■編集長と別行動した記者が向かったのは、ギロッポン
改正資金決済法(2017年4月施行)で義務付けられた仮想通貨交換業者の登録猶予期限(施行から半年間)が迫った2017年9月29日(金)。
先日、別の記事でお伝えしたとおり、ザイFX!編集長の井口が、山積みされた仕事を放り出して急遽、bitFlyer(ビットフライヤー)の記者発表会場に向かっている頃、記者は、別の会社の記者会見会場を目指し、東京メトロに揺られてガッタンゴットンと移動中でした。
【参考記事】
●仮想通貨交換業者11社が金融庁登録!(1) “記者会見合戦”が行われた歴史的瞬間
●仮想通貨交換業者11社が金融庁登録!(2) ビットフライヤーは仮想通貨出来高世界一!
●仮想通貨交換業者11社が金融庁登録!(3) 徹底比較! 資本金の多い会社はどこ?
記者が向かったのは、主要FX会社の中で一番最初に仮想通貨事業への参入を宣言したマネーパートナーズの記者会見会場。東京・六本木にあるマネーパートナーズの本社です。

9月27日(水)に、マネーパートナーズからもたらされた「仮想通貨に関する記者会見をします」という呼びかけに応じ、いそいそと向かったのでした。
きっと、仮想通貨交換業者の登録が完了しましたって話かな? と思いつつも、他にも、もしかしたら何か重大な発表があるかも? と期待に胸を膨らませつつ…。
■いち早く業務提携話を進め、ビットコインレート&チャート公開
だって、これまでの経緯を考えてみれば、何かあるかも? と期待せずにはいられません。
振り返ってみると、親会社であるマネーパートナーズHDは、2015年7月の段階で米大手仮想通貨取引所・Kraken(クラケン)との「業務提携に係る基本合意に関するお知らせ」を公表。2016年1月からは、マネーパートナーズのウェブサイトでクラケンから提供を受けた「ビットコイン/米ドル」のレートとチャートを公開していました。
【参考記事】
●ビットコインの衝撃(1) マネパでビットコインが買えるように!? そもそもビットコインとは?
●マネパがビットコインレートの表示開始! ビットコインが夏に上昇しそうな理由とは?
ザイFX!では、この頃から、近い将来、マネーパートナーズでビットコインなどの仮想通貨を取引できるようになるのではないか!? と興味津々だったのです。
しかし、これまでは、仮想通貨交換業者の金融庁登録前だったからなのか、具体的にマネーパートナーズが仮想通貨を使ってどんなサービスを提供しようとしているのか? 記者の知る限り、具体的なところは明らかにされていませんでした。それが、いよいよ、記者会見で明らかになるのかな? と思ったワケです。
■マネパの記者会見で語られたのは? 登録番号は1番!
2017年9月29日(金)17時30分頃からスタートしたマネーパートナーズの会見。詰めかけた記者たちの前に現れたのは、マネーパートナーズの奥山泰全社長でした。
【参考記事】
●マネーパートナーズ・奥山社長に聞く(1) 専業個人トレーダーからFX会社の社長へ
会見で明らかになったのは、やはり、まず、マネーパートナーズが仮想通貨交換業者として登録を完了したということ。それも関東財務局長 第00001号とのことでした。
また、日本国内でFX取引サービスを提供しているFX会社は、すべて金融商品取引法(金商法)に基づき、金融商品取引業者の登録を受けていますが、マネーパートナーズは、金融商品取引業者との兼業で唯一、仮想通貨交換業者の登録が認められたそうです。
今回、全部で11社が仮想通貨交換業者として登録を完了したのですが、たしかに、FX事業を営んでいるFX会社そのもので仮想通貨交換業の登録を完了した会社は、マネーパートナーズ以外にありません。
以下は、10月6日(金)公開の「仮想通貨交換業者11社が金融庁登録!(3)徹底比較! 資本金の多い会社はどこ?」で掲載した表の再掲載。仮想通貨交換業者11社をFX業界関連以外とFX業界関連に分け、さらに、登録番号や資本金なども併せて掲載したモノです。
【参考記事】
●仮想通貨交換業者11社が金融庁登録!(3)徹底比較! 資本金の多い会社はどこ?
<仮想通貨交換業者登録一覧>
<FX業界関連以外>
登録 年月日 |
登録番号 | 仮想通貨 交換業者名 |
資本金 | 備考 |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00002号 |
QUOINE株式会社 | 約20億円 | |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00003号 |
株式会社bitFlyer | 41億 238万円 |
|
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00004号 |
ビットバンク株式会社 | 11億 3100万円 |
|
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00008号 |
BTCボックス株式会社 | 8508万円 | |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00009号 |
株式会社ビット ポイントジャパン |
4億 3000万円 |
|
2017年 9月29日 |
近畿 財務局長 第00002号 |
テックビューロ 株式会社 (取引所の名称は 「Zaif(ザイフ)」) |
8億 3013万円 |
<FX業界関連>
登録 年月日 |
登録番号 | 仮想通貨 交換業者名 |
資本金 | 備考 |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00001号 |
株式会社 マネーパートナーズ |
31億円 | |
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00005号 |
SBIバーチャル・ カレンシーズ株式会社 |
9億 8000万円 |
|
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00006号 |
GMOコイン株式会社 | 17億 5800万円 |
|
2017年 9月29日 |
関東 財務局長 第00007号 |
ビットトレード 株式会社 |
1億 100万円 |
ビットバンクの 取引システムを 使用 |
2017年 9月29日 |
近畿 財務局長 第00001号 |
株式会社フィスコ 仮想通貨取引所 |
5250万円 | Zaifの取引 システムを使用 |
各社公式サイト、関連会社のリリースなどからザイFX!編集部が作成。資本金の数字には「資本準備金を含む」との記載がある会社もある。
登録を受けた11社のうち、GMOコイン、SBIバーチャル・カレンシーズ、ビットトレードは、それぞれGMOクリック証券、SBI FXトレード、FXトレード・フィナンシャルの兄弟会社や関連会社ですが、いずれも、FX事業を営む会社とは別会社で登録を受けています。
■マネパが提供するのは、仮想通貨を活用した決済サービス
「登録申請中です」みたいなお知らせは、あまり見かけませんでしたが、各社が仮想通貨交換業の登録に向けて動いているっぽい段階から、なぜマネーパートナーズは、他のFX会社のように兄弟会社や関連会社を設立しないのか? しないということは、マネーパートナーズ本体で仮想通貨交換業の登録をしようとしているのか?
などと、記者的には疑問でしたが、今回の記者会見で、マネーパートナーズが仮想通貨を使って、どんなサービスを提供しようとしているのかが明らかになり、なんとなく納得できました。
ズバリ、マネーパートナーズは、仮想通貨の取引を提供するサービスには参入しないそうです。つまり、仮想通貨取引所の運営などに乗り出す予定はないということ。
お伝えしたとおり、ザイFX!的には、以前から「近い将来、マネーパートナーズでビットコインなどの仮想通貨を取引できるようになるのではないか!?」と期待していたワケですが、現段階でそれはない…ということが明らかになりました。
FX事業でノウハウを蓄積してきたマネーパートナーズが仮想通貨取引所の運営などに参入すれば、きっとすでに世の中に出ているモノよりも、うんとわかりやすくて使いやすい、安心感のあるサービスが実現するだろうなぁと期待していただけに残念…。
取引じゃないなら、いったいマネーパートナーズは、仮想通貨を使ってどんなサービスを提供しようとしているのか?
奥山社長の話では、いわゆる取引に関連するサービスではなく、マルチカレンシー・プリペイドカードとしてマネーパートナーズが提供している「Manepa Card(マネパカード)」の決済通貨の1つとして、ビットコインなどの仮想通貨を提供できるようにしていきたいということらしいです。

