■3月に入り英ポンド/円は反落したが米ドル/円は…!?
ただ、3月期末も間近に迫った今週(3月4日~)に入り、米ドル/円が、さらに底堅くなってきました。
月が変わると相場のセンチメントも変わることは、よく起きることですが、3月に入って実質、最初の週の今週(3月4日~)は、英ポンド/円を筆頭にしてクロス円が下落。
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一方的に急騰してきたことの調整局面ではあるのですが、英ポンド/円は3月1日(金)に148.57円に到達し、いったん調整局面入り。一時146.61円まで反落しました。
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この、英ポンド/円の下落の過程での注目は、米ドル/円。
前述のように、英ポンド/円は米ドル/円の先行指標になる傾向があり、年初からの英ポンド/円の急騰に追随する形で、米ドル/円も104.87円から112.14円まで上昇してきました。
それが、今週(3月4日~)の英ポンド/円の下落局面においての米ドル/円はほとんど調整がなく、本稿執筆時点でも、111.85円の高値圏で推移しています。
結果、今月(3月)に入っての米ドル/円は、英ポンド/円が急騰する局面で上昇、逆に反落するステージでも下げ渋っていることになります。
■米ドル/円のサポート要因となっているものとは?
なぜ、今月(3月)の米ドル/円はこれほど底堅いのか?
2018年10月以降の暴落から一転して、今年(2019年)の日米の株価は堅調。
【参考記事】
●NYダウ急騰を横目に、米ドル/円も上昇。米中貿易協議次第でNYダウは急反落も!?(2月14日、西原宏一)
上海総合指数も3000ポイントを回復しており、一連の株価の上昇は米ドル/円のサポート要因となっています。
(出所:Bloomberg)
ただ、米ドル/円のネガティブ材料も多数。
以前公開した、「FX&コモディティ(商品) 今週の作戦会議」でも触れましたが、現在の米中通商協議では、米中の為替条項に関する協議の行方に注目が集まっています。
【参考記事】
●米中合意が近づき上海株が強烈に反発! 対米ドルでの豪ドル買いがいいワケは?(2月18日、西原宏一&大橋ひろこ)
米中、為替条項での合意の履行巡り週末も貿易協議継続-関係者
米中両国はワシントンでの貿易協議で、為替条項での合意の履行という非常に重要な問題で意見が一致しておらず、交渉を続けている。
事情に詳しい関係者4人が明らかにした。合意履行が実現すれば、中国が人民元相場を切り下げないという公約に従うのを確実にすることになる。
出所:Bloomberg
この中国人民元に対する為替条項は、総体的には米ドル安要因であり、特に米ドル/円にとっては、これから日米通商協議に本格的に入るため、上値を抑える要因となります。
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加えて、先週(2月25日~)末にはトランプ大統領が、米ドルは強過ぎると発言し、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長を批判。
トランプ米大統領は2日、ドル相場は強過ぎると述べるとともに、名指しはしなかったものの、連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長を「利上げを好む」人物として批判した。
出所:Bloomberg
このトランプ大統領のコメントも当然「円高要因」なのですが、この報道を受けても、本邦機関投資家からとウワサされている米ドル/円の米ドル買い注文は、まったく引かず。
結果、こうした米ドル買い需要に支えられる展開で、米ドル/円は「じり高」に推移し、3月5日(火)のNY市場では、一時112円台まで到達しています。
■本邦機関投資家からの米ドル買い需要が多い
この執拗な本邦機関投資家からの米ドル買い注文は、3月の期末が近いからという季節的要因が大きいと想定しています。
今年(2019年)は1月3日(木)にフラッシュ・クラッシュによる米ドル/円の暴落が起こったことにより、多くの本邦機関投資家は、米ドル買いを急がないというスタンスをとっていました。
【参考記事】
●EU離脱を巡る再国民投票の可能性浮上! 英ポンド/円は節目の150円突破も視野に!?(2月28日、西原宏一)
逆に本邦輸出勢は、米ドル売りを急ぐ形になり、110円レベルで一定の米ドル売り注文を終えている模様。
結果、3月期末に向け、米ドル/円相場には「米ドル買い需要」のほうがかなり残存していることになり、マーケットに「円高材料」となる報道が流れても「米ドル買い注文」が引かない展開。
こうした環境下、米ドル/円の下値余地は(本邦機関投資家からの米ドル買い需要により)限定的となり、115円に向けて、じり高の展開になると想定しています。
(出所:Bloomberg)
3月期末を控え、じりじりと値を上げている米ドル/円の行方に注目です。
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