■トルコのクーデター、市場の反応は?
7月16日(土)早朝に発生したトルコのクーデター、驚きましたね。
【参考記事】
クーデター騒ぎ勃発でトルコリラが急落! 急落でも問題なくスワップで儲ける手法
7月16日(土)トルコ軍の一部勢力によるクーデターが発生もすぐに鎮圧…。写真はトルコ軍の戦車に群がる人々 (C)Defne Karadeniz/Getty Images
週明け、7月18日(月)のオープンが懸念されましたが、すぐに鎮圧されたため、「有事の円買い」とはならず、上側に窓を開けて始まりました。
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トルコのボスポラス海峡は海運の要所。
日量290万バレル、世界の原油生産量の3%がボスポラス海峡を通って流通するそうです。そのため、原油相場は7月16日(土)の早朝にクーデターの一報が伝わると、供給障害の懸念から小幅上昇しました。
ただ、今回のクーデターはひとまず制圧されたようですので、原油高は小幅に終わりました。
(出所:CQG)
ただ、「トルコの有事は原油高リスク」と市場に刷り込まれたでしょう。今後、トルコで何かあったときのために覚えておくとよさそう。
7月16日(土)早朝のクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の下落は今週(7月18日~)、全戻しして結局、何事もなかったかのように始まりました。
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ところが、トルコの株と国債は下落したまま。今年(2016年)の新興国投資の難しさを物語っていますね。
■緊急発表される経済見通しでNZドルは利下げへ?
今週(7月18日~)のイベントに目を向けると、21日(木)にECB(欧州中央銀行)理事会。
金融政策は据え置きでしょうが、一部ではBrexit(英国のEU離脱)の影響で年内利下げとの声も出ています。ドラギECB総裁の記者会見に注目ですね。
ECB政策金利は7月21日(木)20時45分の発表
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 各国政策金利の推移)
同じく21日(木)の朝6時にはRBNZ(ニュージーランド準備銀行[ニュージーランドの中央銀行])が最新の経済見通しを発表します。
前回6月の会合では政策金利を据え置きましたが、次回の会合が8月11日(木)と間隔が開いてしまうため、急遽設定されたもの。8月の利下げ観測が急速に高まっていて、NZドルも売られています。
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■ソフトバンクが英企業を3兆円で買収! ポンドはどうなる?
それにソフトバンクがイギリスの半導体設計会社ARMを約3.3兆円で買収するというニュースも出てきました。かなりの大型M&Aですよね。
驚きなのは、この時期にイギリスへ投資するということ。
ある証券会社からは「イギリスへの投資案件を作ってもまったく売れない」と聞かされていました。逆バリ的な買収ですね。目ざとい孫さんが決断したということの意味は考える必要がありそう。
3.3兆円の為替のカバーはどうするのでしょうね。
2013年に約2兆円でスプリントを買収したときは為替の手当を済ませてからの発表でした。
孫さんのことだから今回もすでに手当しているのでしょう。そうだとすれば、先週(7月11日~)の英ポンド上昇もうなずける。
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BOE(イングランド銀行[英国の中央銀行])は先週、7月14日(木)は利下げしませんでしたが次回、8月4日(木)は下げるのでしょう。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利: 各国政策金利の推移)
■「9月米利上げ」のテーマ化で米ドル高も
今週(7月18日~)の目立ったイベントはこの2つくらい。来週、7月27日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)、29日(金)の日銀会合待ちの相場になりそうです。
7月FOMCでは利上げしないのでしょうけど、要人発言を聞いていると、少しずつタカ派のトーンが高まっています。
「仮にトランプが大統領となれば利上げが難しくなるから、11月の大統領選挙本選前の9月にでも利上げするのでは?」との思惑が一部に出てきているようです。
7月のFOMC声明がタカ派となる可能性もあり、米利上げ織り込みの変化には注目しています。
利上げの織り込み度を見ると12月でも40%程度。市場は年1回の利上げも微妙だと思っていますから、「年2回利上げ」の見通しが高まれば米ドルが買われるのでしょう。
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それに加えて参院選後に降って湧いたように盛り上がってきたのが、ヘリコプターマネーの議論。
【参考記事】
●ヘリコプターマネーの憶測でアベノミクスに反撃の兆し? ドル/円は107円が焦点!(7月14日、西原宏一)
今年(2016年)前半は円高でしたが、本当にヘリマネをやるのなら、とてもじゃないが円は買えない。
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■7月29日(金)の日銀会合まで米ドル/円は押し目買い
ヘリマネ期待がどこまで続くかですね。参院選後、100円から106円まで6%も上がっているので、今週(7月18日~)は一度、押し目が来るのかなと思いますが…。
でも、史上最高値を更新したNYダウが強い限りは、米ドル/円も落ちないのでしょう。
【参考記事】
●参院選後のアノマリー崩れ円安・株高に! バーナンキ来日でヘリコプターマネー予測も(7月12日、西原宏一&大橋ひろこ)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
ポイントは107円を超えられるかどうか。ここを超えてくると、110円台回帰が見えてきます。
【参考記事】
●ヘリコプターマネーの憶測でアベノミクスに反撃の兆し? ドル/円は107円が焦点!(7月14日、西原宏一)
NYダウは、今すぐとは言いませんが、バブル的に2万ドルを試すようなところまで上がるかも!?
ただ、その後の下落も怖いですね、年内のどこかで大きく下げる場面がありそう。
NYダウには8年サイクルがあり、危ないと言われながらショートを踏み上げて上昇してきています。
1万8000ドルを超えてきているため、まだ上がるのでしょうが、いずれ大きな調整はあるでしょう。
(出所:CQG)
来週、7月29日(金)の日銀会合まで、米ドル/円は買いでいいのかなと思います。106円台では焦って買わず、慎重に押し目を待って買っていきたいですね。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
(構成/ミドルマン・高城泰)
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