■米ドル高の1年。前半は株高・円安も継続か
さて、常識的に考えれば、米国は景気回復サイクルに入ったと考えるのが妥当であり、2017年もその傾向は続くと考えられます。
そうであれば、基本的には米ドル高の1年となる可能性が高いと考えて良いのではないでしょうか?
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 週足)
景気回復サイクルの初期段階で、低金利から利上げが開始される時期は、株価もいっしょに上昇していく傾向が強いです。ある程度の水準まで金利が引き上げられたあとは、今度は利上げをすると株価が下落するという傾向もよく見られます。
現在は、まだ初期の段階と考えられるので、株価についても、特に前半は堅調に推移するのではないでしょうか。そうなると、株高は円安を誘発するので、円安も続く可能性が高いのではないでしょうか。
(出所:Bloomberg)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足)
■トランプ次期大統領の主張に批判が高まるかも?
ただ、相場にはリスク要因もあるので、それは頭に入れておく必要があります。現在、考えられるリスクを少し列挙しておきましょう。
2017年1月20日(金)に、トランプ次期米大統領が正式に、大統領に就任します。通常、就任してから100日間はメディアも野党もあまり批判をしないというのが慣例です。
2017年1月20日(金)に、正式に米大統領に就任するドナルド・トランプ氏。就任してしばらくすると、トランプ氏が主張している減税と大規模な財政出動に対して批判が高まる可能性も… (C)Mark Wilson/Getty Images
したがって、2017年5月ぐらいまでは大丈夫かもしれませんが、ひょっとすると、その後、彼の主張している減税と大規模な財政出動が両立可能なのか?という批判が高まるかもしれません。
また、彼は当選後、通貨政策について何も語っていません。候補者の時は、意図的な円安で日本が恩恵を受けていると批判していました。大統領になってからの彼の発言によっては、相場が激しく反応する可能性があります。
■日本や欧州、中国、原油などが引き金となるリスクも…
日本サイドで見ると、日銀は現在、10年物国債の金利をゼロ%程度にコントロールすると宣言しています。
【参考記事】
●日銀に手詰まり感。政策に新鮮味なし! 年内にドル/円は95円あたりまで下落か!?(9月23日、今井雅人)
しかし、金利上昇圧力の中でこのコントロールに失敗して、水準を引き上げる可能性があります。そうなると、円高圧力が高まるでしょう。
それ以外では、来年はEU(欧州連合)各国で重要な選挙が行われます。その結果にも注目です。
中国の景気が大きく崩れるようなことがあると、これも波乱要因となります。特に2016年、中国では不動産価格が急騰しました。バブル崩壊を警戒しておく必要があります。
原油価格がOPEC(石油輸出国機構)の減産決定、非OPEC産油国との減産合意によって、上昇してきています。しかし、各国がその合意を遵守するのかは、まだ不透明です。
トランプ氏はシェールガスなどの大幅な規制緩和をすると宣言しています。規制緩和によって、エネルギーの供給過多となり、それがエネルギー価格下落の原因とならないかどうかを、よく見ておく必要があるでしょう。
■米ドル/円は、再び125円を目指す動きに!?
以上のような点は随時チェックしておく必要がありますが、基本的には米ドル高傾向が続き、米ドル/円も再び125円を目指す動きが見られるのではないか?と、現時点では考えています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
ということで、今回は2016年、最後のコラムとなります。1年間、本当にありがとうございました。みなさま、良いお年をお迎えください。
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