■第3四半期GDPは予想下回るも、悪くない結果に
今週(12月10日~)発表されたもう1つ重要なマクロ指標は、第3四半期(Q3)のGDP成長率の速報値でした。第3四半期のGDP成長率はプラス1.6%となり、市場コンセンサスであるプラス2.2%を下回りました。

(出所:Bloomberg)
個人的には、もっと低い数字が出てもおかしくないと思っていましたので、この数字は悪くないと感じました。
第3四半期にトルコショックが起きたり、トルコ中銀の緊急利上げがあったりと、いろいろと悪いイベントが盛りだくさんだったことを考えると、この数字はそんなに悪くないと考えます。ちなみに、GDP成長率は、第1四半期がプラス7.4%、第2四半期がプラス5.2%でした。
【参考記事】
●トルコ人ストラテジストが分析! 牧師釈放は近そう。ならばトルコリラ/円は19円まで反発(8月15日、エミン・ユルマズ)
●トルコ中銀は、6.25%利上げで満額回答! トルコリラ/円が20円超えを目指すには…!?(9月14日、エミン・ユルマズ)
トルコリラはマクロ指標に大きな反応をせず、対円で21円台を維持しています。予想より悪いGDP成長率でも経常収支改善が市場に評価されていると考えています。
一方で、市場では、トルコ中銀が政策金利の引き下げを行うのではないかとの懸念が根強く残っていて、これがトルコリラのさらなる上昇の妨げになっています。
■経常収支改善と原油下落で、トルコリラは堅調維持
先週、12月5日(水)のコラムでも指摘しているとおり、個人的には利下げがないと予想しており、利下げよりもトルコ政府の景気刺激策の方を懸念しています。
年明けに、地方選挙向けの対策として一連の景気刺激策が打ち出される可能性があり、これらが間接的な金融緩和となりかねません。
【参考記事】
●懸念すべきは、トルコ政府の景気刺激策。価格高騰でトルコ「タマネギ騒動」勃発か!?(12月5日、エミン・ユルマズ)
足元の経常収支の改善と原油価格の下落を考慮し、トルコリラは引き続き堅調に推移すると予想しています。
【参考記事】
●原油が弱気継続ならトルコリラも上昇継続! でも、ハルクバンクの罰金次第で20円割れも(11月14日、エミン・ユルマズ)
●インフレ減速と原油下落はトルコに追い風! 21円台維持はハルクバンクへの罰金次第か(11月7日、エミン・ユルマズ)

(出所:Bloomberg)

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 週足)
一方で、市場の利下げ懸念が払拭されない限り、トルコリラが対円で22円を超えることは難しいと考えます。現時点で22円を明確に超えるには、今ひとつ材料が足りない状況です。
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