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田向宏行
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バカラ村の「FX専業トレーダーの相場観」

米ドル/円は重要なサポートゾーンで反発。
でも、108円割れの可能性が残る理由とは?

2017年08月15日(火)12:23公開 (2017年08月15日(火)12:23更新)
バカラ村

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■米ドル/円の下落は一時的に止まった格好に

先週(8月7日~)は地政学リスクが意識され、米ドル/円が下落しました。

 北朝鮮がグアム沖へミサイルを発射する計画を検討していると表明したことで、米ドル/円は11日(金)に108.73円まで下がりました。

 この11日(金)の安値108.73円付近には、4月17日(月)の安値108.13円、6月14日(水)の安値108.82円があり、108円台はサポートゾーンとなっているので、テクニカル的に重要な水準です。

米ドル/円 日足
米ドル/円 日足

(出所:Bloomberg)

11日(金)の日足のローソク足はほぼ同時線(※)となり、横軸(時間軸)も約2か月ごとに底打ちをしていることから、今回も下げ止まった形となりました。

(※編集部注:「同時線」とはローソク足の形状の1つで、始値と終値が同じ価格であったことを示すもの。相場が上昇、下落のどちらかへトレンド転換することを暗示している可能性が高い足型とも言われる)

【参考記事】
「円高の極」終了ならドル/円は上昇へ。金と米ドル/円の相関性に注目すると…!?(8月14日、西原宏一&大橋ひろこ)

 ドルインデックスも、92台のサポートゾーン下限で反発を示唆しており、米ドル/円の下落も一時的に止まったように思います。

ドルインデックス 週足
ドルインデックス 週足

(出所:Bloomberg)

■米ドル/円はまだ下がりやすい時期、108円割れトライも

 ただ、今回に関しては、季節性からまだ下がりやすい時期となり、IMM(国際通貨先物市場)における投機筋のポジションも8月8日(火)時点で約9.6万枚の円売り越しに偏っていること、日経平均も下がり始めたことなどから、米ドル/円が上昇するのは一時的だと考えています。

IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(米ドル/円)
IMM(国際通貨先物市場)のポジション状況(米ドル/円)

(詳しくはこちら → 経済指標/金利:シカゴIMM通貨先物ポジションの推移

 ここまで、米ドル/円は108円台~114円台の往復を繰り返していましたが、これらの理由から、今回は時間調整後に、米ドル/円は108円割れをトライする動きが出てくるのではないかと考えています。

【参考記事】
米ドル/円が下がりやすい8月が到来! まずは108円台を目指す動きを想定(8月1日、バカラ村)

 来週(8月21日~)は、24日(木)~26日(土)に「ジャクソンホール会議」(※)もあって、目先は動きにくい状況となるため、米ドル/円は今週(8月14日~)は108.50円~111.00円のレンジ内で推移し、その後に下値をトライするのではないかと考えています。

(※編集部注:「ジャクソンホール会議」は米ワイオミング州ジャクソンホールで開催される、カンザスシティー連銀主催の年次経済シンポジウムの通称。世界中の中央銀行総裁や金融関係者の多くが参加するイベントのため、毎年、市場参加者から高い注目を集めることで知られている)

■英ポンド/円の売りは一部の保有を継続

 トレードの方は、8月3日(木)から英ポンド/円を売っていましたが、思惑どおりに下がってくれたので、ある程度、手仕舞いし、まだ米ドル/円が下がる可能性が残っていることから、英ポンド/円の売りポジションの一部は保有を継続しています。

【参考記事】
英ポンド急落! 英ポンド/米ドルより英ポンド/円を売った方がいい理由とは?(8月8日、バカラ村)

英ポンド/円 日足
英ポンド/円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 日足

 IMMの投機筋の円売り越しポジションが減るようであれば、米ドル/円が108円を下抜ける可能性も低くなるので、そのときは英ポンド/円の売りポジションを手仕舞いするつもりですが、いまだに円売り越しが多いため、米ドル/円は下抜けする可能性が高いのではないかと考えています。

■ポジション調整終われば円売り再開しそうだけど…

 金融政策面では、日銀は緩和策を継続すると予想されることから、中長期的には円安で推移すると考えていて、今の円高はあくまでもポジション調整で、北朝鮮の地政学リスクはポジション調整のための材料にされたに過ぎないと考えています。

【参考記事】
北朝鮮リスクは調整材料に使われただけ!? 基本トレンド変化なし。円高進めば買いたい(8月10日、今井雅人)
トランプ氏の“ご乱心”に市場は過剰反応。今回の「リスクオフ」はホンモノではない!(8月14日、陳満咲杜)

 そのため、このまま円買いが続くと考えておらず、ポジション調整が終われば、円売りが再開するのではないかというのが中長期的な見方です。

 今週(8月14日~)については、米ドル/円が108円台でサポートされたことや、来週(8月21日~)にイベントを控えていることもあって、方向感のない推移になると考えています。

 その後は、まだ円売りのポジションが偏っているので、地政学リスクが意識されるなどの材料が出れば、それをきっかけにして、米ドル/円やクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は下値トライの動きが出てくるのではないかと考えています。

世界の通貨VS円 日足
世界の通貨VS円 日足

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足

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