■参院選後の米ドル/円の反落は緩やかだが…
参議院選挙が終わった後の為替相場は、米ドル安が続いている。
米ドル/円に関しては、前回のコラムでも言及していたが、与党圧勝の結果は、ほぼ事前の予想どおりであったため織り込みずみで、さらなる円売りにはつながらなかった。
【参考記事】
●マーケットは「先の先」を読んだ動き?ドル/円は参院選後を一部織り込みずみか(2013年7月19日、陳満咲杜)
つまるところ、円売りポジションは過大に積み上げられてきたから、参議院選挙の結果を問わず、円売り余地が限定されることも、前回のコラムにて指摘ずみである。
予想どおりの展開となったが、米ドル/円の反落は緩やかなスピードに留まっている。
外部要因(米株高など)に恵まれている上、ドルインデックスの反落が米ドル/円を支えている側面も無視できない。ユーロ/米ドルの切り返しがユーロ/円の上昇をもたらし、それに伴う円安効果が米ドル/円にも波及していると思われる。
ゆえに、ユーロ/円が一昨日(7月24日)まで切り返しを続け、またそれに伴う形で米ドル/円が一昨日において100.45円までトライした値動きには納得できるだろう。
しかし、こういった値動きはすでに最終段階に入り、そろそろ転換してくるのではないかと思われる。
■ユーロ/米ドルは近々トップアウトを果たしそう
また、市況の変化はすでに始まっているではないかといった感触は、昨日(7月25日)の値動きから感じられる。
言い換えれば、ユーロ/円を始め、主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が頭打ちとなる一方、米ドル/円は下落余地を拡大しているから、目先強そうに見えるユーロ/米ドルが、近々トップアウトを果たしてもおかしくなかろう。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
もちろん、こういったロジックは米ドル/円の反落が続くことを前提条件としているだけに、市況の変化とはドルインデックスの底打ちを指していること、そして、ドルインデックスと、タイムラグを持つ米ドル/円が別物であることを理解していただきたい。
■WSJをきっかけにドルインデックスが下落
ところで、昨日(7月25日)もドルインデックスが大幅反落を果たしており、ユーロ/米ドル、英ポンド/米ドルは7月9日(火)安値を起点とした切り返しにおける高値を揃って更新したから、ドルインデックスは果たして近々底打ちを果たせるのか、と疑問視されても不思議ではなかろう。
相場における断定的な判断は誰もできないが、昨日(7月25日)の材料から考えて、筆者はあえてその可能性が大きいと思う。
昨日(7月25日)のドルインデックスの急落は、NY市場の後半に発生した。きっかけはWSJ(ウォールストリートジャーナル)の記事だ。
WSJ番記者のヒルゼンラス記者が「FRB(米連邦準備制度理事会)は、長期低金利維持のためにフォワードガイダンス変更を論議する可能性がある」と報道したからだ。
FRBがマーケットに対する影響力を保つため、長年WSJ番記者にリークし、記事を書かせてきただけに、今回もFRBの本音がうかがえる。要するにハト派スタンスの維持だ。
しかし、このような話は前回と同様、「論議する可能性」に留まる可能性がある上、7月31日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、現行政策が修正されるといった観測は皆無であり、「2012年9月以降、経済情勢次第で段階的にQE(量的緩和策)の規模削減に着手」といった従来のバーナンキ議長の主張に矛盾していないから、マーケットの反応は明らかに過剰だ。
こういった過剰な反応は、昨日(7月25日)のユーロ/米ドルの…
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