現在、金融庁では「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」が行われています。2018年5月17日までに合計4回の有識者検討会が開かれました。
ザイFX!では、その模様を以下のとおり、毎回お伝えしてきました。
【参考記事】
●2018年2月13日開催 第1回有識者検討会…日経は新レバレッジ規制の結論を知ってる!? 「第1回有識者検討会」で話されたこととは?
●2018年3月12日開催 第2回有識者検討会…有識者から新レバレッジ規制必要なしとの声も!?春に規制ありとした日経新聞は誤報?
●2018年3月29日開催 第3回有識者検討会…有識者検討会に新たな参加者もレバレッジ規制強化の声はなく…!?
●2018年4月13日開催 第4回有識者検討会…風雲急!店頭FX原則禁止論まで飛び出した第4回検討会。レバ規制強化派が優位に!?
このうち、有識者検討会(第4回)では、日本のFX業界を根底から揺るがすような討議がなされたため、上の記事に加えて、ザイFX!では有識者検討会(第4回)の全文書き起こしを全3回に分けて公開しました。
【参考記事】
●【全文書き起こし1/3】 店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会(第4回)
●【全文書き起こし2/3】 店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会(第4回)
●【全文書き起こし3/3】 店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会(第4回)
この有識者検討会の議事録は金融庁から順次公開されていく模様です。実際、2月13日に開催された有識者検討会(第1回)の議事録はその29日後の3月14日に金融庁から公開されていました。
しかし、4月下旬の時点で、3月12日開催の有識者検討会(第2回)および3月29日開催の有識者検討会(第3回)の議事録は開催から約1ヵ月~1ヵ月半経過しているのに、なぜか、金融庁から公開されていませんでした。
このため、ザイFX!では有識者検討会(第2回)および有識者検討会(第3回)についても、全文書き起こし作業を行うことは意義のあることだろうと考え、4月下旬の時点でこの作業に着手していました。
ところが、5月11日になって、金融庁は有識者検討会(第2回)および有識者検討会(第3回)の議事録を同時に公開しました。
金融庁の議事録公開により、第2回、第3回有識者検討会の全文書き起こしをザイFX!が公開することの意義は薄れました。
しかし、すでに全文書き起こしの作業はかなり進行しており、正直もったいないという気持ちがありました。また、金融庁の議事録は資料が別掲となっているなど、必ずしも見やすい形態になっていないということもあります。このことなどから、ザイFX!では当コーナーにて、有識者検討会(第2回)および有識者検討会(第3回)の全文書き起こしをこれから公開していきたいと思います。
まず、今回から有識者検討会(第2回)の全文書き起こしを全4回に分けて公開する予定です。当コーナーで先に公開した、この有識者検討会(第2回)の模様を伝える記事は以下のとおりです。
【参考記事】
●2018年3月12日開催 第2回有識者検討会…有識者から新レバレッジ規制必要なしとの声も!? 春に規制ありとした日経新聞は誤報?
今回はオブザーバーとしてこの有識者検討会(第2回)に出席した金融先物取引業協会(金先協会)の事務局長・山崎哲夫氏による説明の部分を公開します。
有識者検討会(第2回)の参加者は以下のとおりです。
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池尾和人氏 | 慶應義塾大学経済学部 教授 | ||
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上柳敏郎氏 | 東京駿河台法律事務所 弁護士 | ||
勝尾裕子氏 | 学習院大学経済学部 教授 | |||
黒沼悦郎氏 | 早稲田大学法学学術院 教授 | |||
坂勇一郎氏 | 東京合同法律事務所 弁護士 | |||
永沢裕美子氏 | Foster Forum 良質な金融商品を育てる会 事務局長 ※少し遅れて参加 |
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松井秀征氏 | 立教大学法学部法学科 教授 | |||
弥永真生氏 | 筑波大学ビジネスサイエンス系 教授 | |||
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星野昭氏 | 三菱東京UFJ銀行 金融市場部長 | ||
伊藤渡氏 | 東京金融取引所 代表取締役専務 | |||
山崎哲夫氏 | 金融先物取引業協会 事務局長 | |||
鬼頭弘泰氏 | GMOクリック証券 代表取締役社長 | |||
小川裕之氏 | SBI証券 取締役経営企画部長 ※本来は高村正人社長がオブザーバーだが、今回は欠席。小川氏が代理として出席 |
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松田邦夫氏 | セントラル短資FX 代表取締役社長 | |||
緒方健太郎氏 | 財務省国際局為替市場課長 | |||
重本浩司氏 | 日本銀行金融市場局為替課長 |
※金融庁配布の資料を基本としつつ、ザイFX!編集部が一部実情にあわせて、追記、変更を行っています。
※メンバー、オブザーバーの所属先は、第2回「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」時のもの。
