8日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米長期金利が上昇に転じたことで、欧州市場の安値159.86円から160.27円付近まで強含みに推移した。ユーロドルは、イランとイスラエルが相互の攻撃停止を表明したことで、欧州市場の安値1.1500ドルから1.1555ドルまで反発した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、中東情勢に関するヘッドラインや本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入に警戒していく展開が予想される。
昨日は、イスラエルによるレバノンやイランへのミサイル攻撃とイランやイエメンによるイスラエルへの攻撃を受けて、日米株価指数は下落し、WTI原油先物価格は95ドルに乗せた。その後、トランプ米大統領の呼びかけを受けて、イスラエルとイランは相互への攻撃を停止したと表明したことで、日米株価指数は下げ幅を縮小し、WTI原油先物価格は90ドル台まで押し戻された。
しかし、イランは、イスラエルが親イラン武装組織ヒズボラに対する攻撃を続ければ、攻撃を再開すると警告し、ネタニヤフ・イスラエル首相も再攻撃された場合は報復すると警告しており、本日も関連ヘッドラインに警戒していくことになる。
昨日のドル円は、中東有事や原油価格上昇を背景にしたドル買いで160.39円まで上値を伸ばし、4月30日の本邦通貨当局がドル売り・円買い介入に踏み切った際の高値160.72円に迫っていた。しかし、片山財務相や三村財務官からの円安牽制は聞かれなかったことで、嵐の前の静けさの様相を呈しており、本日も引き続き本邦通貨当局の出方には警戒しておきたい。
財務省が発表した5月末の外貨準備高は、全体で前月末比5.6%減の1兆3059億ドル(約209兆円)、証券は前月末比756億ドル(約12兆円)減の9317億ドル、預金はほぼ横ばいの1622億ドルだった。
本邦通貨当局は、5月27日までの1カ月間に、月次では過去最大の11兆7349億円の円買い介入を実施したが、介入の原資は、ドル預金ではなく、米国債を売却したものだった。
すなわち、本邦通貨当局の円買い介入の余力は依然として十分あり、可能性は低いものの、リスクシナリオとしては、今年1月の日米協調レートチェックに続く、1998年6月のような日米協調ドル売り・円買い介入を想定すべきかもしれない。
1998年6月17日にドル円が144円台まで上昇した局面で、日米協調円買い・ドル売り介入が行われ、高値144.14円から安値136.03円まで8.11円下落した。この時の日米協調介入では、米国が8億ドルのドル売り、日本が2312億円の円買いを行い、合計で約25億ドル規模の介入だった。
ドル円は、その後133円台まで続落した後、8月11日に147.64円まで切り返したが、ロシアのデフォルト(債務不履行)やLTCM(ロングターム・キャピタル・マネジメント)の経営破綻を受けた米連邦準備理事会(FRB)の利下げにより、1999年1月の108.20円まで約39円下落していった。すなわち、ドルの下落には、ドル売り・円買い介入ではなく、FRBによる利下げが必要条件であることが確認された。
ベッセント米財務長官は、5月に来日した際に、過度な為替変動は望ましくないと述べ、無秩序な動きへの対応が目的の日本の介入を米国が容認していることを示唆していた。
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