■米ドル/円も日本株も上放れは「ダマシ」では?
それでも巷では、再び株高・円安に傾く論調が声高になっているのは、日本株や米ドル/円が目先上昇傾向を強めているように見えていることが一番の原因だと思う。
米ドル/円については、下のチャートが示しているように、上昇トライアングルの上放れと認定する人が多い。
(出所:米国FXCM)
また、日経225については下のチャートに記しているように、「逆三尊型(※)」の上放れと見なす人も多いだろう。
(※編集部注:「三尊型」はチャートのパターンの1つで、天井を示す典型的な形とされている。仏像が3体並んでいるように見えるために「三尊型」と呼ばれていて、人の頭と両肩に見立てて「ヘッド&ショルダー」と呼ぶこともある)
(出所:米国FXCM)
しかし、テクニカルアナリシスには「ダマシ」という見方があり、米ドル/円にしても日経225にしても、今、立派な「ダマシ」を形成しているのではないかと思う。
■円以外の主要通貨は米ドルの受け皿として売られる
米ドル/円に関して、昨日(7月31日)、下記のチャートをもって説明したので、ちょっと早いが開示して、筆者の見方を明らかにしておきたい。
この見方の正誤は、これからの値動きで検証されるので、筆者にとって、リスキーであり、またワクワクできるものである。
(出所:米国FXCM)
詳細な説明は次回に譲りたいが、ここで指摘しておきたいのは、文字どおりの米ドル全面高にしても、米ドル/円を含まない米ドル高にしても、円以外の主要通貨は米ドル高の受け皿として売られる運命にあるということだ。
よって、先週の本コラムで指摘したとおり、ユーロ/米ドルだけでなく、英ポンド/米ドルも豪ドル/米ドルも頭打ちのサインを点灯しているので、これからより下落余地が拡大するだろう。
【参考記事】
●リスクオフ警戒! 米ドル/円が102円台にタッチするならロング筋最後の逃げ場に?(2014年7月25日、陳満咲杜)
前回のチャートに続き、最新チャートをもう1回確認しておこう。
(出所:米国FXCM)
(出所:米国FXCM)
そして、「悪い米ドル高」にしても、「良い米ドル高」にしても、米ドルの対極として存在するユーロの崩壊(不思議なのは、今、誰もユーロ崩壊を言わなくなっている)は避けられないので、結局、ユーロ/円も早晩136円の大台割れで円高の第二段階に進むだろう。
その時、果たして米ドル/円が巷で言われるように、上昇トライアングルの上放れで105円や110円といった「従来」の上値ターゲットを狙えるだろうか。
■最近の米雇用統計前後の法則、今晩はいかに?
最後に、米雇用統計が発表される本日(8月1日)だからこそ、3月以来、米ドル/円が繰り返してきたあるパターンを提起しておきたい。
そのパターンとは、米ドルのリバウンドは米雇用統計発表まで続き、発表された後は内容とは必ずしも関係なく、米ドルが反落してくることである。
【参考記事】
●ドル/円と米雇用統計の関連性は高くない。円高の牽引役はユーロから米ドルへ?(6月13日、陳満咲杜)
●NYダウ1万7000ドルの今こそ嵐を警戒! 「雇用統計良いとドル/円上がる」はウソ?(7月4日、陳満咲杜)
市況はいかに。
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