■FOMCは超ハト派! 実質的に利上げは終了!?
3月19日(火)~20日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、政策金利が据え置かれました。
FOMCメンバーの金利見通しに関しては、昨年(2018年)12月時点では、今年(2019年)は2回、来年(2020年)は1回の利上げが見込まれていましたが、今回、これが今年(2019年)はゼロ、来年(2020年)は1回へ変更されました。
(出所:FRB)
市場の事前予想の中には、今年(2019年)の利上げがゼロというものありましたが、多くの人は1回程度へ変更されると考えていたこともあって、市場予想よりもハト派な内容となりました。
【参考記事】
●ブレグジット大詰めで乱高下する英ポンド。ハト派なFOMCに!? ユーロ/ドルは戻り売りで(3月19日、バカラ村)
●超ハト派でサプライズを与えたFOMC! 政策金利見通し下方修正。米ドル/円は…!?(3月22日、今井雅人)
さらに、保有資産の縮小も、9月に終了することが発表され、サプライズと言えるほどの超ハト派となり、米ドル/円は110.30円まで下がり、ユーロ/米ドルは1.1447ドルまで、米ドル安が進みました。
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昨年(2018年)12月のFOMCでは、0.25%の利上げを行いましたが、ここを境に、急激にハト派に変わってきています。
まだ、FOMCでは、来年(2020年)は1回の利上げ見通しとなっていますが、市場には年内の利下げ予想もあり、実質的に打ち止めとも受け止められています。
■上下どちらにブレイクしても方向感の出ないユーロ…
3月22日(金)には、フランス、ドイツ、ユーロ圏の製造業PMI(購買担当者景気指数)の発表がありましたが、市場予想より弱く、ユーロ圏の景況感の悪さが出てきています。特に、ドイツの製造業PMIは44.7と、かなり悪い数字となりました。
これを受けてユーロが下落し、ユーロ/ドルは1.1272ドルまで下がりました。
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今月(3月)のユーロ/米ドルを振り返ると、7日(木)のECB(欧州中央銀行)理事会でTLTRO(貸出条件付き長期資金供給オペ)の導入が決まり、1.12ドルのサポートも下抜けて、1.1175ドルまで下がりました。
テクニカル的にブレイクして、売りを示唆する形となり、ファンダメンタルズも売り方向になって、ここから下降トレンドが始まるかと思いましたが、その下げは続きませんでした。
さらに、先週(3月18日~)のFOMCが超ハト派となって米ドルが売られると、ユーロ/米ドルは直近高値である1.1419ドルを超えて、1.1447ドルまで上昇しましたが、その動きも続いていません。
(出所:Bloomberg)
それぞれの金融政策で、ブレイクはするのですが、その動きは1日しか持たず、ユーロ/米ドルは方向感のない推移が続いています。
さらに振り返ると、1月29日(火)~30日(水)のFOMCもハト派でしたが、そのときもユーロ/米ドルの上昇は1日しか続かず、トレンドの出ない状態が続いています。
金融政策がサプライズとなっても、その動が続かないのであれば、ユーロ/米ドルはまだしばらく、横ばいが続きそうです。
■米国債の逆イールドは市場の景気後退懸念!?
FOMCを受けて、米長期金利が低下したため、市場では逆イールドが話題となっています。
一般に景気後退の先行指標とされる、2年物と10年物の国債利回りの逆転ではなく、3カ月物と10年物の利回りが逆転しました。
(出所:Bloomberg)
これがリスク回避の動きにつながり、株式市場は下落、為替市場は円高となっています。
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逆イールドとなってから、実際に景気後退になるまでには、通常、1年ほどのタイムラグがありますが、FOMCがハト派になっても、米国株が上昇しなかったことから、市場は景気後退を懸念しているのではないかと思います。
【参考記事】
●ドイツ発の世界景気減速懸念から株価急落! 米国債は「逆イールド」で景気後退の前兆か(3月25日、西原宏一&大橋ひろこ)
■ここからの株価は緩やかな下落へ
また、昨年(2018年)後半から、米国株は下落していましたが、今年(2019年)に入ってからは、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長がハト派になったこともあって、米国株は回復してきていました。以前の高値付近まで上がっていることもあって、きっかけ次第で下がりやすい水準でもあります。
(出所:Bloomberg)
今後の景気後退は、すでに以前から言われており、株価は昨年(2018年)の下げから、よく回復できたと思っていましたが、FOMCが超ハト派になっても、これ以上の上昇ができないのであれば、ここからは緩やかに下がっていく動きとなるのではないかと思います。
為替市場も、その影響を受けると思いますので、円高になりやすいのではないかと考えています。
■ユーロ/円の戻り売りが良さそう
また、金融政策的にも、FRBやECBがハト派になっていますが、日銀のこれ以上の緩和策には限界があり、相対的に円高になりやすいのではないかと思います。
ブレグジット(英国のEU離脱)問題が佳境に入っており、それに振らされる動きも懸念しなければいけませんが、ユーロ圏の景況感が悪く、円高になりやすい環境であることから、ユーロ/円は戻り売りで考えています。
(出所:Bloomberg)
株式市場が急落するようなイメージはないため、ユーロ/円も急落するとは思っていませんが、上値は重いのではないでしょうか。
【参考記事】
●ブレグジット大詰めで乱高下する英ポンド。ハト派なFOMCに!? ユーロ/ドルは戻り売りで(3月19日、バカラ村)
●EU離脱案の採決中止! ますます混乱する英国で、メイ首相降ろしのクーデター勃発!?(3月25日、松崎美子)
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