■コーンNEC委員長の辞任で株安・円買い!
先々週(2月26日~)に続き、先週(3月5日~)もイベントや材料の多い週でした。
まず、3月7日(水)に、コーンNEC(米国家経済会議)委員長が辞任の意向を示しました。
トランプ大統領と貿易問題で意見が合わなかったこともあって、辞任という形になり、これによってリスク回避の動きが出て、株式市場は下がり、為替市場は円買いの動きとなりました。
【参考記事】
●輸入関税に反対してきたコーン氏が辞任! ドル/円は上値重く、105円決壊なら100円へ(3月8日、西原宏一)
●米ドル/円は100円も視野! 強硬姿勢のトランプ米大統領。暴走は止められない?(3月8日、今井雅人)
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■ECBは着実に出口へ。ユーロは長期的に強い通貨に
3月8日(木)には、ECB(欧州中央銀行)理事会がありました。政策金利は据え置きでしたが、声明文の中から「必要なら量的緩和の規模を拡大する」との文言が削除されたことで、瞬間、ユーロ買いに推移し、ユーロ/米ドルは1.2445ドルまで上昇しました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:ユーロ/米ドル 4時間足)
2018年9月に、月間300億ユーロの資産購入がいったん終了しますが、その後、さらに延長するか、段階的に縮小していく可能性は残されています。しかし、拡大するという可能性は、経済状況が変わらない限り、無くなったと言えます。
【参考記事】
●ECBの声明は本来ならユーロ高になる内容だったのに、なぜユーロは下落したのか?(3月9日、陳満咲杜)
ECBの金融政策が着実に出口へ向かっていることもあり、長期的にユーロは、強い推移になりやすいといえそうです。
(出所:Bloomberg)
■貿易問題は目先、収束? でもトランプ大統領は不満そう…
3月9日(金)の早朝には、トランプ大統領が鉄鋼・アルミニウムの輸入関税に関する詳細を発表しましたが、カナダとメキシコは適用国から外れました。
さらに、日本と欧州に関しては、今後、協議していくとしたことで、目先は貿易問題は収束したように思います。
ただ、10日(土)にトランプ大統領はTwitterで「安倍首相と、対日貿易で1000億ドルの赤字解消の話をした。公平でも、持続可能でもない」と、まだ貿易問題に関して不満を述べています。
【参考記事】
●トランプのツイッター砲が日本を直撃!! 基本は米ドル/円の戻り売りだが、慎重に(3月12日、西原宏一&大橋ひろこ)
トランプ大統領は鉄鋼とアルミニウムに対する輸入関税で、カナダとメキシコを適用国から除外し、日本や欧州とは協議していくと決定した。貿易問題はいったん収束したように思えるが… (C) Chip Somodevilla/Getty Images News
トランプ大統領や他の要人が貿易問題に関して発言するようであれば、円高へ推移する動きが出てきやすいですが、基本的には、今後の協議によるものであることから、米ドル/円やクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が、すぐに下がるとは考えておりません。
ただ、円売りを積極的に仕掛ける状況でないことは確かなので、米ドル/円の上昇も、あまり期待できない状況ではないかと考えています。
【参考記事】
●テーマは米貿易戦争! 米ドル/円は105円トライの材料待ち。ユーロはレンジ上限へ(3月6日、バカラ村)
■地政学リスク緩和! 財務相の辞任否定でいったん落ち着く
3月9日(金)の9時頃には、米朝首脳会談が5月までに開催されることが決定したと伝わり、これで北朝鮮の地政学リスクが緩和しました。
地政学リスクが緩和したことと、9日(金)発表の米雇用統計の結果もあって、米ドル/円は107.05円まで上昇しました。
そして、週末の3月9日(土)には、森友学園の国有地売却における決裁文書の書き換え問題で、麻生財務相が辞任する可能性が出ました。
もし、麻生財務相が辞任となると、日経平均や米ドル/円は下落することになりますが、昨日(3月12日)、麻生財務相が辞任を否定し、いったんは落ち着いた動きをしています。
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■今週は方向感のないもみ合いを形成か
先週(3月5日~)は、イベントや材料が豊富にあったため、上下動が激しかったですが、メインの材料である貿易問題では、日・欧については協議することが決まり、森友学園問題も麻生財務相が辞任を否定したこともあって、相場を動かす材料は目先、据え置かれたことになったと考えています。
そのため、今週(3月12日~)は方向感のない、もみ合いを形成するのではないかと考えています。
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■米ドル/円は米中間選挙に向けた円高で105円割れへ
米ドル/円も、2月16日(金)に105.54円、3月2日(金)に105.25円で下げ止まり、105.00円にはバリアオプションがあり、材料としても、下押しするものが今は見当たりません。そのため、その水準が下限となり、上は108円がレジスタンスとなることから、まだ、そのレンジでの推移が続きそうです。
(出所:Bloomberg)
長期的には、まだ11月の米中間選挙に向けて、トランプ大統領が貿易問題のカードを切ってくると考えているので、円高になりやすいのではないかと考えています。
【参考記事】
●ドル/円は108円台前半を超えなければ下落トレンド継続。ユーロ/米ドルは1.20ドル台へ?(2月27日、バカラ村)
そのときは、米ドル/円が105円も割り込むことになると思いますが、目先に関しては、まだもみ合いの中での推移が続きそうです。
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