■OPECは来年3月までの減産延長がコンセンサス
でも、アメリカは一昨年(2015年)12月、昨年(2016年)12月、今年(2017年)3月ともう3回利上げしていて、フレッシュさはないですよね。
たしかに昨年(2016年)12月、今年(2017年)3月と利上げするたびに高値を切り下げています。米10年債利回りも上がりにくくなってきました。
一部ではECB(欧州中央銀行)のテーパリング(※)観測が高まっています。
新鮮さという意味ではすでに3回利上げしているアメリカより、ユーロのほうが上。本当にテーパリングに動くのなら、ユーロは買われやすくなりそう。
(※編集部注:「テーパリング」とは、量的緩和政策により、進められてきた資産買い取りを徐々に減少し、最終的に購入額をゼロにしていこうとすること)
中長期的に考えればそうなりますね。ただ、ユーロについてはマクロンラリーの上昇に対する調整がそろそろ入るかなと思っています。
ユーロ/米ドルを見ると1.13ドルの節目が近づいている。1.13ドルは米大統領選当日、昨年(2016年)11月8日(火)につけた高値です。
ここを明確に超えてくるようならマクロンラリー継続と考えていいのでしょう。

(出所:Bloomberg)
アメリカが利上げできるかどうか、米国株の動向もポイントのひとつですが、ロシアゲート問題にもNYダウは大きく崩れていません。

(出所:Bloomberg)
今週は、5月25日(木)にOPEC総会(石油輸出国機構)が開催されますが、来年(2018年)3月までの減産延長が合意される見通し。
減産延長を織り込む形でWTI原油が再び50ドルの大台を回復する上昇となっていることなどは、株価のプラス要因です。
ただ減産延長合意を先取りしての原油上昇ですので、5月25日(木)に合意が発表されるとセル・ザ・ファクトで反落する可能性も……。

(出所:Bloomberg)
■ユーロ/円は押し目買い、ドル/円は110円~113円のレンジ
それから、今朝はまた北朝鮮のミサイル発射がありました。下窓を開けて始まったものの、すぐに埋めましたね。
HFT(超高速取引)が反射的に売るのでしょうが、彼らは手仕舞いも早いため、反応は一時的となりやすい。
今週(5月22日~)、地政学リスクで気になるのは北朝鮮よりもトランプ米大統領のイスラエル訪問です。
アメリカは在イスラエル大使館をテルアビブからエルサレムに移転する計画を持っており、イスラム諸国の反発を買っている。今回の訪問は大使館移転と関係ないと政府高官が発言していますが、火種であることは事実。
今週(5月22日~)の戦略はいかがですか?
ちょっと難しい週ですね。FRB高官の発言やユーロ/米ドルの1.13ドルに注目して様子を見たいと思います。
米ドル/円は1ドル=110円から113円程度のレンジでしょうか。マクロンラリーが急だったため、ユーロ/円はいったん調整があるかもしれません(※)。
しかし、テーパリングの話もあるため、調整する場面ではスウィング用の買いポジションを仕込んでいきたいと思います。
(※編集部注:本記事公開直後、ドイツのメルケル首相が「ユーロは弱すぎる」と発言しました。これを受けて、対談者の1人・西原氏より編集部に連絡があり、「メルケル首相の発言が出たため、ユーロ/米ドル、ユーロクロス(ユーロと米ドル以外の通貨との通貨ペア)の押し目は極めて限定的なものになるかもしれません」とのコメントが寄せられました)
(構成/ミドルマン・高城泰)
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
メルマガ「トレード戦略指令!」有料会員向けに西原宏一さんとフリーアナウンサーの大橋ひろこさんがぶっちゃけトークを繰り広げる動画コンテンツ「FX・投資作戦会議」を一部無料公開しています。ぜひ、ご覧ください。
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は10日間の無料体験期間がありますので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)