■アルゼンチンショック後の市場の動き
先週のコラムで、アルゼンチンショックについて解説しました。
【参考記事】
●市場は混乱、本当に怖いのは通貨安!アルゼンチンペソ暴落はなぜ起こったか?(1月30日、今井雅人)
その後の市場の動きは、やはり混乱が続いています。
私は、アルゼンチンの外貨準備の残高がどう推移するかに毎日注目しています。外貨準備は日によってバラつきがありますが、毎日1~2億ドル程度減少していて、2月5日(水)の段階で279億ドルにまで減ってきています。
連日、外貨(米ドル)が海外に流出しているために、外貨準備が取り崩されている状況が続いているということでしょう。
先週のコラムでも書きましたが、外貨が不足してくると通貨安に対して打つ手を失ってしまい、ヘッジファンドなどの投機筋の格好の餌食になってしまいます。
■アルゼンチンのデフォルトがいよいよ現実化するか
そうなってくると、いよいよアルゼンチンのデフォルトということが現実化してきます。
現在のアルゼンチンペソの対米ドルの為替レートを見ると、大幅に米ドル高・アルゼンチンペソ安が進行した後も、そのまま米ドル高の状況が続いています。

(出所:CQG)
状況は、改善されていないということです。そればかりか連日外貨準備が減少しているわけですから、むしろ悪化しているということでもあるかもしれません。
■調整の株売り・円買いである程度ショックは和らいだが…
もちろん、ここのところ、株式市場、為替市場でのポジション調整(株売り・円買い)の動きがかなり出ましたので、ある程度ショックは和らいだという面はあります。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)

(出所:米国FXCM)
しかし、原因となっている新興国の混乱はまだ続いているということなので、これで混乱が終わりとは言い切れません。
■テクニカル的には日経平均の上昇トレンドが崩れている
次に、今度は少し国内に目を向けてみましょう。
日経平均は、一時1万4000円を割り込んでしまいました。ここ1年ほどのチャートを見てみると、2013年7月19日(金)の1万4953円、2013年9月27日(金)の1万4817円、10月23日(水)の1万4799円の山の高値を下抜けしてしまいました。
2013年6月と8月の谷の安値で引けるサポートラインも下抜けしてしまいました。テクニカル面で見ると、上昇トレンドは完全に崩れてしまっています。

(出所:株マップ.com)
■アベノミクスへの不安の声も顕在化
こういう状況になってくると、外国人の日本の株式市場に対する見方も少し懐疑的になってきて、今まで口に出さなかった不安材料も少しずつ口にするようになってきました。
たとえば、円安により、日本の輸出企業の業績が伸びているものの、輸出数量はむしろ減少していることに注目し、日本企業の競争力に疑問の声が上がっています。
また、アベノミクスは実は第1の矢が主体で、第2の矢も従来型の公共事業主体の財政主導政策、第3の矢にいたっては、めぼしいものが見当たらないとの指摘も聞こえるようになってきました。
調子の良いときは無視していても、少し様子がおかしくなってくると、急にこういう声が顕在化してくるというのはよくある話です。
■中国のシャドーバンキングの問題も…
中国のシャドーバンキングの話も、また問題視する声が大きくなってきました。シャドーバンキングに関しては、もちろん潜在的な火種ではあり、いずれ大きく問題化すると私も思っています。
今日、明日のテーマではありませんが、地合いが悪くなってくると、こういうことも話題になってきます。
■引き金は米国のテーパリング! 市場はまだ不安定に
そして、こうした動きの引き金となった1つが米国のテーパリング(※)であったのは周知のところです。
混乱が起きた後も、ダラス連銀のフィッシャー総裁は、「(こういう混乱が起きても)テーパリングは予定どおり粛々と進めていく」という趣旨の発言をしています。
であるとすれば、まだまだ市場は不安定になると思っておいた方が賢明でしょう。
(※編集部注:「テーパリング」とは、米量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
■米ドル/円は一瞬100円割れも! ユーロはじわじわ下落
さて、為替市場についてですが、こういう状況下では円高圧力はまだまだかかるでしょうが、私はそれほど大きな動きにはならないと思っています。
米ドル/円が、一瞬100円を割ることはあるかもしれませんが、方向性として円高傾向になるということはないと思っています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
ユーロに関しては、弱い経済指標を受けて、対米ドルでもようやく下落をしてきました。私個人的には、ユーロが強いこと自体に違和感があったので、少し肌感覚にあった動きとなってきています。
ユーロは、緩やかですが、じわじわと下落する可能性が高いと考えています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
■豪ドルの反発上昇は限定的なものになるだろう
最後は豪ドル。2月4日(火)、RBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])は、政策金利の据え置きを決定しました。その際、スティーブンスRBA総裁は、以下のような発言をしています。
「現状では、最も賢明な路線は一定期間の金利安定である公算が大きい」
つまり、当面金利は下げませんよと言っているわけです。こうした発言になった背景には、オーストラリアの物価が上昇してきたことがあります。
オーストラリアは、3カ月に1回CPI(消費者物価指数)を発表していますが、2013年の第4半期のCPIは年率で2.7%に上昇していました。これが、政策変更の大きな要因です。
豪ドルに関しては、さらなる利下げを期待して、ポジションがかなりショートになっていました。そこに、こういう発言が出てきたことで、豪ドルは対米ドル中心に急上昇しています。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/米ドル 4時間足)
これも本格的な反転ではないと思いますが、市場がかなりショートであることを考えると、もう少し上昇の余地はあるのではないかと考えています。
ただ、全体が不安的な中ですから、豪ドルだけがどんどん上昇していくのも考えづらいです。動きは、限定的になると思っています。
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