昨日の海外市場では、予想を下回る米経済指標を受けて円買い・ドル売りが入ったものの、反応は一時的で159円後半を中心に限られたレンジでの動きだった。ユーロドルは一時1.1572ドルまで上昇したが、上値も抑えられた。
本日の為替市場も、主役はイラン情勢だ。地政学リスクに振り回される構図は変わらない。また、休場だった豪州・ニュージーランド勢に加え、欧州勢が本格参入することで、ロンドン時間以降は一段と神経質な値動きが見込まれる。とりわけ、日本時間8日9時(米東部時間7日20時)に設定されたエネルギーインフラ攻撃の期限を前に、断片的な報道や要人発言が相場を揺さぶる展開は避けられないだろう。
昨日も「米国とイランが45日間の停戦を協議」との観測が流れた瞬間、一時的だがドル売りが進んだ。だが、その信頼性は高いとは言い難い。問題の本質は、トランプ政権自身が戦争の出口を描き切れていない点にある。政権内部の不確実性が、そのまま情報の不安定さとして市場に流れ込んでいる。
実際、トランプ大統領の発言は一貫性を欠く。2日には「米国はホルムズ海峡に依存していない」と断言しながら、5日には一転して強硬姿勢を示した。背景にはエネルギー事情の現実がある。確かに米国の中東原油依存度は低いが、軽質原油中心の供給構造ではディーゼルや暖房用燃料といった重質製品の需給が逼迫しやすい。実際、ガソリン価格の上昇が抑制される一方で、ディーゼル価格は大きく跳ね上がっている。米国自動車協会(AAA)の最新のデータではレギュラーガソリンが前年比で約26%の上昇にとどまっているが、ディーゼル価格は約55%の上げ幅を記録している。この歪みが、発言の揺らぎとして表出しているに過ぎない。
焦点は一つ。攻撃期限を前に、民間インフラへの踏み込みというレッドラインを越えるのか、それとも再び延期に傾くのか。いわゆる「TACO」か、それともエスカレーションか。ここがマーケットの分水嶺となる。
一方で本邦要因では昨日、円安が進行する局面においても、城内経済財政相は「円安にはマイナス面もあるが、プラス面もある」と発言した。高市首相も選挙期間中に同様の認識、いわゆる「ウハウハ発言」をしている。こうした発言のトーンから透けて見えるのは、現政権の基本スタンスだ。これまでもインフレ対策に対して積極性を欠いてきた経緯を踏まえれば、円安進行に伴う輸入物価の上昇に対しても、強い抑制策が打ち出される可能性は高くない。
むしろ、円安の恩恵が企業収益の押し上げや、株価支援を一定程度容認する姿勢が続く公算もある。結果として、為替市場においては、外部要因だけでなく、政策面からも円安バイアスが温存されやすい環境にある点は、軽視すべきではないだろう。
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