(「葉那子が本気で挑む『FX道!』特別編(3) ミス慶応はなぜFXトレーダーを目指すのか」からつづく)
葉那子さんが全トレードの成績を振り返る
葉那子さんは2012年7月に当コラム「元ミス慶応 葉那子が本気で挑む『FX道!』」の連載を開始した。
このコラムでは葉那子さんがFXトレーダーや為替の専門家に取材した記事を週1回掲載してきたが、記事の末尾には記事本編とは別に、前週の葉那子さんのトレード成績を報告するコーナーが設けられている。
そこで、今回はその特別編として、連載開始当初からトータルした葉那子さんのトレード成績を振り返ってみたい。
以下は葉那子さん本人に書いてもらった、これまでのトレードの回顧と反省だ。
【葉那子連載の全トレード 2012年7月30日~2013年3月15日】
7勝26敗(ほぼ±0の建値決済を除く)
平均プラス(利確):44.7pips
平均マイナス(損切り)::19pips
口座残高:当初 10万円 → 現在 9万1808円
勝率が約27%で、リスクリーワード比がほぼ1:2という結果になりました。
勝率5割でリスクリワード比が1:1の状況だと、収支は±0になります。つまり、プラス収支にするためには、勝率を上げる、リスクリワード比を改善する、もしくは両方を行う必要があります。
私の場合、リスクリワード比は我ながらいい数字だと思うのですが、とにかく負けすぎです。損切り貧乏というものです。
もちろん気づいてはいましたが、改めて客観的な数値にしてみると、勝率の低さが一目瞭然です。
当たり前のことですが、勝率を上げるには勝ちトレードを増やすか、負けトレードを減らさなければいけません。
これまでの負けトレードの中には、後から見ても「なんでここでエントリーしたんだ??」といったムダなトレードも数回あるので、まずはそれらをなくしていくべきです。
負けないことは不可能なので、納得のいく負け方をするというのがポイントになります。
あとは、勝ちトレードを増やすほうですが、これはなかなか難しいです。
私の手法はブレイクアウトを狙ったデイトレードなので、エントリーチャンスは1日に1、2回。
なので、仕事で少し目を離している間にブレイクしてしまった…なんてことも多々あります。
だからと言って、ずっとチャートに張りついているわけにもいきません。
やはり、もう少し長めのスパンでゆったりトレードができるスタイルを確立しなければならないわけです。
まずはムダなトレードを減らす努力をしてみますが、2013年は長いスパンでのトレードにもチャレンジしていきたいと思います。
(葉那子)
「これで行けるぞ」という感覚が10回ぐらいあったのに…
葉那子さんはこのコラム用のトレードでストップロス注文をいつもきちんと入れており、致命的なダメージは受けていない。その点は良しとすべきだろう。
ただ、7カ月以上トレードし続け、収支は少しマイナス。専業トレーダーを目指すにしてはちょっと寂しい結果とも思える。
葉那子さんが7カ月以上、FXトレードを続けてきた結果は約7%の資金減少。致命的な大負けはしていないが、「損切り貧乏」状態に陥っている。
前回の記事で触れたが、葉那子さんはFxBさんの手法を自分なりに検証するため、膨大なバックテストを行っていた。
【参考記事】
●葉那子が本気で挑む「FX道!」特別編(3) ミス慶応はなぜFXトレーダーを目指すのか
そして、その過程では「これで行けるぞ」という感覚になったことが10回ぐらいはあったという。
なのに、実際にやってみると、トレードでなかなか利益が上がらない。
FXというものは、眼球の毛細血管が切れるほどの努力をしても、なかなか儲からないものなのだろうか。だとしたら、これは多くのFXファンにとって不吉な話ではないだろうか。
利益が上がらないことを葉那子さんはどう考えているのか?
なぜ、FXトレードで利益が上がらないのか?
