■NYダウは史上最高値更新だが、金利や為替はちょっと違う
12月7日(水)もまたNYダウは急騰し、連日、史上最高値を更新し続けています。
(出所:CQG)
米国の株式市場は、依然としてトランプ氏に対する期待を持ち続けているようです。しかし、金利、為替は少し違う反応となってきています。
そもそも、今回の米大統領選挙後、もっとも大きな動きをしてきたのは、米国長期金利の市場です。
【参考記事】
●トランプ大統領誕生で暴落後に株高・円安へ! だが、トレンドを作ると考えるのは早計!?(11月10日、今井雅人)
●トランプ相場で「米国買い」状態だがすべて憶測による値動き。崩れる局面あるかも…(11月17日、今井雅人)
●米ドル/円の連騰を演出しているのは誰? 上値メドは? 感謝祭明けたら空気一変か(11月24日、今井雅人)
■世界の投資家は、莫大な米国債買いをしていた
米国の長期金利は、ここ3年間、長期的な下落トレンドを作ってきました。2015年の終わりにFOMC(米連邦公開市場委員会)が政策金利の引き上げを実施しても、その傾向は変わりませんでした。
【参考記事】
●ドル/円120円~121円台はなぜ買いなの? 安易な新興国通貨への投資は止めよう!(2015年12月17日、今井雅人)
(出所:CQG)
こうした傾向を作ってきたのは、基本的に、世界的なディスインフレ(※)の流れの中でのヘッジファンドなどを中心とした投資家の米国債券買いです。
(※編集部注:「ディスインフレ」とは、ディスインフレーションの略で、物価上昇率が低下し、インフレーション(インフレ)が収束した状態のこと)
つまり、世界の投資家は、莫大な金額の米国債券のロングポジションを持っていたと言うことです。
■米長期金利が上昇した背景にある米国債の投げ売り
そういう状況の中、トランプ氏が減税と大規模な財政出動を宣言しました。これは、明らかにインフレ政策です。
これがきっかけとなって、米国債券の投げ売りが起きました。それが、米国の長期金利の急上昇の背景です。
2016年半ばから見ると、米国の長期金利は1%も上昇しています。かなりのポジション整理が行われてきたとみて良いでしょう。
だからこそ、長期金利は一服してきているのだと思います。
(出所:CQG)
■米ドルの上昇度合いがもっとも顕著だったのは、対円
為替相場も同様です。
米ドル相場が、米国の長期金利の動向に大きな影響を受けることは、一般的によく知られています。
今回も長期金利の上昇とともに、米ドルが上昇しました。しかし、米ドルの上昇度合いは、通貨によって異なっています。
米ドルの上昇が著しいのは、言うまでもなく対円です。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
では、なぜそうなったか?
それは、もちろんリスクオンになると円安になる傾向があることは、1つの要因です。
しかし、それ以上に…
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