■米国のマイナス金利導入はあるのか?
「聞かせてもらったヒルゼンラスの話は非常に興味深いところが多かったですね。私が気になっていたのはマイナス金利の導入でした。
というのは、ヒルゼンラスはこの2月に、FEDがマイナス金利を検討しているとする記事を配信しまして、これが事実だとすれば、利上げとは正反対の政策になります。なので、非常に驚いていました」(松崎さん)

マイナス金利導入は本当にあるのか。今回のイベントで、ヒルゼンラス記者はこう話していた。
「FEDがマイナス金利を2010年に検討したことがあったのは事実ですが、あくまでもマイナス金利は金融市場が混乱した時の措置。選択肢のひとつではあるが、実行の可能性はかなり低いでしょう。FEDの次の措置は利下げではなく、利上げです」(ヒルゼンラス記者)
元々2月12日(金)にウォール・ストリート・ジャーナル日本版で公開された「マイナス金利、FRBで『検討している』=イエレン議長」と題されたヒルゼンラス記者の記事(上に画像を掲載)もよく見てみると、記事本文の内容に比べ、記事タイトルが大げさなものになっていた感がある(記事タイトルは記者本人がつけていない可能性も十分ありそうだ)。
世界の金融市場をリーマン・ショック級の津波が襲わない限り、FEDのマイナス金利導入はなさそうだ。
■利上げの議論開始への3条件とは?
次に松崎さんが注目したのは利上げの時期。
「マイナス金利はあくまで緊急避難的な措置だとすれば、気になるのはFOMCが次にいつ利上げするのか、ということ。
次回のFOMCは3月ですが、ここで利上げできると思っている人は誰もいません」(松崎さん)
では今後のFOMC日程を見た上で、ヒルゼンラス記者の予想を聞いてみよう。

(出所:FRBのデータよりザイFX!編集部が作成)
「先物市場でも3月FOMCでの利上げ予想は12%しかありません。その次のFOMCは4月、そして6月ですが、注目しているのは経済指標のデータがどう出てくるかという点。
成長率が安定し、失業率が低水準にとどまり、インフレ、物価が上向いてきてと、3つの条件が揃えば、年央にも利上げの議論が始まるのではないでしょうか」(ヒルゼンラス記者)
■利上げしても3%台後半が精一杯
米利上げに関して、松崎さんが時期の次に注目したのは水準。前回、2004年からの利上げ局面では2006年までの2年間で1%から5.25%まで引き上げた。
「今回はそこまで高くならないでしょう。高くてもせいぜい3%台後半までで、連続的な利上げとはならないでしょう」(ヒルゼンラス記者)
前回の米国の利上げ局面では、日米の金利差が拡大、円キャリートレードが活発になったが、今回はそこまでの利上げはなさそうだ。

(出所:FRBのデータよりザイFX!編集部が作成)

(出所:FRB)
では日本の金融政策、1月に発表されたマイナス金利をFEDは…
(「FRBも驚かせたクロダのマイナス金利! 大物記者が語るイエレン議長の素顔とは?」へつづく)
(取材・文/ミドルマン・高城泰 撮影/ザイFX!編集部)
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