「FX」は、為替レートが上がるか下がるかを予測する取引
「FX」とは、為替レートが上がるか下がるかを予測して、予測が当たれば利益となり、外れた場合は損失となる取引のこと。FXには、買いと売りのどちらからも取引を始めることができるという特徴があるので、買った値段よりも高い値段で売却するか、売った値段よりも安い値段で買い戻すことで利益を出すことができます。
「FX」の正式名称は「外国為替証拠金取引」で、その名のとおり、外国為替を証拠金を使って取引する金融商品です。
「FX」は「Foreign Exchange」の略なので直訳すると「外国為替」ですが、日本では「FX=外国為替証拠金取引」という認識が定着しています。
【※関連記事はこちら!】
⇒ FXで「利益を上げる方法」について詳しく解説した記事はこちら!
⇒ FXの「証拠金」について詳しく解説した記事はこちら!
「外国為替」とは、通貨を別の通貨へ交換すること
FXの正式名称、「外国為替証拠金取引」にも登場する「外国為替」とは、ある通貨を別の通貨へ交換(売買)することです。企業が海外との取引で、外貨で受け取った売上金を自国通貨へ交換すること、反対に購入代金を外貨で支払うときに自国通貨を外貨へ交換することが、「外国為替」の具体的な例として挙げられます。
「外国為替」は、厳密には通貨そのものの直接的なやり取りはせず、為替手形や送金小切手などの信用手段で決済を行う方法のことを指しますが、銀行や空港などにある外貨両替サービスを利用して手持ちの通貨を外貨に交換することも、広い意味では「外国為替」にあたると言えます。
【※関連記事はこちら!】
⇒ FXの「取引の仕組み」について詳しく解説した記事はこちら!
「通貨ペア」は異なる通貨の組み合わせ、「為替レート」は通貨を交換するときの比率
FXは、取引の対象となる「通貨ペア」の「為替レート」が上がるか下がるかを予測する取引です。
「通貨ペア」とは、異なる通貨の組み合わせのことで、米ドルと円(日本円)なら「米ドル/円」、ユーロと円なら「ユーロ/円」、ユーロと米ドルなら「ユーロ/米ドル」のように、2つの通貨を並べて表します。
世界の多くの国や地域が自国通貨を持っているので、外国為替の世界には非常に多くの通貨ペアが存在しているということになります。
【※関連記事はこちら!】
⇒ FXの「通貨ペア」について詳しく解説した記事はこちら!
そして、その通貨ペアで表記された2つの通貨を交換しあうときに用いられる比率(値段)が「為替レート」です。米ドルと円の組み合わせとなる米ドル/円なら「1米ドル=130円」などと表され、この場合は、1米ドルは130円、130円は1米ドルと交換することができる状態ということです。
ほとんどの場合、この「為替レート」の水準は常に一定ではありません。お互いの通貨の価値が上がったり下がったりすることによって、刻一刻と変動しています。
FXは、安く買って高く売るか、高く売って安く買い戻す取引が基本
「FX」は、この上がったり下がったりする為替レートを利用した取引で、買ったときのレート(値段)よりも高いレートで売却するか、売ったときのレートよりも安いレートで買い戻すことができれば利益が出る取引です。
当然、将来的に上がるだろうと予測して買ったあとにさらにレートが下がってしまったり、将来的に下がるだろうと予測して売ったあとにさらにレートが上がってしまうこともあります。これは、株式など、金融商品の値動きを利用したの他の投資と同じです。
【※関連記事はこちら!】
⇒ FXで「利益を上げる方法」について詳しく解説した記事はこちら!
⇒ 「円高」と「円安」について詳しく解説した記事はこちら!
「FX」は、単純に買ったレートと売ったレートの差を利益や損失としてやり取りするので、外貨両替や外貨預金のように、実際に通貨を別の通貨へ交換する必要がないという特徴もあります。
FXのように、対象となる価格の値動きだけを利用して取引する仕組みの金融商品は、「CFD」や「差金決済取引」と呼びます。「CFD」で取引できるものはFXの他に株価指数、株価指数先物、債券先物、商品先物(コモディティ)などがあり、「FX」もCFDの一部ということになります。
また、FXでは取引のときに使う資金のことを「証拠金」と呼びます。通貨と通貨の交換を実際には行わないFXでは、取引の担保に実際の取引規模よりも少ない金額の資金を「証拠金」として預け入れることで取引できる仕組みが取り入れられています。同じように外貨を対象にした外貨預金などは、その取引規模と同額の資金が必要になるので、FXは外貨預金に比べて非常に資金効率が良いことでも知られています。このような、実際の取引規模よりも少ない資金で行える取引は「レバレッジ取引」とも呼ばれます。
【※関連記事はこちら!】
⇒ FXの「証拠金」について詳しく解説した記事はこちら!