「今のライフスタイルに手法が合っていないのだと思います。毎日、相場に張りつくことができないんです。
もしも、欧州市場以降の時間(日本時間15時~0時ぐらいまで)を相場に張りついて、1カ月間ずっとトレードだけをしていればいいよと言われれば、プラスになる気がするんです(笑)」
葉那子さんは現在、FX関連の会社に勤めており、その仕事があるからずっとは相場に張りつけない。それが問題なら、手法を変える必要があるのでは?
「今やっている手法は磨けばちゃんと結果が出るものだと思っているので、それはとりあえず置いておきつつ、また、他の手法を探すのがいいんじゃないかと思っています。今はスイングトレード的な、期間を長めにとった手法を模索中です」
葉那子さんが今、実践しているFxBさんのトレード手法はデイトレード用のもの。葉那子さん自身も性格的に「デイトレードが向いていると思う」と話す。
トレードで利益が上がっていない理由は「今のライフスタイルに手法が合っていない」というのが葉那子さんの自己分析。そのため、新しい手法も模索中とのこと。
ただ、仕事との関係でもっと期間が長いトレードの方がいいかも…とも思いつつあるようだ。このあたりは多くのサラリーマントレーダーにも共通した悩みかもしれない。現在、模索中という新手法が発表されるのを期待して待ちたいところだ。
ちなみに、もっと短い時間で行うスキャルピングについて、葉那子さんは次のように話している。
「スキャルピングを本格的にやったことはないのですが、デモトレードでやってみたら、かなり感情を揺さぶられました。損切りも即座にやらなければいけないし、利食いも難しかったです。
結構ビビリなので、大きい枚数を張って10pips取るよりも、枚数を抑えて60pips取る方がいいんです」
「大損しないと成長しない」のは本当か?
ここで、葉那子さんから「ビビリ」という言葉が出てきた。また、彼女は自分を「小心者」とも表現する。
当コラム用のトレードで、葉那子さんは1ショット5000通貨でトレードし、ストップロス注文はいつもきちんと入れている。そのような地道なやり方を取っているのは、自分が「ビビリ」であり、「小心者」だからだという。
ストップロス注文を入れるのは悪いことではないと思えるが…。
「専業トレーダーになるような人はある程度、枚数を張って稼がなきゃ生活していけないですよね。5000通貨でビビッているようではダメだなと思うんです。
たぶん、恐怖もちゃんと受け入れないとトレーダーにはなれないと思うので、その部分は直さなければいけないと思っています。または、なるべく恐怖を覚えないような他の手法を見つける必要があるのかもしれないですが…。
それと最近、周りの人から言われるのは『大損しないと成長しない』ということです。『本気じゃない』と周りからは言われます」
“大損経験”を奨励するのもどうかと思うが、有名トレーダーのなかには大損を乗り越えて成長してきた人がいるのも確かだ。
【参考記事】
●「FX友の会」世話人の奈那子さんに聞く(1) 「一晩で300万円の大損」を乗り越えて…
●「FX友の会」世話人の奈那子さんに聞く(2) 三空さんが大損した夜を覚えていますか?
実は別口座ではまずまず儲かっている!?
「大損しないと成長しない」と言われたからか、実は葉那子さんは当コラム用の口座とはまた別に口座を作り、そちらでは大胆にストップロス注文を入れないでトレードしているという。
そして、なんと、その別口座ではまずまず儲かっているというのだ!
「2012年末からあまりにも円安が進んでいるので、これは何もしないわけにはいかないと思い、別口座でトレードしてみました。
そちらではとにかく米ドル/円を買っています。ほかの通貨ペアを取引することもありますが、基本的には米ドル/円を買う口座なんです。自分としては取引量も大きめです。
最初に10万円資金を入れて、それが13~14万円ぐらいに増えました。そこで売りから入るようなこともやったら、8万円まで減ってしまいました。
そこで、もう1回、買いからしか入らないというルールを作り直して、あとは根拠なく、テクニカル指標もほとんど無視して、とにかくバカになって米ドル/円を買うことをしていたら、2月中旬に16万円ぐらいになりました」
別口座で実は儲けていた葉那子さん。やはり、最近はバカになって米ドル/円を買うのが旬なのか!?
イタリア総選挙時の急落では大丈夫だったのか?
