昨日は中国株が大幅安した。これは中国がWTOに対米制裁の許可を求めようとしているとの報道にもよる。米中間の貿易戦争が拡大する懸念からのリスク回避だ。しかし日本株は東京時間でひたすら持ち上がった。海外勢は特殊な動きについて行くほど、外国の金融商品には興味がない。このような特殊性を示すのは日本人の買いが集中した証拠である。
事実、前日までの2日間は続伸していた。買い遅れ感からの買い急ぎも出てきたのだろう。果たしてどちらが本物の動きなのか。ドル円やユーロ円でポジションを取ろうとしているものにとっては選択しにくいところだ。私もそういった消極的な理由から、ユーロドルでもやってみようかという方針に変えた。
そういうユーロドルが欧州序盤にゆるんできた。高値攻めをしていたところからの反落なので、きっと何か要人発言でも出たのかもしれない。またBREXITに関することなのかもしれない。ここは理由も確かめずにプライスアクションについていくことにした。
ユーロドルを1.1611で売ってから、ゆっくりと動いた理由を調べにいけばよい。ユーロドルは1.1570あたりまで下がって、そのまま安値圏でのもみ合いに入った。戻り始めたら買い戻すことにした。自分でPC画面の前に張り付いて見ながらのトレイリングである。
グローベックスでは米国株は大きく値を下げていた。やはり中国株に引きずられたものと見てよさそうだ。貿易戦争が起こって困るのは米企業も同じである。しかしその中国が、多国籍企業は報復関税の対象にはしないと表明したので、それが米企業のうち、大型のハイテク株に買いが入った。
とくに前日に売り込まれていたアップル株に買い安心感が広がって大きく値を戻した。大型株でもあり、値がさ株でもあるので、米国株の株価指数であるダウ平均もS&P指数も大きく切り返した。ニューヨーク序盤はこのリスクテークの流れがメインとなったので、ユーロ円などが上がってしまうかもしれない。そこでユーロドルを買い戻すことにした。
その後はカナダとの交渉も延期にはなったが、なんとか合意できるだろうとの楽観的な見方が強まった。ドル円は日中の高値圏で引けることとなった。
昨日は米ドル金利の上昇が目立った。雇用統計で9月利上げは完全なものになったとはいえ、マーケットでは来年の6月までは同じペースの利上げを織り込んでいる。その次の9月からが不確かなのだが、短期金利の先物価格から逆算した金利水準は、昨日のニューヨーク時間のセッションで今年につけた最高水準を記録した。
長期金利の代表である10年ものの利回りはまだ3.0%の節目を上抜けしてきていないが、着実に金利高が進んでいる。それが昨日のドルの全面高の相場展開をもたらしたものと言えなくもない。今夜もドル金利の動向をウオッチすべきだろう。
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