2014年10月31日(金)、日本銀行(以下、日銀)は金融政策決定会合を開催し、サプライズの追加緩和を決定。これにより、為替市場では円全面安となり、株価も非常に大きく上昇した。
日銀がサプライズの追加緩和を決定!
今回、日銀が決定した追加緩和は以下のとおり。
(1)マネタリーベース増加額の拡大
(2)資産買い入れ額の拡大および長期国債買い入れの平均残存年限の長期化
(1)のマネタリーベース増加額の拡大については、これまでより約10~20兆円追加し、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう、金融市場調節を行うという。
また、(2)の資産買入れ額の拡大および長期国債買い入れの平均残存年限の長期化に関しては、長期国債の保有残高を約30兆円追加し、80兆円に相当するペースでの買い入れを決定した。
さらに、ETFおよびJ-REITについても、保有残高を3倍に増やし、それぞれ年間約3兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう、買い入れを行うとしている。
なお、日銀の重要な意思決定は、総裁、副総裁2名、そして審議委員6名の合計9名による多数決で行われるが、今回の追加緩和はいずれも賛成5人、反対4人での決定だった。
最初から追加緩和ありきの会合ではなかった
今回の日銀の追加緩和について、日本総研・マクロ経済研究センターの研究員、井上肇さんは、「先日まで追加緩和を匂わせていなかったことを考えれば、サプライズだった」と言い、追加緩和を実施した背景については、「日本政府が景気や株価を下支えする政策を取る中で、日銀も歩調を合わせたということではないか」とし、政策協調を意図したものだったとの見解を示した。
ただ、井上さんは「今回の日銀の追加緩和が賛成5、反対4の僅差での決定だったことを考えれば、これ以上の追加緩和は必要ないと思っている方もいる」とし、最初から追加緩和ありきの会合ではなかったとしている。
ただ、その後の会見で黒田日銀総裁は「さらなる追加緩和の余地は依然としてある」などと発言。これで追加緩和打ち止めという印象にはならないようなコメントをしている。
日銀の追加緩和発表後は円全面安・日経平均は暴騰
この日銀の追加緩和を受けて、金融市場では日本株高・円全面安の展開に。
米ドル/円は2014年10月1日以来の110円の大台を回復すると、111.50円台まで急騰し、本記事作成中もなお上昇基調にある。なお、111円台は2008年1月以来となる。
(出所:米国FXCM)
そして、米ドル/円の上昇につれて、ドルストレートでも米ドル高が進む展開となっている。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドルVS世界の通貨 5分足)
10月28日~29日に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和第3弾(QE3)が終了したことなどで米ドル全面高となっていたが、今回の日銀の追加緩和により、改めて日本と米国の金融政策の方向性の違いがはっきりしたことも、米ドル高に寄与した模様。
そして、日経平均は、10月31日(金)取引だけで、一時、前日比800円超の大幅高に。結局、前日比755円高の1万6413円で取引を終えた。
(出所:株マップ.com)
ちなみに、10月30日(木)に公開されたザイFX!コラムにおいて、西原宏一氏は日銀の追加緩和の可能性に触れ、米ドル/円の112円に向けた上昇について言及している。詳しくは以下の記事をご覧いただきたい。
【参考記事】
●消費増税決定でも延期でも株高・円安か。米ドル/円は112円へ向けて上昇の可能性
なお、FX会社のスプレッド競争はこのところ激しさを増しており、米ドル/円スプレッド0.3銭程度で取引できる口座も非常に増えている。最新の米ドル/円スプレッドは以下の比較コンテンツでチェックを。
【参考コンテンツ】
●FX会社おすすめ比較:取引コストで比べる「米ドル/円スプレッドの狭い順」
(ザイFX!編集部・庄司正高)
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