米ドル/円は2012年11月半ば以降、押し目らしい押し目もあまりないまま、上昇し続けたので、バカになって買う戦略で確かにうまくいきそうだ。
ただ、2月25日(月)~26日(火)にイタリア総選挙の結果が大接戦だったニュースを受け、リスクオフの動きが起こり、急速な円高になったり、逆に3月8日(金)の米雇用統計は結果が非常に良く、急速な米ドル高になったりしている。
米ドル/円相場は2月後半以降、ちょっと荒っぽい展開になっているのだ。バカになって買っていた葉那子さんの別口座は大丈夫だったのだろうか?
「おもに米ドル/円買いで16万円まで資金を増やしたあとは米ドル/円だけでなく、ユーロ/米ドルやユーロ/円のトレードなど、いろいろやっていたんです。そうしたら、資金が12万円まで減ってしまいました。
でも、イタリア総選挙のときはたまたまノーポジションで無事。その後は米雇用統計前に米ドル高だと思って、米ドル/円の買いとユーロ/米ドルの売りをやっていました。それが当たって、資金は14万円ぐらいまで増えたんです」
資金管理をやらなかったことが功を奏した!?
結局、別口座は当初10万円だった資金が14万円になったという。あまり根拠なく、資金管理もきちんとやらないでトレードしたら、資金が約40%も増えたことになる。
一方、当コラム用の口座はトレード開始から7カ月半ほど経ったが、当初10万円だった資金はジリジリ減って、現在9万2000円程度。取引量を抑え、ストップロス注文をきっちり入れて堅実なトレードを心がけた結果がこれだ。
これはあまりにも皮肉な結果ではないだろうか。ひょっとすると、あまり考えずに、直感的にトレードした方がいいのでは…?
けれど、葉那子さんは「別口座のやり方はずっとうまくいくとは思っていません」と冷静だ。あまり根拠なくトレードするやり方はそろそろ封印する予定だという。
タレントにまったく未練はなかった
最後に葉那子さんの「キャリア」の話に戻ろう。タレントとしての仕事が減っていくなかで「トレーダーになる宣言」をしたあと、実は葉那子さんは専業トレーダーを一直線に目指したわけではなかった。
専業トレーダーになるのは簡単だが、きちんと稼げる専業トレーダーになるのは簡単ではない。それは葉那子さんもわかっていた。そこで、新たな仕事を探し始めたのだった。
「2011年の暮れに芸能事務所を辞めました。その頃は仕事がほとんどなくて、これでは私、食べていけない、就職しようと思ったんです。
最初は英語を使うような事務作業の派遣を探したり、知り合いから翻訳の手伝いがほしいという話もあったので、それも考えたりしました」
2008年にミス慶応になったあと、タレント活動をはじめたが、結局、2011年暮れに芸能事務所を辞めた葉那子さん。けれど、彼女はその後、FXの世界で本領を発揮しつつある。
「その頃、FX関連の会社から『人が足りないから、雇いたいです』というお話をいただきました。ちょうど職を探していたのと、FXに興味があったので、お願いします、ということで、すぐに会社へ入りました。
タレント時代と比べて、FX中心の生活は100倍楽しい!
現在の葉那子さんはFX関連の会社(いわゆる「FX会社」ではない)に所属し、FX関連の仕事を日々やっている。
たとえば、週2回はFXの番組に出演。これはネット放送のForexTVと羊飼いブログの動画だ。羊飼いブログの番組では自分で放送用の原稿を書くこともやっているという。
また、ザイFX!関連では、当コラム執筆のほか、西原宏一さんのコラム「ヘッジファンドの思惑」を編集したり、ザイスポFX!の記事を執筆したりしている。
【参考コンテンツ】
●西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」
●ザイスポFX!