書き起こしについては細心の注意を払っておりますが、録音した音声が必ずしも鮮明ではない部分もあり、書き起こした文に誤りのある可能性もないとは言えません。その点はあらかじめ、お断りさせていただきます。話し手の言い回しを厳密にそのまま再現しているとは限らず、意味が違ってしまわない範囲で、どうしても冗長となりがちな話し言葉を簡潔な表現にしている部分もあります。
文中に挿入した小見出しはザイFX!編集部で作成したものです。
有識者検討会は配布された資料に基づいて行われています。文中にはその資料を適宜挿入しました。資料は金融庁の以下のウェブページでも見ることができます。
【参考ページ】
●店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会(金融庁公式サイト)
なお、著作権法第三十二条では、国などが一般に周知させることを目的として作成した著作物は、説明の材料として新聞などに転載してよいとされています(ザイFX!編集部)。
「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第2回)
日時:平成30年3月12日(月)10時00分~12時00分
場所:中央合同庁舎第7号館13階 共用第1特別会議室
池尾和人座長(慶応大学経済学部 教授。以下、「池尾座長」と記載) それでは、永沢メンバーが到着遅れられているようですが、定刻になりましたので、ただいまより「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第2回)の会合を開催いたしたいと思います。皆さまにはご多用中のところ、ご参集いただきまして誠にありがとうございます。
本日は、店頭FX取引に関わる関係者からのヒアリングを行いたいと考えています。オブザーバーとして参加いただいております金融先物取引業協会ならびにGMOクリック証券、SBI証券及びセントラル短資FXの各社、また東京金融取引所からそれぞれご説明をいただき、その後まとめて討議とさせていただきます。
ただ会合全体の時間が限られていますので、十分な説明時間が必ず取れませんが、資料はすでにメンバーに配られていますので、要点だけご説明いただければと思います。なおSBI証券の高村オブザーバーは本日所用によりご欠席ということで、代理で小川取締役経営企画部長にご出席いただいております。
それでは早速ですが、金融先物取引業協会、山﨑オブザーバーからご説明をお願いいたします。よろしくお願いします。
山崎哲夫オブザーバー(金融先物取引業協会 事務局長。以下、「山崎オブザーバー」と記載) 山﨑でございます。それでは始めさせていただきます。
※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第2回)の資料1「金融先物取引業協会資料」より、1ページの「店頭FX取引の現状とリスク管理」を掲載
山崎オブザーバー 「店頭FX取引の現状とそのリスク管理」について説明いたします。資料1をご覧ください。2ページ目の目次にて、今回のプレゼンの概要をご説明します。
まずFX取引とはどのようなものであるか、またその現状はどのようになっているか、などを説明いたします。次に現在行われているリスク管理について説明します。その中に第1回検討会でいただいた質問のうち、協会が回答させていただくものも盛り込ませていただきました。
※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第2回)の資料1「金融先物取引業協会資料」より、2ページの「目次」を掲載
山崎オブザーバー 3ページをご覧ください。FX取引をご理解いただくために重要な5つの柱と、これから説明するポイントを示しています。この番号に沿って説明を進めてまいります。
※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第2回)の資料1「金融先物取引業協会資料」より、3ページの「FX取引の概要」を掲載
■金先協会:日本の投資家は円売りを好み、高金利通貨を買い建てる傾向がある
山崎オブザーバー 4ページです。この表は、取引高で見た上位20通貨ペア別のシェアです。取引のメインはドル/円です。
近年は約7割を占めており、ドル/円取引がメインとなっております。黄色の部分をご覧いただくと、上位5通貨ペアで約95%超を占めています。多少のシェア内の変動はありますが、ドル/円、ユーロ/円、ユーロ/ドル、英ポンド/円、豪州ドル/円で変わってはおりません。
※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第2回)の資料1「金融先物取引業協会資料」より、4ページの「店頭取引市場①」を掲載
山崎オブザーバー 5ページをご覧ください。前回質問にございました、単純平均ではない、取引高を勘案した加重平均を算出したものを加えました。色を塗った部分、単純平均11.4%から加重平均7.3%と、4%強低くなっています。
※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第2回)の資料1「金融先物取引業協会資料」より、5ページの「店頭取引市場②」を掲載
山崎オブザーバー 6ページをご覧ください。このグラフは投資家がどのような通貨を売買しているかを見たものです。価格が下がると益が出る売り建てを下段に、また、逆に価格が上がると益が出る買い建てを上段としております。
一貫して円は売り建てられているのが、お分かりいただけるかと思います。これを見る限りでは、日本の投資家は円の売り建てを好み、高金利通貨を買い建てる傾向があるように見えます。
※「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第2回)の資料1「金融先物取引業協会資料」より、6ページの「店頭取引市場③」を掲載
7ページをご覧ください。ここからは2つ目の…
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