■運命の1月29日。黒田日銀が2016年前半相場のカギを握る
あとは、日銀の黒田総裁が1月29日(金)にどう動くのかが、今年(2016年)前半の相場動向のカギを握っています。
重要なことは、QQE3の内容よりも、金融政策の手詰まり感を出さないことです。
【参考記事】
●バズーカ発射へと追い込まれる黒田総裁。追加緩和実施ならドル/円はどこまで上昇?(1月26日、西原宏一&松崎美子)
以前もご紹介させていただきましたが、今回のような急速な株安・円高になればなるほど、日銀によるQQE3期待は高まります。
【参考記事】
●ドル/円は一時115円台! 日銀の追加緩和期待高まるが中期の株安・円高は変わらず(1月21日、西原宏一)
●ソロスも警告するリーマンショック再来はあるのか? その鍵を握るのは米国株…!?(1月12日、西原宏一&松崎美子)
●黒田総裁の緊急帰国が市場の話題に…。リスクオフかオンを見る2つのポイントとは?(1月19日、西原宏一&松崎美子)
今回のリスクオフ相場において、日経平均はその重要なサポートである1万6000円を先物市場で一度割り込んでいるため、日銀による追加緩和期待が高まるのはある意味当然なわけです。
そのため、1月29日(金)の日銀会合の結果公表に向けて、マーケットの期待は急激に高まっており、今回、黒田日銀がマーケットにサプライズを与えることが非常に難しい状態となっています。
昨年(2015年)12月の日銀の決定を受けたあと、急激な円高相場となったことは記憶に新しいところで、中途半端な緩和策は逆に「株安・円高」相場を加速させてしまいます。
【参考記事】
●円安・株高の急上昇から一転急落へ!市場を失望させた日銀の「補完措置」とは?
ただ、マーケットが想定している以上の緩和策が出しにくい面も。今年(2016年)は参院選という重要な局面も控えているため、重要なカードは温存しておきたいところだからです。
■QQE3の有無よりも、手詰まり感が出ないかどうかが重要
どちらにせよ、1月29日(金)の日銀会合の結果がどういう内容での発表となるのかは本稿執筆時点では不明ですが、金融政策の手詰まり感さえ出さなければ、マーケットはいったん反発するのではないかと想定しています。
今週(1月25日~)のマーケットの反発は「黒田日銀への期待」もありますが、「2016年年初の急激な株安・円高相場」の自立反発という側面もあります。
そのため、QQE3という重要なカードを切らなくても、リスクオフ相場に対してはいくらでも手段はあるということをマーケットに明確に宣言できれば、マーケットは沈静化するのではないでしょうか?
逆にQQE3を発動し、一時的にマーケットが反発しても、政策の出尽くし感が出てしまえば、再びマーケットが株安・円高に走る可能性は高まります。
(出所:株マップ.com)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
これまで黒田日銀は、適切なマーケットとのコミュニケーションによって、「日本株と米ドル/円」の安定に寄与してきましたので、1月29日(金)の日銀会合の結果公表とその後の声明をうまく乗り切れるのではないかと期待しています。
黒田日銀の手腕への期待感から反発に転じた日本株、そして米ドル/円の動向に注目です。
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