ここでは、マネパカードに関する詳細な説明は省きますので、マネパカードについて知りたい方は、以下の記事をチェックしてくださいね。
【参考記事】
●国内利用で最大2%のキャッシュバック! マネパカードの魅力は両替以外にもあった
■マネパカードにビットコインをチャージできるようになるの?
現在、マネパカードには、米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、香港ドル、日本円と6通貨のチャージが可能ですが、近い将来、ここにビットコインなどの仮想通貨が乗っかってくるということ? ですかね。

実は、マネパカードでは、2017年4月から、今回、仮想通貨交換業の登録を受けた会社の1つ、テックビューロが運営する仮想通貨取引所・Zaif(ザイフ)との連携が始まっており、Zaifに保有しているビットコインを日本円に換金し、手数料無料でマネパカードへチャージすることができるようになっています。
現段階でマネパカードにチャージできるのは、あくまで、ビットコインから換金した日本円ですが、記者会見での奥山社長の話ぶりから察すると、おそらく、今後はもう一歩先…つまり、マネパカードに直接ビットコインなどの仮想通貨をチャージできるようになるってことなのではないかと思われます。そして、その仮想通貨の残高を元に(どういうしくみかは、わからないけれど)、そこら辺のお店で、マネパカードを使った支払いができるようになるのではないかと。
■マネパが登録した仮想通貨は、ビットコインのみだけど
なお、今回、マネーパートナーズが取扱い仮想通貨として登録したのはビットコイン1つだけですので、とりあえず、一番最初にマネパカードにラインナップされる仮想通貨は、ビットコインということになりそう。もしかしたら、今後、イーサリアムなども追加されていくのかもしれませんが…。
実際にサービスがリリースされるのは、2018年3月頃を予定しているとのことですが、詳細は、準備でき次第、発表するとのこと。詳しいことは、詳細が出てくるまで、もう少し待っていましょう。
家電大手のビックカメラをはじめ、ビットコインでの決済に対応しているお店は、最近、増えてきたように感じますが、まだまだ使える場所も使う人も限られている印象です。誰でも当たり前のように、そこら中のお店で利用しているという水準にまでは到底、至っていませんよね?
お店のレジで前の人が、「Suica(スイカ)で」とか「Edy(エディ)で」とか言っているのはいろんなところで見かけますが、「ビットコインで」と言っている場面に、記者はまだ遭遇したことがありません。
今後、マネパカードでビットコインを使った決済サービスが提供されることによって、もしかしたら格段に使い勝手がよくなり、一般の人にも、もっとビットコインが身近な存在になっていくのかも? 今後の展開に注目です。
さて、実は記者は、10月2日(月)にも別の記者会見に…
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