トランプ次期米大統領が「緊急事態宣言」を検討!ユーロ/米ドルは
1/20日の就任式まで、パリティ割れの可能性が残る!
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
2025年1月8日(水)のNY市場では、CNNの報道が話題になりました。
トランプ氏、一律関税へ「緊急事態宣言」検討 米報道
「トランプ次期米大統領が全世界一律の輸入関税の導入に向け、就任後に「緊急事態宣言」を出すことを検討していると米CNNが8日に報じた。関税引き上げの根拠とするために緊急事態が宣言されれば、現行制度では初めてとなる。
(出所:日本経済新聞電子版)
トランプさんは米大統領選の期間中から、大統領に就任すれば全世界一律で、輸入品に10~20%の輸入関税をかけることを公約に掲げてきました。
CNNの報道によれば、トランプ氏の政権移行チームでは1977年に制定された「国際緊急経済権限法(IEEPA)」に基づく緊急事態宣言を一律関税導入の法的根拠とすることが検討されているとのこと。
先日、ワシントンポスト紙(The Washington Post)が、「一律関税に関しては一部の重要な物品のみを対象とすることを検討」と報じた内容を打ち消す報道です。
マーケットではトランプ次期米大統領が大統領就任後、全世界一律の輸入関税の導入に向けて「緊急事態宣言」を出すことを検討していると報じられたことが話題に (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
メルマガ「トレード戦略指令!」で今週、「トランプさんによる欧州に向けた関税に関する発言が飛び出すリスクがある」とコメントしましたが、まさしくそういうリスクがある、ということになります。
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もっとも、こうした報道でユーロ/米ドルは再び1.02ドル台後半まで下落したものの、現在は1.03ドル台前半まで切り返しています。
ユーロ/米ドルは上値は重いながらも、下落に加速がつかないといったところ。
(出所:TradingView)
ただ、トランプ大統領の就任式となる1月20日(月)までは、あと10日あまり。
それまで、ユーロ/米ドルのパリティ(=1.00ドル)割れの可能性は、まだ残るといったところでしょうか?
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⇒ユーロ/米ドルはパリティ(1.00ドル)が目標値か! トリプルレッドでより強固になった「トランプ2.0」は、ドイツの政治的混乱もあり、為替ではユーロ/米ドルの戻り売り(2024年11月14日、西原宏一)
(出所:TradingView)
2025年も円売りが継続!新NISA関連の「家計からの円売り」に
加え、企業も海外投資という名のもとで米国への投資を増加
マーケット関係者によれば、昨年(2024年)末は新NISA関連の口座の増加が目立ったとのこと。
新年に入り、そうした口座からの円売り、いわゆる「家計からの円売り」が、断続的にマーケットへ投入されている模様です。
2025年の米ドル/円のオープニング(始値)は、およそ157.20円。
この米ドル/円の157〜158円という水準は、昨年(2024年)の円買い・米ドル売りの為替介入を連想させ、警戒感から投機筋は、なかなか円売りできない水準。
しかし、新NISA関連からの円売りは、米ドル/円の水準に関係なくマーケットに入ってくるため、介入警戒感を横目に米ドル/円は一時、158.55円まで上昇しています。
(出所:TradingView)
また、企業も日本ではなく、米国への投資が増加しています。
以下に、ソフトバンクグループについて1月6日(月)の「FX&株 今週の作戦会議」で紹介した、内容の一部を抜粋します。
例えば、ソフトバンクグループの孫正義会長による米国への投資宣言です。
孫会長は12月16日(月)、トランプ氏とともに記者会見に臨み、今後4年間で1000億ドル(約15兆円)を投資し、10万人の雇用を創出すると宣言。
よく、海外投資が話題になりますが、見方を変えれば日本からのキャピタルフライトであるともいえます。
キャピタルフライトとは、「投資家が政治的または経済的な不安定さのために、ある国または地域から資金を急速に引き揚げる現象」といわれます。
つまり、日本が誇る大企業が日本ではなく米国に投資し、米国の雇用を創出するというわけです。
【※関連記事はこちら!】
⇒トランプ2.0始動で2025年は米ドル高必至!米ドル/円上昇は継続?日米金利差縮小はもはや下押し圧力ではなくなってしまったのか…(1月6日、西原宏一&叶内文子)
我々も、日本企業に良くなってほしいと願っているわけですが、いざ投資に関しては個人も企業も、海外投資という名のもとにキャピタルフライトしているわけですから、これではなかなか円安は治まりません。
米ドル/円は米国の利下げ観測後退に伴い、160円を固めてくると
予想。米ドル/円を中心に、米ドルの押し目買い戦略を継続!
一方、米金利(米国の金利)上昇も気になるところ。
1月8日(水)の米国債市場では、米20年債利回りが一時、5%台に乗せています。米20年債利回りが5%を上抜けるのは、2023年以来です。
(出所:TradingView)
その要因としては、トランプ次期大統領の政策が物価上昇圧力を再燃させ、財政赤字の拡大を招きかねないとの懸念がある、という報道が目立ちます。
この米金利の上昇も米ドル/円をサポートする形で、米ドル/円は底堅く推移。
当局の円安牽制コメントが上値を抑えているため、米ドル/円は当面、156~160円でもみ合うのでしょうが、米国の利下げ観測が後退するにつれ、160円を固めてくると考えています。
(出所:TradingView)
引き続き、米ドル/円を中心とした、米ドルの押し目買い戦略を継続。
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⇒2025年の米ドル/円は150〜170円か。スイスでマイナス金利が復活し、日本との金利差が逆転する可能性があるのに、スイスフラン/円は底堅く、円の弱さを改めて確認!(2024年12月26日、西原宏一)
⇒米ドル/円、ユーロ/米ドルとも米ドルの押し目買い継続!FOMCが2025年利下げは2回と示唆、インフレ懸念で利下げ不要論も一部台頭。米10年債利回りが底堅く推移しそう(2024年12月19日、西原宏一)
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