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田向宏行
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FX情報局

日経は新レバレッジ規制の結論を知ってる!?
「第1回有識者検討会」で話されたこととは?

2018年02月13日(火)19:38公開 (2018年02月13日(火)19:38更新)
FX情報局

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■会合前日にぶつけられた日本経済新聞の記事

 「FX規制強化へ 金融庁、証拠金倍率10倍に下げ」

 日本経済新聞電子版がそう伝えたのは2月12日(月)。この翌日(2月13日)、金融庁で大切な会合が開催された。

 「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」、つまり店頭FX業者が抱えるリスクを再点検し、新たな規制がどうあるべきかを議論する会合だ。

 店頭FXに対してどんな規制が望ましいのか――まさに今から議論を始めようというときに日本経済新聞は「証拠金倍率10倍に下げ」とすでに結論を知っているかのような記事をぶつけてきたことになる。

■新たなFX規制を議論する有識者会合のメンバーは?

 店頭FX取引に対するレバレッジ規制を強化する動きは、ザイFX!でもたびたび取り上げてきたが、今回の有識者検討会では大学教授や弁護士などの「有識者」によって、改めて議論が行なわれる。日本経済新聞が報じたような「結論ありき」の会合ではないと信じたい。

【参考記事】
FXのレバレッジが25倍→10倍へ引き下げ!? 日経報道は真実? 個人投資家への影響は?
衝撃の13分間。崩れ落ちたトルコリラ/円の真相とは? 暴落の震源地は日本にあった!?のかも…(2)

 有識者メンバーを見ると、経済学の専門家や弁護士が中心であり、座長は経済学者として高名な慶應義塾大学教授の池尾和人氏。

 FX業界からはGMOクリック証券セントラル短資FX、SBI証券、それに東京金融取引所の代表取締役が「オブザーバー」として加わっている。

 ちなみにセントラル短資FXの代表取締役社長、松田邦夫氏の前職は日本銀行だ。

第1回「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」参加者

 
池尾和人氏 慶應義塾大学経済学部 教授



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上柳敏郎氏 東京駿河台法律事務所 弁護士
勝尾裕子氏 学習院大学経済学部 教授
黒沼悦郎氏 早稲田大学法学学術院 教授
坂勇一郎氏 東京合同法律事務所 弁護士
永沢裕美子氏 Foster Forum 
良質な金融商品を育てる会 事務局長
松井秀征氏 立教大学法学部法学科 教授
弥永真生氏 筑波大学ビジネスサイエンス系 教授



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星野昭氏 三菱東京UFJ銀行 金融市場部長
伊藤渡氏 東京金融取引所 代表取締役専務
山崎哲夫氏 金融先物取引業協会 事務局長
鬼頭弘泰氏 GMOクリック証券 代表取締役社長
高村正人氏 SBI証券 代表取締役社長
松田邦夫氏 セントラル短資FX 代表取締役社長
緒方健太郎氏 財務省国際局為替市場課長
重本浩司氏 日本銀行金融市場局為替課長

■新規制の目的は「店頭FX発」のショックを防ぐこと

 会合の様子を簡単に振り返っておこう。初めに事務局(金融庁)からの趣旨説明があった。

 今回、新たな規制について議論を行なうきっかけとなったのは、日本の店頭FX市場が5000兆円規模へと拡大し、一方では店頭FX会社のリスク管理に不十分な点も見られることから、万が一のときには金融システム全体へ影響を及ぼすのでは――といった問題意識だ。

 過去のレバレッジ規制は「投資者保護」や「業者保護」のために導入されたが、今回の目的は「金融システムへの(悪)影響を軽減させるため」ということが前面に出ている。

「金融システムへの(悪)影響を軽減させるため」

■店頭FXの取引高はゆるやかに低下も証拠金は微増

 ちなみに2017年の店頭FX取引の規模は4313兆円と2016年の5194兆円から17%ダウンとなった。

 「FXから仮想通貨へ流れた」というよりは、ユーロ高は進んだものの日本人が主として取引する米ドル/円が10%に満たない小動きとなったためだろう。証拠金残高を見ても微増傾向は続いている。

【参考記事】
2018年初頭に注目したいのはユーロ/円! 米中間選挙に向けて米ドル/円は105円へ(2017年12月21日、西原宏一)

足もとの月間取引高は低下傾向も証拠金は微増

(出所:金融先物取引業協会のデータを基にザイFX!編集部が作成)

店頭FXの年間取引額推移

(出所:金融先物取引業協会のデータを基にザイFX!編集部が作成)

■FX新規制はどんな流れで決まるのか?

 趣旨説明に続いてメンバーからは質問が投げられたが、回答の多くは次回以降への持ち越しとなっている。オブザーバーとして参加したFX会社からの発言はなかった。

 今回は第1回目ということもあり、議論というよりは「問題意識をどこに置くのか」の確認、といった印象だ。

 今後の流れについての説明はとくに行なわれなかったが、過去の動きをみる限り、おそらく以下のように進んでいくのだろう。

(1)有識者検討会で複数回の議論
         ↓
(2)有識者検討会が報告書を作成
         ↓
(3)報告書を参考に金融庁が新たな規制の枠組みを策定
         ↓
(4)パブリックコメントの募集
         ↓
(5)内閣府令の改正
         ↓
(6)新たな規制(レバレッジ上限10倍?)の施行

FX新規制のこれまでと今後

■新たなFX規制はいつ施行されるのか?

 気になるのは新規制が施行される時期だが、昨年(2017年)の日本経済新聞の記事では「夏までに報告書を作成」と伝わっていた。

 しかし、2月12日(月)の日本経済新聞の記事では「金融庁は2018年春にも外国為替証拠金取引(FX)の規制を強化する方針だ」と時期を早めて伝えている。

 有識者検討会に招集されたのは経済学や法律の専門家ではあるものの、FXの専門家ではない。

 第1回の会合では通貨ペアごとの取引の比率や自己資本規制比率の計算式といった質問も飛んでいた。土台となる部分から議論を始めていくようだから、報告書をまとめるのには時間がかかる印象だったが、「2018年春」までにまとまるだろうか。

 有識者検討会の次回の日程は未定だが、店頭FX会社からのヒアリングが行なわれるようだ。個人投資家にも大きな影響が及ぶ今回の議論の行方、ザイFX!では今後も注意深く見守っていきたい。

(取材・文/ミドルマン・高城泰 編集担当/庄司正高)


 本記事でお伝えした「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第1回)に続き、2018年3月12日(月)に行われた「店頭FX業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」(第2回)の模様については、以下の【参考記事】をご覧ください。

【参考記事】
有識者から新レバレッジ規制必要なしとの声も!? 春に規制ありとした日経新聞は誤報?

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