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田向宏行
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陳満咲杜の「マーケットをズバリ裏読み」

米ドル/円は仮に日経平均が5万5000円へ上昇しても、
160円到達は困難か。今こそ日米金融政策の違いに
目を向けるべき! 日本の利上げと米国の利下げは必至

2025年11月07日(金)18:09公開 (2025年11月07日(金)18:09更新)
陳満咲杜

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サナエノミクスへの期待が膨らむも、株も為替も食傷気味?
日経平均は年内に5万5000円まで上昇するとの見方もあるが…

 サナエノミクスへの期待が膨らむ一方だが、株も為替も「食傷気味」になってきた。日経平均は5万2000円台からいったん4万9000円台へ調整、米ドル/円もいったん154円台にて頭が重くなった様相を呈している。

日経平均 日足
日経平均 日足チャート

(出所:TradingVeiw

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingVeiw

 もっとも、テクニカル上の視点では、日経平均株価の5万2000円の大台の打診自体が間違いなく買われすぎであった。したがって、調整したほうがいいとか、調整したほうがこれからの上昇に寄与するとかの楽観論が多い。本日(11月7日)の日経新聞には、大手ネット証券の一角であるSBI証券の執行役員が、年内に日経平均が5万5000円まで上昇するとの見方を示した記事が掲載されていた。

 もちろん、2025年が残り1カ月半とはいえ、そのような強気相場になる可能性を完全には否定できない。ここでは、株ではなく為替の話に専念すべく、株式市場自体のパフォーマンスよりも、為替との関連性に集中したい。

日経平均が5万5000円台なら、米ドル/円は158~160円台まで円安進行か。だが、その水準の達成は難しいだろう…

 言うまでもないが、日本株の一段暴騰があるとすれば、円安の一段進行が前提条件というか、同時進行になりやすい。株高が進む一方、円高になるといった市況は基本的に考えられない。

 では、日経平均の5万5000円の大台乗せがあるとすれば、米ドル/円はどこまで上昇するだろうか。あまり厳密な方程式がないので、大雑把な推測だが、158~160円台まで円安の進行が必要なのではないかと思う。

 160円と言えば、この前ブルームバーグの報道があったように、一部ヘッジファンドが狙うターゲットになっているようだ。だからこそ、そのターゲットの達成は難しいとも思う。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足チャート

(出所:TradingVeiw

 やや失礼な言い方だが、為替市場における投機筋(ヘッジファンドがメイン)は、個別ではなく全体として、2025年年初来円の仕掛けに失敗してきた。だから、また失敗してしまう確率が高いと思われる、というわけだ。

 CFTC(米国商品先物取引委員会)におけるポジションを見ればわかるように、2025年年初来、日米金融政策の相違を根拠に、投機筋は円買いポジションを積み上げてきた。4月にはシガコ通貨先物市場における「史上最多」の円買いポジションが積み上げられたのも記憶に新しい。

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 しかし、米ドル/円はいったん140円割れしてから154円台まで反発してきたから、投機筋は全体として大損していたはずだ。今度は一転して円売りを仕掛けているようだが、うまくいくとは思わない。

FRBには「利下げせず」の選択肢はなく、日銀には「利上げせず」の選択肢はないという事実に、今こそ目を向けるべき!

 なんにせよ、今だからこそ、日米金融政策の相違に目を向けるべきではないか。

 確かに日銀は、10月に金利を据え置いたが、これをもって、年内に日銀は動けないと断定できないというか、だからこそ、12月利上げの可能性が高まると思う。そして、米利下げは既定路線であり、途中の思惑があっても利下げ自体は継続されるだろう。米労働市場市況の悪化が避けられないからだ。

 米政府閉鎖中につき、米雇用統計がリリースされていないうちは憶測でしかないが(と言っても、デタラメな同統計が役に立つとも思っていない)、AIの浸透で全米大企業が立て続けホワイトカラーの大規模解雇を実施しているようで、労働市場はかなり悪化してきたとみる。

 ゆえに、FRB(米連邦準備制度理事会)には、「利下げせず」という選択肢はないだろう。対して、日銀には「利上げせず」の選択肢はないかと推測される。

 なにしろ、日本人の実質収入がまったく物価上昇に追い付かないから、利上げを容認、そして円安の進行を阻止するのが、目先、高市政権が取れる現実的な政策だと言える。実際、片山財務相も繰り返し円安を牽制しており、緩和政策期待の円安観測が空回りしやすいかと思う。

 本質的なところは、いくら積極的な財政、金融政策を志向しているとはいえ、高市政権はインフレの課題(より本質的には、賃上げがインフレに追い付かない問題)に向き合わなければならないということだ。

 政権運営の視点では、高市政権は今のところ、無闇な緩和政策を推し進めないはずだ。そして、日銀の年内利上げを容認ばかりか、実質的に支持してくる可能性が大きい。「中央銀行の独立性を尊重する」といった大義名分を得やすいという意味合いにおいても、年内に日銀が利上げしない理由は見付からない。

 ゆえに、一部の投機筋の円売りがこれから焦げ付く可能性が大きいと思う。しかし、これもまた「都合がいい」と言える。なぜなら、前述のように、4月における大規模な円買いポジションの踏み上げなしでは、今月(11月)の154円台までの米ドル高・円安の進行が見られなかったかもしれないのと同じだ。円売りポジションが積み上げられた後、円安が思ったほど進まない場合、今度は一転して円高になりやすいから、トレンドの進行には常に「失敗するもの」が必要だというわけだ。

さらなる円安進行、株高には懐疑的。
一般の参加者も納得しやすい状況だからこそ、警戒すべき!

 いろいろ言ってきたが、要するに筆者はさらなる円安の進行に懐疑的だ。もちろん、円安と連動するさらなる株高の見方にも距離を置きたい。サナエノミクスの中身はともかく、脱デフレばかりか、下手するとインフレ退治しなければならない目下において、サナエノミクスはすぐに成果を得にくいかとみる。

 そうなると、サナエノミクスで株高云々の見方を、当然懐疑的に見るべきだと思う。皮肉に聞こえるかもしれないが、株が随分買われていたから、サナエノミクス云々が根拠にされやすく、また一般の市場参加者も納得しやすい状況だからこそ、警戒すべきだと思う。市況はいかに。

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