⇒ FXの「レバレッジ」について詳しく解説した記事はこちら!
「FX」の誕生は1998年。一時は日本のFX取引が外国為替市場の取引高の半分を占める規模に!
「FX」は、資産運用の1つの手段として多くの投資家に利用されていますが、一般の投資家が「FX」を通じて外国為替の取引に参加できるようになったのは1998年と、それほど昔の話ではありません。
「FX」が誕生したのは、欧米に遅れをとっていた日本の金融市場を活性化させるための改革の一環として、1998年4月に「外国為替及び外国貿易法」、一般的に「改正外為法」と呼ばれる法律が施行されたことがきっかけです。それまで、外国為替に関する取引は一部の外国為替公認銀行しか行うことができませんでしたが、改正外為法によって外国為替を一般企業や個人にも開放して、完全に自由化することが認められたからです。
世界で最初の組織的な先物取引市場と言われている「堂島米会所」で、米の先物取引が正式に始まったのが1730年で、東京証券取引所(東証)の前進となる東京株式取引所が設立されて、日本で株の取引ができるようになったのが1878年ですから、1998年に誕生したFXは、まだまだ新しい金融商品であるということがわかります。
しかし、一時期は、日本の個人投資家によるFXの取引高が、世界中の外国為替の取引高の約半分を占めるほどの規模になり、複数の日本のFX会社が年間取引高の上位に毎年のようにランクインするなど、日本は「FX大国」と呼ばれるほどにFX取引が盛んに行われていることが知られています。
「FX」には、投資家を守る制度が充実している。ただし、絶対安心とは言い切れない!? FX会社を選ぶときに参考にしたい基準は?
「FX」ができるようになった当初は、取引に関する法律や規制がなく参入の障壁も低かったため、中には執拗な電話勧誘や出金拒否、高額な売買手数料の請求、顧客の資産で無断売買を行うなど、今では考えられない不当な営業をしていたFX会社も存在し、「FX」が社会的に問題視された時期もありました。
そこで、2004年12月に改正、2005年7月に施行された「金融先物取引法(金先法)」によって、FX会社には金融先物取引業の登録を受けることが義務づけられ、登録を受けていない業者は「FX」を取り扱うことができないようになりました。
また、金先法の改正で、「FX」が金利先物取引や株価指数先物取引などと同じ「金融先物取引」に認定され、「一般社団法人金融先物取引業協会(金先協会)」が、FX会社の自主規制団体に設定されました。以降、FXに関する細かなルールの策定などを通じて、FXの健全な発展や顧客保護の徹底がはかられています。
さらに、現在では、FX会社には「自己資本規制比率」を一定水準以上に保つことが求められているほか、顧客から預かった資産を自社の資産と分けて保管する「信託保全」の制度も義務づけられているので、万が一、資産を預けてあるFX会社が倒産しても、預けてある資産は原則として全額、返還される仕組みも導入されています。
ただし、金融先物取引業の登録を受けたFX会社なら100%、絶対に安全とも言い切れません。過去には、金融先物取引業の登録を受けて営業しているFX会社が破たんしたこともありました。
どのFX会社に口座を開設しようか迷うときは、FX会社の規模や体力の目安を表すとされる「資本金」の額や、財務の健全性を表す指標となる「自己資本規制比率」などの、FX会社の「安全性」や「信頼性」などを基準に選ぶのもおすすめです。
【※FX会社の「安全性」や「信頼性」を比較できるコンテンツはこちら!】
⇒ FX会社おすすめ比較:FX会社を「資本金の額が多い順」で比較!
⇒ FX会社おすすめ比較:FX会社を「自己資本規制比率の高い順」で比較!
他にも、FX会社の人気のバロメーターとなる「口座数」や「証拠金の預かり残高」、自社もしくは親会社などの関連会社が証券取引所に上場しているかなど、FX会社の信頼性や安全性をはかるのに参考になりそうな指標はいくつかあります。また、取引の結果に直結する「最低取引単位」「スプレッド(取引単位)」「スワップポイント(スワップ金利)」などの水準は、FX会社(FX口座)によって異なるため、それらも含めて総合的に満足度の高いFX会社を選ぶことが、重要になってくるでしょう。
【※関連記事はこちら!】
⇒ 「FX会社の選び方」について詳しく解説した記事はこちら!
(最終更新日:2022年7月6日)
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)