葉那子さんは西原宏一さんのオフィシャルサイトで「助手」としても働いている。
西原さんには週3回電話でインタビューして、その内容を西原さんのサイトで記事として公開する仕事もしているという。西原さんから直接、直近の相場解説を聞ける「おいしい仕事」だと葉那子さんは話す。
その他、当コラムをはじめとした各種の取材をやったり、FX会社のセミナーで司会をやったり、FXに興味を持つキッカケとなったラジオNIKKEIの夜トレ!に出演したりといった具合で、葉那子さんはまさにFX三昧の日々を送っている。
そんな今の生活はタレント時代と比べてどうかと聞くと、即座に
「100倍楽しい」
との答えが返ってきた。
「今の生活はとても充実しています。まず、自分にやることがあります。それも興味のあることをやっています。そして、それが勉強になりますし、楽しいです」
「タレントで売れる前の女の子ってすごくいっぱいいるので、タレント時代は、私じゃなくてもいいな、誰がやってもいいんじゃないかなという気持ちを持っていました。
でも、FX業界では私にも需要があるんです。FXに興味がある20代の女の子ってあまりいないと聞いたので…。そして、需要があれば、私はがんばります(笑)」
タレント活動よりFXを中心とした生活の方が100倍楽しい……。「さまよえる葉那子」はどうやら、ついに天職を見つけたようだ。
目指すはコンスタントに利益を上げる“敏腕ママトレーダー”
では、葉那子さんはこれからどのような将来像を思い描いているのだろう。
FXの専業トレーダーになりたいと思った最初の頃のことを「小さな子が『将来、野球選手になりたい』というのと同じ」と表現していた葉那子さんだが、猛スピードでその小さな子は成長を遂げた。ただ、その過程では実際にFXトレードを経験し、FXで利益を上げるのがそう簡単ではないこともまた味わった。
今も葉那子さんはFXの専業トレーダーを目指しているのだろうか?
「専業トレーダーになれるのであればなりたいんですが、それはちょっと難しいかなと思ったり…。
FXは何歳になってもできると思うので、今は専業トレーダーになるよりは、いろいろなものを見て、その上で最終的にFXだけできたらいいなと思うようになりました」
一時は「(専業)トレーダーになる宣言」まで出した葉那子さんだが、リアルトレードの難しさを知った今は、そこまで一直線に「専業」を目指しているわけではないようだ。
「FX友の会などトレーダーさんの集まりに行くと、女性で利益を出している人がいて、そういう方々と接する機会が多いのも私は恵まれていると思います」
【FX友の会に関する参考記事】
●「FX友の会 in 東京 2011」レポート(1) ユーロをものすごくネガティブに見ている!
●「FX友の会 in 東京 2012」レポート(1) 安定的に勝てる人は安定的に負けている!?
●ウワサの「FX友の会」潜入レポート(1) 「天の恵み」というほど高勝率の手法とは?
「そして、そういう成功している人を見ていると、自分もできるんじゃないかなと思えてくるんです。誰もやったことのないことを目指しているわけじゃないから、がんばればできるだろうと思えるんですね。
気持ちが揺さぶられず、コンスタントに利益を上げられる手法を見つけ、30歳、40歳になった頃に“敏腕ママトレーダー”になっていたらいいな、と今は思っています(笑)」
(「フリーアナ&FXトレーダー・大橋ひろこ(1) 「ポケモン」にも出演!? その経歴とは?」へつづく)
(取材・文/ザイFX!編集部・井口稔 撮影/和田佳久)
これ以降はいつものように、葉那子さん本人による前週のトレード報告を掲載します(ザイFX!編集部)。
【葉那子のトレード報告2013年3月11日(月)~3月15日(金)】
0勝2敗
負けトレード:英ポンド/米ドル -15.3pips(-733円)、英ポンド/米ドル -9.3pips(-446円)
合計収支:-1179円
口座残高:9万1808円
先週は3月15日(金)に2回、英ポンド/米ドルのロングでエントリーをしたのですが、どちらも損切りになりました。
1回目の損切りの後に、再度上昇して直近高値を更新したので、同じ方向にエントリーしたのですが、結局30pipsのプラスから損切り。
建値決済でも良かったのですが、この日はラジオ番組があったのでなんとなくポジションに集中できませんでした。
(葉那子)
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