は5週ぶりの下落です。高値警戒感もあったでしょう。
(出所:TradingView)
日経平均はこの週、768.54円安(-1.95%)の3万8701.90円で終えました。週をとおしてさえない展開。米国株につれ安したうえ、日銀会合も切り返しの材料にはなりませんでした。
個別では、日産とホンダの経営統合検討開始との報道で、関連銘柄が買われる場面がありました。
今週(12月23日~)のスケジュールを確認します。
月末近くで指標は多いですが、それほど重要なものはありません。
国内では、12月25日(水)に11月企業向けサービス価格指数、12月26日(木)に11月住宅着工件数、12月27日(金)に11月完全失業率、有効求人倍率、鉱工業生産、小売販売額、12月東京都区部CPI(消費者物価指数)などの発表があります。
東京都区部CPIコアは前年比+2.6%の予想、11月の+2.2%から一段と上昇するとみられています。政府の電気・ガス代の補助金が終了した影響です。
11月の鉱工業生産は前月比▲3.8%の予想。2ヶ月ぶりの減少が見込まれています。
海外では、12月23日(月)に12月米コンファレンスボード消費者信頼感指数、12月24日(火)に11月米耐久財受注、米新築住宅販売件数、米新規失業保険申請件数発表があります。
来週の株式市場はイベントを通過し、クリスマスも近いことで商いが薄く、値動きが荒くなることも想定されます。「餅つき相場」と言われますが、餅を搗くように上下にぺたんぺたんとあわただしいかもしれません。特に小型株、低位株が動くことが多いと言われます。
例年、魚が尾をふるように大納会に向けて上昇する「掉尾の一振」が期待されますが、実際はあったりなかったり。今年はどうでしょうか。
12月決算の企業は、権利付き最終売買日の12月26日(木)に向けて優待・配当の権利取りの動きがありそうです。
今回でこのコラムも年内終了です。来年の為替相場はいかがですか?
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2025年の米ドル/円は145~170円のレンジか。トランプ氏の政策は米ドル高に振れる要素が多く、本邦事業法人は米ドル買い遅れ
トレーダー西原 来年の1月20日(月)はトランプ米大統領の就任式があります。
ここまでのトランプトレードの注目された金融商品は、なんといってもビットコイン。
ビットコイン/円は1000万円へ向かうというのがコンセンサスだったのですが、トランプ就任前に一気に1600万円まで急騰しています。
(出所:TradingView)
それでは、為替はどうか?
ここまで米ドルの動きは鈍いのですが、来年は米ドルが注目されるのではないかと、JPモルガンが指摘しています。
JPモルガンによると、トランプ氏の米大統領返り咲きに伴い、為替取引量が増加していることに注目。
トランプ氏の通商政策により外国為替市場への注目が高まっていることが背景にあるとしています。
同社の通貨・新興市場トレーディング責任者、スティーブン・ジェフリーズ氏はインタビューで「世界貿易の力学の変化について言うと、為替は明らかに主要テーマの1つだ」と指摘。世界260人のトレーダーで構成される同氏のチームでは、取引量が米大統領選以降に高止まりしており、今後1年は活況が続くと予想している。
(出所:Bloomberg)
そして米ドルの方向性は、トランプ氏が実施しようとしている追加関税や不法移民排除、そして減税と、米ドル高に振れる要素が多い。
特に、米ドル/円は過去のコラムで触れたように、日米金利差縮小というわかりやすい予測で、本邦の事業法人が米ドルを買い遅れていることもあり、米ドル/円では他通貨ペアにも増して米ドルが底堅いと考えています。
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⇒米ドル/円は底堅い可能性が高い! FOMCと日銀会合を控えて日米金利差縮小予想が多く、思った以上に日本の企業が米ドルを買えていないことを警戒しつつ、押し目待ち!(12月16日、西原宏一&叶内文子)
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来年のレンジは145〜170円といったところでしょうか?
(出所:TradingView)
ビットコインに追随して、為替市場も大きく動いてほしいところですね。
MC叶内 本年も、当コラムをご愛読していただいてありがとうございました。
トレーダー西原 MC叶内 良い年をお迎えください。来年もよろしくお願いします。
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