ザイFX! - 初心者必見のFX総合情報サイト

西原スーパーバナー
----年--月--日(-)日本時間--時--分--秒
西原宏一の「ヘッジファンドの思惑」

ドル/円は底固めから122円へ向け上昇か。
金融緩和競争を米国が静観する理由は?

2015年02月05日(木)18:15公開 (2015年02月05日(木)18:15更新)
西原宏一

【GMOクリック証券】圧倒的人気で100万口座達成!最短即日で取引可能!

■通貨高を一手に受け入れる米国の対応に市場は注目

 みなさん、こんにちは。

 2015年に入って、多くの国の中央銀行が金融緩和を実施。

 昨年(2014年)末の、黒田バズーカ2の日本から始まった金融緩和競争は、欧州、デンマーク、シンガポールと続き、そして、2月3日(火)のオーストラリアでほぼ一巡しました。

【参考記事】
「黒田バズーカ2」が炸裂! 米ドル/円は短期でも中期でも買い! サポートは110円(2014年11月4日、西原宏一&松崎美子)

金融緩和はその国の通貨安につながります。その相対通貨は米ドル。

米ドルVS世界の通貨 日足

リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 日足
 

前回のコラムでもご紹介しましたが、現在、米国が通貨高を一手に受け入れているわけで、この状況をいつまで米国が受け入れられるのかに、マーケットの注目が集まっています。

【参考記事】
ドラギマジック炸裂! ECBが予想以上のオープンエンドQEを決定してユーロ急落!(1月29日、西原宏一)

 そのヒントとして、米国のルー財務長官のコメントが話題になっています。

ルー財務長官、米だけでは世界経済を支えられないと指摘

米オバマ政権は同国経済に満足している。大統領のアドバイザーたちが今心配しているのは世界経済情勢だ。

ルー米財務長官は3日、下院歳入委員会での証言でこうした不安を強調した。長官は、2016会計年度(15年10月―16年9月)の大統領予算教書について説明し、「米経済の回復は世界経済の成長を後押ししているが、米国以外の世界は成長の原動力として米国だけに頼ることはできない」と述べた。

同長官は、世界の主要国の首脳は先のオーストラリア・ブリスベンでの20カ国・地域(G20)首脳会合(サミット)で、「世界中の内需を刺激するためにはもっと多くのことをしなければならない」とする点で合意したと指摘、「米国だけで、これをすることはできない」と語った。

同長官は1月に、財務長官に就任した2年前について、「世界が金融危機のことで米国を責めるのをやめた時だったが、今では誰もが米国経済の耐久性、反発力、それにわれわれがどうやって回復してきたかに驚いている」と気付いたとしている。

出所:Wall Street Journal

 ヘッドラインだけを読むと、このところの米ドル高に対して不満を述べているようですが、趣旨は違うようです。

 まず、米国当局は、現在の米国経済の回復に自信を持っている。

 ただ、米国だけで世界経済の成長を後押しするには限度があり、日本や欧州を含めた海外景気の減速に警戒を強めているということです。

■各国の中央銀行が金融緩和を実施

 そうした意向を受けてなのか、このところ世界中で金融緩和が行われています。

 昨年(2014年)末の日銀による、黒田バズーカ2から始まり、2015年1月には、ECB(欧州中央銀行)が期限を定めない、オープンエンドのQE(量的緩和策)を実施。

【参考記事】
ドラギマジック炸裂! ECBが予想以上のオープンエンドQEを決定してユーロ急落!(1月29日、西原宏一)

 加えて、金融緩和実施国は、インドやペルー、スイス、デンマーク、シンガポール、ロシア、オーストラリアなど広範囲に及んでいます。

 金融緩和はその国の通貨の下落を誘因しますが、その相対として米ドル高が進行。

 米ドル高が米企業業績を一部圧迫し始めていますが、米国から通貨高牽制コメントが出ないのは、海外景気の減速が起こらないように、多くの国の「金融緩和+通貨安」を受け入れているということのようです。

 この意味においては、現状の米ドル高は当面続く公算が高そうです。

 問題はそのスピードですが、米ドル/円は、昨年(2014年)末の黒田バズーカ2による暴騰後は、現状、116~119円でもみ合いになっています。

米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

 ECBがオープンエンドのQEを実施し、一時、1.1098ドルまで急落したユーロ/米ドルも現状、1.13ドルレベルでの調整局面。

ユーロ/米ドル 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足

 あまりにも米ドル高が加速すると、米国側の対応も変わってくるかもしれませんが、現状のスピードであれば、他国の経済が急減速するのを避けることが優先されるのではないでしょうか?

 米ドル/円、ユーロ/米ドルとも、調整後は、メイントレンドの米ドル高に再び向かう公算が強そうです。

■世界的な金融緩和の中、RBA利下げで豪ドル急落

 昨年(2014年)は、黒田バズーカ2により、米ドル/円のみならず、ユーロ/円を筆頭に、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)でも全般的に円安が急激に進行。

世界の通貨VS円 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 週足
 

 しかし、その後は、前述のように、インドやペルー、スイス、デンマーク、シンガポール、ロシア、オーストラリアなど、多数の国で緩和が実施されました。

 ECBのQEにより、一転してユーロは対円でも急落し、ユーロ/円は2014年12月高値の149.78円からほぼ20円急落しました。

ユーロ/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/円 日足

 2月3日(火)のRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])の利下げを受け、豪ドル/円は一時、90円を割り込み、89.37円まで急落しています。

RBA政策金利

(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 各国政策金利の推移

豪ドル/円 1時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:豪ドル/円 1時間足

■米ドル/円は底固め後、122円へ向けて上昇の公算高い

 世界的な金融緩和競争により、クロス円の売りが頻繁に持ち込まれる中、米ドル/円は異様な耐性を見せ、現状は117円台でのレンジで推移しています。

米ドル/円 4時間足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足

 多くのクロス円の売りによる円高圧力を吸収したと想定されるのが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による円売り。

 マーケットのウワサでは、2015年に入って、連日のように年金と思われる米ドル買いが観測されているとのことで、その米ドル買いが米ドル/円の下落を限定的にしています。

米ドル/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足

 今週、2月3日(火)のRBAの利下げにより、グローバルな金融緩和競争はほぼ一巡したと見られ、クロス円の売り圧力は一服。

 年金からの米ドル買いはまだ断続的に続くと見られ、米ドル/円は116~119円でのレンジで底固めした後は、再び122円に向けて上昇する公算が高いのではないでしょうか?

米ドル/円 週足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 週足

 金融緩和競争が一巡した後の米ドル/円の動向に注目です。


【ザイFX!編集部からのお知らせ】

 ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)です。

西原宏一投資戦略メルマガ「トレード戦略指令!」

「トレード戦略指令!」10日間の無料体験期間がありますので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。

人気のザイFX!限定タイアップキャンペーンをPickUp!
FX初心者のための基礎知識入門
スワップポイント比較 ザイ投資戦略メルマガ トルコリラスワップポイントランキング
スワップポイント比較 ザイ投資戦略メルマガ トルコリラスワップポイントランキング
『羊飼いのFXブログ』はこちら
↑ページの先頭へ戻る
志摩力男