■強烈なトランプ砲にもかかわらず米ドル/円が底堅いのは?
何回も言ってきたように、ファンダメンタルズ上の材料が最悪にみえ、市場心理もとっても暗い。
しかし、米国株はブル(上昇)基調を維持し、米経済をはじめ世界経済の景気後退という可能性はあっても、今すぐというわけではない。
トランプ砲の炸裂(中国はいらないと言い切った)で米中開戦前夜とさえ思わせるような危険な雰囲気だったにもかかわらず、米中対立が始まった2018年3月安値よりわずかな下値しかトライできず、また、2016年6月安値を割り込んでいない。
(出所:TradingView)
本来なら、ここまでの悪材料の噴出、また、市場心理の悪化があれば、今はすでに100円の節目割れを果たしているだろう。それがまだ見られていないのであれば、やはり、2015年高値を起点とした大型保ち合いという相場の内部構造が成立しているほか考えられない。
■「トレンドの期間」に注目すると、大きなヒントが得られる!?
となると、前述の2つのシナリオのうち、どちらがより可能性が高いかと聞かれれば、筆者はあえて「すでに底打ち」した可能性に注目したい。
前述のレポートの分析以外に、一番大きなヒントはまた、先ほど掲載したチャートにある。
(出所:TradingView)
それはほかならぬ、期間の概念である。2011年安値から2015年高値まで、米ドル/円は雄大な円安トレンドを形成していたからこそ、2015年高値から大型トライアングル型の保ち合いをもたらしたわけだ。
要するに、保ち合いは途中のスピード調整なので、今後のブルトレンドの継続に必要な土台である。
ここで注目していただきたいのは、トレンドの期間だ。
2011年安値から2015年高値まではおおむね187週間を要した。そして、2015年高値から2019年1月安値までに要した期間もおおむね同じであった。これは決して偶然ではなく、相場の内部構造を示す大きなヒントである。
つまるところ、なぜ1月3日(木)安値までの「フラッシュ・クラッシュ」が発生したか、そして、なぜ8月26日(月)の安値が「ダマシ」の可能性が大きいかは、この大きなヒントをもって解けるわけだ。謎解きはまた次回、市況はいかに。
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