■ほかにもいろいろと比較してみると…
為替レートの方向性を決める要因の代表としては、金利も挙げられます。以下は、単純に米ドル/円と米長期金利(10年物国債利回り)を重ねたものです。

(出所:Bloomberg)
次に、為替レートは2国間の金利差が特に大きな影響を与えることがありますので、日米長期金利のスプレッド(差)と、米ドル/円を重ねてみました。

(出所:Bloomberg)
どちらも、逆相関の時期が何度かあるので、金利が米ドル/円の動きに常に影響を与えていたと断言はできなさそうですが、高い相関性が認められるときもかなりあります。そういうときは、市場で互いの絶対的な金利水準や、金利差などが意識されていた可能性はありそうです。
米ドル/円と日米長期金利のスプレッドにそれなりの期間、相関関係があったのなら、米ドル/円と一定の相関関係にあった日経平均と、日米長期金利のスプレッドにも関連が見いだせるかもしれないと思い、参考までに比較しました。

(出所:Bloomberg)
水準的なかい離はありますが、ある程度の相関性はあったようにも感じます。ここ数年は、かなり似た動きをしていますね。
最後に、米国の政策金利にあたるFF(フェデラル・ファンド)レートと、米ドル/円を重ねてみました。
こちらは、FFレートの誘導目標がゼロ付近になる2009年ごろまでは、FFレートの動きが米ドル/円の先行指標になっていたように見えます。そして、日米で非伝統的な量的緩和政策などが行われたリーマン・ショック以降は、米ドル/円がFFレートの先行指標になっているような印象も受けます。

※2008年12月以降のFFレートは誘導目標レンジの上限を掲載
(出所:Bloomberg)
■新時代「令和」はどんな相場に…?
終盤は似たもの探しのような感じにもなってしまいましたが、いかがだったでしょうか?
30年と4カ月に及んだ平成は、インターネットの普及によって情報格差が大きく解消され、個人がより手軽に金融取引を行える時代になりました。
それが金融市場に厚みをもたらす一方、AI(人工知能)の進化によるアルゴリズム取引の台頭などで、過去には考えられなかったような、必要以上の大きな値動きをもたらすようにもなったと指摘されることも増えました。
金融市場は、今までに見たこともないスピードで変化を続けていますから、過去の一定期間に、ある金融商品と似たような動きが続いていたからと言って、この先もそれが続く保証なんて、できそうにありません。さまざまなことが、昔以上に複雑に絡み合うなかで、為替相場だけでなく、金融市場の先行きを予測することは、一段と難しい時代になっていくことも予想されます。
失われた20年や30年とも言われた平成時代が終わり、令和時代はどのような時代になるのか? 楽しみでもありますが、個人投資家にはより一層、トレードスキルの向上が求められる時代になるかもしれませんね。
(ザイFX!編集部・堀之内智)
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