■米ドルよりもユーロキャリー取引が相場の中心!
主要通貨全般に目を向けると、現時点では、おおまかに「利上げグループ」と「緩和グループ」に分けて考える必要があります。
つまり、予想よりも利上げが早そうな英ポンド、すでに利上げを開始したNZドル、来年、2015年にも利上げの可能性が示唆されている豪ドルが「利上げグループ」=買い通貨。
そして、今後も緩和が続くユーロと円が「緩和グループ」=売り通貨となります。
米ドルはどちらかといえば利上げグループですが、市場はその利上げを先物市場ではかなり織り込んでいます。加えて、本日、6月19日(木)日本時間未明のFOMCでは、ややハト派的な印象をマーケットに与えたため、総じて米ドル売りの展開。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 1時間足)
FOMCのハト派のイメージは株にとっては優しい政策となり、株の上昇は旧来のリスクオン相場に戻るため、米ドルは中期では買い、短期では英ポンドや豪ドルに対して売りという展開になっています。
この意味においては、前コラムのユーロキャリー取引が依然としてマーケットの中心。
【参考記事】
●異例の低ボラティリティが続くドル/円より、注目は250pipsも急落したユーロ/豪ドル!
ただ、その最右翼だったユーロ/豪ドルは、短期では下記の報道による豪ドルにとっては特殊要因が飛び出し、下落の勢いが弱っています。
(出所:米国FXCM)
シェル、豪ウッドサイド株の大半を売却
英蘭系メジャー(国際石油資本)のロイヤル・ダッチ・シェルは、保有する豪ウッドサイド・ペトロリアム株の大半を61億豪ドル(約5800億円)で売却する。減益にあえぐシェルは資産売却を進めている。
両社はそれぞれ17日付の発表文で、シェルが向こう24時間で豪石油業界2位のウッドサイトの株式19%を売却することを明らかにした。半分は機関投資家に売却し、もう半分はウッドサイドが買い戻す。この取引でシェルの持ち株比率は4.1%に低下する。
シェルのベン・バン・ブールデン最高経営責任者(CEO)は発表文で「今日の発表はシェルの資本効率を高め、豪州での成長の焦点を直接保有資産に絞る取り組みの一環だ」と述べた。
シェルは大型・長期事業の費用が大きく膨らむ中、米国での天然ガスの値下がりに利益をむしばまれている。今年1-3月期(第1四半期)決算は44%の減益だった。アジアと欧州の製油所に関わる減損費用が響いた。
シェルは豪州での天然ガス事業に巨費を投じている。同社は西オーストラリア州のガス輸出プロジェクト「ノースウエスト・シェルフ」と、合弁事業の「ゴーゴン」と「プレリュード」について多大な権益を保有している。また、中国石油天然気(ペトロチャイナ)とのクイーンズランド州の非在来型ガス合弁事業にも関わっている。
豪当局は2001年、国益を理由にシェルによるウッドサイドの完全買収を阻止した。シェルは10年に大量のウッドサイド株を売却した。シェルがその際、残りの持ち分も長期保有しない意向を示していたため、投資家は前々から保有株の放出を予想していた。
(出所:Wall Street Journal)
この報道は豪ドル安を誘因しやすく、短期的にはユーロ/豪ドルの下落を抑制しています。
ただ、中期でのユーロ/豪ドルの流れは変わらず。
(出所:米国FXCM)
結果、ユーロキャリー(緩和のユーロ売り)であれば、ユーロ/英ポンドやユーロ/NZドル、加えて円キャリー(緩和の円売り)のクロス円であれば、英ポンド/円が有効でしょうか?
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