■投機筋による極端な円売り越し状態は解消
米ドル/円は北朝鮮の地政学リスクで下落していましたが、8月15日(火)に北朝鮮がグアム沖へのミサイル攻撃を見合わせたことで地政学リスクが緩和し、リスクオンの動きとなったことから、16日(水)に110.95円まで上昇しました。
地政学リスクは緩和しましたが、16日(水)のNY時間に公表されたFOMC(米連邦公開市場委員会)議事録がハト派と受け取られたり、トランプ大統領が「戦略・政策フォーラム」を解散したりと米ドル売りの材料が出て、さらにトランプ政権への不信感もあって、米ドル/円は18日(金)に108.60円まで下落しました。
【参考記事】
●“アレ”に比べたら北朝鮮リスクもトランプ氏のゴタゴタも小粒! クロス円は一巡後上昇へ(8月18日、陳満咲杜)
●ドルは当面低空飛行!? 投資家が米ドルを買えない一番の原因はトランプ大統領だ!(8月17日、今井雅人)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 4時間足)
米ドル/円が下がったことで、8月15日(火)時点のIMM(国際通貨先物市場)における投機筋の米ドルに対する円の売り越しは約7.7万枚まで減少しており、極端な偏りはなくなっています。
(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移)
■イエレン議長が利上げに前向きになる可能性も!?
今週(8月21日~)は、24日(木)~26日(土)にジャクソンホール会議(※)があり、イエレンFRB(米連邦準備制度理事会)議長が金融の安定をテーマに講演することが予定されています。
(※編集部注:「ジャクソンホール会議」は米ワイオミング州ジャクソンホールで開催される、カンザスシティー連銀主催の年次経済シンポジウムの通称。世界中の中央銀行総裁や金融関係者の多くが参加するイベントのため、毎年、市場参加者から高い注目を集めている)
トランプ政権への不信感と経済政策の遅れもあり、米国の利上げ観測は後退していましたが、トランプ大統領が18日(金)にバノン首席戦略官・大統領上級顧問を解任したことで、減税改革は進めやすくなったため、イエレンFRB議長が利上げに前向きになる可能性はあります。
目先の米ドル/円ですが、トランプ政権への不信感や、米ドル/円が下降トレンドになっていること、今月(8月)に入ってから111円台に乗せることができないことなどを考えると、108円を下攻めする可能性はあります。その一方、108円台は何度もサポートされており、バノン氏の解任もあったため、先週(8月14日~)に続いて、まだ横ばいになるのではないかと考えています。
【参考記事】
●米ドル/円は重要なサポートゾーンで反発。でも、108円割れの可能性が残る理由とは?(8月15日、バカラ村)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 日足)
■ユーロ/米ドルはテクニカルで上昇を示唆しているけど…
ユーロ/米ドルに関しては、8月16日(水)に関係者の話として「ドラギECB(欧州中央銀行)総裁はジャクソンホール会議の講演でECBの金融政策について触れない」ことが伝わり、さらに17日(木)に公表されたECB理事会の議事要旨に「ユーロ高を懸念している」という内容が含まれていたためユーロ安となりましたが、ユーロ/米ドルの1.1650~1.1680ドルはサポートされ、売り材料が出ても下げきれない展開が続いています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
テクニカル的には、上昇トレンド中のフラッグのような、トレンド小休止のチャートパターンを形成しています。これは、トレンドが再開する可能性の高い形となりますが、ただ、ECBのユーロ高懸念は重要だと思われ、ここからの上昇は、ポジションが整理されないと難しいのではないかと思います。
ユーロもジャクソンホール会議が重要となります。ドラギECB総裁は講演で金融政策について触れないと言われていますが、ドラギ総裁もECB理事会後の記者会見でユーロ高を懸念していたため、何らかのユーロ安誘導発言が出てくる可能性があるのではないかと考えています。
【参考記事】
●ジャクソンホールでのドラギ総裁講演への期待剥落…。ユーロ/円のショートを継続!(8月21日、西原宏一&大橋ひろこ)
●ジャクソンホールを前にドラギECB総裁講演への期待後退。ユーロ/円は調整局面入り(8月17日、西原宏一)
ユーロ/米ドルは、テクニカルでは上昇が示唆されているものの、米ドル/円と同様、こちらも大きな動きは出ず、1.1650~1.1900ドルのもみ合いになる可能性が高いのではないかと思います。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 日足)
基本的には様子見で考えているのですが、当局のユーロ高懸念があるので、どちらかというと売り方向ではないかと考えています。
■英ポンド/円トレードで500pipsの利益!
トレードの方は、IMMにおける投機筋の米ドルに対する円売り越しポジションの偏りを参考に、8月3日(木)から英ポンド/円を売っていましたが、前述したとおり、直近で投機筋の円売り越しが約7.7万枚まで減っており、8万枚に減少するまでが下攻めの1つの基準と考えていたので手仕舞いしました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足)
トレードや相場観については主にメルマガ「バカラ村のFXトレード日報!」で配信していますが、最初に取った英ポンド/円のポジションは500pipsほどの利益となりました。
それ以外にもポジションを増やしたり、一部を手仕舞いしながら下降トレンドに乗っていましたが、前述した投機筋の米ドルに対する円売り越しポジションの偏りが減ったことに加え、想定よりも下げのスピードが速かったこと、さらに重要イベント前ということで、いったん、すべて手仕舞いしました。
【参考記事】
●英ポンド急落! 英ポンド/米ドルより英ポンド/円を売った方がいい理由とは?(8月8日、バカラ村)
ここからは、前述したように、米ドル/円やユーロ/米ドルなどで明確な方向性が出にくいのではないかと考えているので、少し離れて相場を見たいと思います。
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