■FOMCは予想どおりの利下げ。米ドル/円は上昇
9月17日(火)~18日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、政策金利は市場予想どおり、0.25%の利下げとなりました。
※2008年12月以降は誘導目標レンジの上限を掲載
※FRBのデータをもとにザイFX!が作成
【FX初心者のための基礎知識入門】
●FOMCとは? 米国の政策金利FFレートやイベントのスケジュールを徹底解説!
金利見通しを示すドットチャートでは、FOMCメンバーの意見が分かれていましたが、年内は据え置きの可能性が高まったことから、米ドル高に。
(出所:FRB)
パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の会見では、「予想よりも早くバランスシートを拡大する可能性がある」との発言があったことから、株式市場は上昇へ。米ドル/円も、108.47円まで上昇しました。
【参考記事】
●今、市場が注目する4つの材料を総点検! 英首相の飛び道具で英ポンドは再び暴落!?(9月19日、今井雅人)
■日銀現状維持や米中協議への期待後退で下落へ
ただ、米ドル/円の108円台半ばには、輸出の売りがあり、さらに、翌日(19日)の日銀金融政策決定会合の結果公表では、金融政策が現状維持となったことから、米ドル/円は下がってきています。
9月20日(金)には、中国の代表団が米農家への視察を急遽中止したため、米中の貿易協議が後退したとの思惑からリスク回避の動きとなり、米ドル/円は昨日(9月23日)、107.30円まで下落しました。
【参考記事】
●中東リスクと米中貿易戦争への懸念継続。米ドル/円、豪ドル/円の戻り売りが良さそう(9月23日、西原宏一&大橋ひろこ)
(出所:TradingView)
■金融政策では動かない展開
FOMCや日銀会合などの重要イベントがありましたが、金融政策では為替市場の動きが続かず、米ドル/円もユーロ/米ドルも、先週(9月16日~)1週間は、100pipsほどの値幅しか動いていません。
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
9月12日(木)のECB(欧州中央銀行)理事会も、ユーロ/米ドルは日中、乱高下したものの、動きが出ていない状態が続いています。
【参考記事】
●今週はFOMC! 議長発言で株価は調整へ!? 下落することが多かった米ドル/円は…?(9月17日、バカラ村)
●ECBとFRBは金融緩和も日銀は動かず… 米ドル/円は108円台半ばへ上昇後、反落(9月19日、西原宏一)
■ブレグジットは2020年1月に延期!?
為替市場が動く材料としては、米中の貿易戦争とブレグジット(英国のEU離脱)問題が挙げられます。
英ポンドは、英保守党の離党や造反者が出たことで、合意なき離脱となる可能性が低下し、上昇していましたが、ユンケル欧州委員長が「10月末までに合意できると考えている」と発言したことで、英ポンド/米ドルは1.2580ドルまで上昇しました。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 4時間足)
市場は、楽観的になりつつあります。
合意なき離脱になる可能性は、かなり低いと思いますが、10月17日(木)~18日(金)のEU(欧州連合)首脳会談までに合意するのも、時間が短過ぎて難しいのではないかと思います。
可能性として高いのは、2020年1月末までの、離脱期限の延期ではないかと思います。
【参考記事】
●混迷のブレグジット…。短期再開となった英議会でボリス首相が喫した6連敗とは?(9月12日、松崎美子)
●英ポンドは買いか? 売りか? 「合意なき離脱」の可能性は本当にない!?(9月13日、松崎美子)
■英ポンドは目先調整も、押し目買いで
すでに、離脱の延期は、市場もある程度は織り込んでいると思いますので、ここから英ポンドは、大きな動きは出てこないと思います。
目先に関しては、英ポンド/米ドルの9月20日(金)の日足が、高値を更新しても陰線引けしていることから、短期的には調整するではないかと考えています。
(出所:TradingView)
調整するとは思いますが、IMM(国際通貨先物市場)のポジションでは、投機筋の米ドルに対する英ポンド売りの偏りが大きいことや合意なき離脱になる可能性も低いことから、大きな流れとしては、英ポンドはまだ上昇するのではないかと考えています。
※CFTCのデータをもとにザイFX!が作成
ヘッドラインで乱高下しやすいと思いますが、英ポンドは押し目買いでいいのではないかと考えています。
【参考記事】
●いつ売っていつ買うか?これから英ポンドのトレードがおもしろくなりそうな理由とは?(8月20日、バカラ村)
■市場が動意づくまで待つしかない
昨日(9月23日)は、ドイツ製造業PMI(購買担当者景気指数)が41.4と、かなり悪い数字が出てきました。
ユーロ圏の製造業PMIも45.6と、悪い数字です。
(出所:Bloomberg)
それを受けて、ユーロ/米ドルは1.0966ドルまで下がりました。
(出所:TradingView)
ただ、ユーロ/米ドルの、方向性のない状態は続いており、9月26日(木)までは1.1000ドルにまとまったオプションもあるため、大きな材料が出てこないと、ユーロ/米ドルはその周辺で膠着が続くのではないかと思います。
ECB理事会でのQE(量的緩和)再開決定は、大きな材料だったと思いますが、それでも動きが出なかったこともあり、何をもって動き出すのかわかりません。今は、市場が動意づくまで待つしかないと思います。
9月末が近いこともあり、米ドル/円なども含めて、全体的に膠着した相場展開になりやすいのではないかと考えています。
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