■米ドル/円はテクニカル指標の改善が顕著に
さらに、111.50円を超えたことにより、米ドル/円の多くのテクニカル指標が改善していることも要因の1つです。
●125円から3年間上値を押さえていたレジスタンスを突破したこと
●週足・一目均衡表の雲を上抜けたこと
●(月末まで確定できませんが)112円台後半で引ければ、月足・一目均衡表の雲をブレイクすること
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
■トランプ大統領の通商政策は米ドル高を引き起こす
ここまでは前回のコラムの内容とも被りますが、今回、新たにお伝えしたいのが、米国の通商政策は、そもそも米ドル安を引き起こさないという議論が増えてきている点です。
【参考記事】
●米ドル/円は円高圧力跳ね返し112円台! 重要レジスタンス突破で流れ変わるか?(7月12日、西原宏一)
もともと、トランプ大統領の保護主義は、通貨である米ドル安を必要とすると言われていました。
実際、今年(2018年)の第1四半期の米ドル/円やユーロ/米ドルでの米ドル安はそれを示していましたが、ここ2カ月で状況は変わってきています。
【参考記事】
●2018年前半の為替相場を振り返ろう! 「ローリング・ベア」で弱気相場が継続する?(6月28日、西原宏一)
米国と貿易摩擦を引き起こしたメキシコやカナダは、その通貨であるメキシコペソや加ドルが下落したため、結果として米ドル高を誘引した結果になっています。
今回の対中国に対する関税引き上げも、中国人民元の下落により、米ドル高の流れとなっています。
一方、関税引き上げは上海総合指数の下落を誘引し、対豪ドルでも米ドル高の流れとなっています。
この流れは、最後には対円にも波及し、米ドル/円でも米ドル高の流れに傾斜しているのです。
■今後は日米貿易協議の行方にも注目
また、貿易摩擦の悪化はグローバルな貿易を縮小し、世界的な株の下落を誘引するといわれていました。
上海総合指数は大きく値を崩しましたが、米国株の下落は一時的でその後、反発しています。
(出所:Bloomberg)
(出所:Bloomberg)
ここまでは、中国一人負けの状態。
この米国株の底堅さが続くのであれば、トランプ大統領の通商政策は拡大し、ひいては米ドル高が続く公算が高まっています。
もっとも、上海総合指数が急落しているため、オセアニア通貨の下落(=米ドル高)はマーケットコンセンサスどおりではあるのですが…。
この米ドル高の流れで、米ドル/円にとって残る気になる点は、日米貿易協議。
韓国は、二国間協定で為替条項が含まれていましたので、日米間での協議では、どのような形になるのかが注目されています。
日米貿易協議という懸念材料は残しますが、今年(2018年)の春以降、トランプ大統領が仕掛けてきた貿易摩擦は、米ドル高を誘引している展開が続いており、この流れが続くのかどうかにマーケットの焦点が集まりそうです。
米ドル/円は111.50円を下値メドとし、押し目買いの方針を継続させたいと思います。
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