(「【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門(2) 「電子マネー」と「仮想通貨」の違いとは?」からつづく)
■法定通貨「円」とビットコインの根本的な違い
仮想通貨のビットコインですが、ふだんのお買い物などで使えるとなると、だいぶ“リアル”な感じがしますよね!? ここまでくるともう、「円」と変わらない、いわゆる「通貨(お金)」なんじゃないか?という気もしてきます。
しかし、残念ながら日本の法律で通貨として認められるのは、文字どおり「法定通貨」のみ。すなわち、日本銀行(日銀)が発行する日本銀行券(紙幣)と、日本政府が発行する貨幣(硬貨)である「円」だけなんです。

日本銀行券(紙幣)の発行は、日本銀行が担っている。写真は、東京都中央区日本橋本石町にある日本銀行本店 (c)Rainbow/a.collectionRF /amanaimages
たとえば、物質的には、ただの紙切れにすぎない1万円札。精巧な印刷代を含めても、原価は20~30円程度だと言われています。
では、20~30円の紙切れを、なぜ1万円のものと交換できるのか? それは、「この20円の紙切れには、1万円の価値がある」と利用者が信じているからですね。
そして、「日銀が発行した日本銀行券は日本の通貨です」と法律で定められていることが、その信用を強固なものにしています。
また、日銀は、単に紙幣を発行するだけでなく、通貨の供給量をコントロールしたり、通貨が正常に流通するためにさまざまな取り組みを行ったりしています。そのおかげで、私たちは安心して「円」を利用できるんです。
■ビットコインの目的は「金融機関などを介さないやり取り」
では、ビットコインの発行や流通は、誰が管理しているの?
答えは、誰も管理していない、というものになります。
そもそも、ビットコインは、「第三者機関を介さずに、当事者同士で安全にやりとりできる(※)=管理者が必要ないので、高額な手数料をかけずにやりとりできる」ような決済手段を作り出すために誕生しました。
(※このことを「トラストレス」なんて言い方をします)
ですから、「管理者不在」ということこそ、ビットコインの神髄なんです。
仮想通貨 (ビットコインなど) |
法定通貨 (日本円など) |
|
発行主体 | なし | 国、中央銀行 |
管理者 | なし | 国、中央銀行 |
実体 | なし | あり |
発行量 | 上限あり | 上限なし |
※一部では発行主体がある仮想通貨も存在するなど、例外もある
じゃあ、ビットコインは、いったい、どこからどうやって出てくるの?
そういえば、ビットコインを「採掘する」とか「マイニングする」とかいう言葉も耳にするから、発行者が発行するんじゃなくて、なんだか「掘り当てる」ものっぽいイメージもあるけど、さすがに自然発生するとも思えませんよね…?
次の記事では、このナゾを解明すべく、ビットコインのしくみと、その誕生秘話を紹介したいと思います。
【参考コンテンツ】
●ビットコイン・仮想通貨の取引所/販売所を比較。取引コストが安いのはどこ?
(「【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門(4)ブロックチェーンって結局、何なの!?」へつづく)
(ザイFX!編集部・上岡由布子)
【目次】 【超初級】 ビットコイン・仮想通貨入門
■【第1回】 そもそも、ビットコインとは何なんですか?
■【第2回】 「電子マネー」と「仮想通貨」の違いとは?
■【第3回】 円などの「法定通貨」と「仮想通貨」の違い
■【第4回】 ブロックチェーンって結局、何なの!?
■【第5回】 マイニングとはいったい何をしているのか?
■【第6回】 マウントゴックス事件はどんな事件だった?
■【第7回】 ビットコインアドレスはなぜ匿名性が高い?
■【第8回】 ビットコインはどうやって手に入れるの?
■【第9回】 ビットコインの値動きの要因は何だろう?
■【第10回】 利益に税金はかかる? 詐欺や盗難に注意
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