サウジアラビア人のジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏がイスタンブールのサウジアラビア領事館で殺害された事件は、引き続き波紋を呼んでいます。
【参考記事】
●中間選挙まで2週間。大統領は株価を意識!? 決算本格化で「業績相場」が盛り上がるかも(10月22日、西原宏一&大橋ひろこ)
■トルコ、カショギ氏殺害の証拠を外交手段に利用?
この事件に関しては、当初からトルコがイニシアチブを取っていて、世界的なメディアキャンペーンを行っています。
トルコメディアは、世界で初めて「カショギ氏はサウジ領事館に入ってから行方がわからなくなっている」と報道しましたが、当初、サウジアラビアはこれを否定しました。すると、トルコ政府は、カショギ氏が領事館に入って二度と出て来ないという映像を公開しました。次に、トルコメディアは彼が殺害されたと報道し、サウジ政府はこちらも否定しましたが、トルコ政府はまたすぐに証拠を公開しました。
つまり、トルコは最初から、カショギ氏殺害の詳細な情報まで把握しているのに、それを小出しにし、サウジアラビアを窮地に追い込んだのです。
両国はサウジによるカタールへの経済制裁で対立し、関係が悪化していました。トルコはカタールへの制裁に反対し、カタールに物資を届け、おまけに、カタールがサウジに攻撃されないように軍事基地まで作りました。
それではなぜ、トルコは情報を小出しにしながらサウジを追い込むことにしたのでしょうか。それは、サウジから好条件を引き出すためだと思われます。また、トルコ政府はこの事件をきっかけに、サウジだけではなく、米国とも条件交渉をしているのではないかと考えられます。
トルコリラが急落し、トルコの外貨ニーズが高まるなか、トルコへの経済支援や、米国によるトルコへの経済制裁の解除、サウジによるカタールへの制裁の解除もしくは緩和を、トルコが握っている証拠と引き換えにしようとしている可能性があるのです。
いずれにせよ、10月12日(金)にブランソン牧師が釈放されてから、トルコの外交交渉力が高まっていて、その影響はトルコリラの追い風になっています。
【参考記事】
●ブランソン牧師釈放。経済制裁解除も近い!? トルコリラ/円は20円超えに向けて上昇中!(10月17日、エミン・ユルマズ)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 4時間足)
■サウジアラビアの孤立ぶりはヨルダンの動きからもわかる
カショギ氏の事件が話題になったことで、あまり注目はされませんでしたが、実は、中東で別の大きな動きがありました。今まで、サウジアラビアと親密な関係を築いていたヨルダンが、今後、トルコ、カタール、シリアとの関係を改善していくことを決めたのです。これはアブドラー国王自ら発言していますので、間違いないと思います。
また、ヨルダンは、サウジアラビアと結び付きのあるイスラエルに対して、貸与していた土地を返還することを求めました。ヨルダンは、これまでイスラエルとも良い関係を築いてきた国なので、これも驚きです。ヨルダンの動きからもわかるように、サウジアラビアは中東で孤立してしまっています。
トルコリラにとって大きなイベントは、昨日(10月25日)、行われたトルコ中銀の政策会合…
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