■ポジション調整終わり、方向感のないレンジへ
前回のコラムの中で、ポジション調整はそろそろ終わったのではないかとの見方を示しましたが、その後の動きを見ると、大体、見方は合っていたと思います。
【参考記事】
●ECB後のユーロ安が一時的だった要因と、ここからの円安に否定的な見方をするワケ(9月13日、今井雅人)
しかし、円安や英ポンド高から反転しているわけではなく、方向感のないレンジに入り込んでいます。

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ポジション調整は終わったものの、「さて、それからどうしたものか」と、市場が迷っているということを示しているのだと思います。
■日米貿易交渉は合意へ。円高リスクは後退
そこで、今、注目の材料を、もう一度整理してみることにします。
まず、日米の貿易交渉は、うまくまとまりそうな状況です。
今のところの情報では、10月には合意の協定が調印される予定です。おそらく、日本がかなり大量の兵器を米国から買う約束をしたことが、功を奏したのではないかと思います。

日米の貿易交渉は、10月には合意の協定が調印される予定とのこと。日本が米国からの兵器大量購入を約束したことが功を奏したと、今井氏は推測している。写真は2018年4月の日米首脳会談時のもの (C)Joe Raedle/Getty Images
これで、この問題に関しての円高リスクは、ほぼなくなったと考えていいかと思います。
■米中次官級協議開始へ。注意すべきはトランプ大統領!?
次に、米中貿易交渉の行方です。
先週(9月9日)の段階から、特段、進展はありませんが、両国の次官級の協議が9月19日(木)から始まります。あるとすれば、一部だけの暫定合意に収まる可能性でしょう。
これに関しては、すでに市場はかなり、織り込んだのではないかと思います。
しかし、トランプ米大統領のことですので、いつ、何があるかは予断を許さない状況であることは、言うまでもありません。引き続き、交渉の行方には、よく注意をしておく必要があるでしょう。
【参考記事】
●円高になりやすいのは自明の理。ドル/円の106円台半ばあたりは、良い売りレベルか(8月29日、今井雅人)
●市場を膠着させている4つの「摩擦」とは? 英ポンドはブレグジット後の最安値更新も!?(8月22日、今井雅人)

米中の次官級貿易協議は9月19日(木)から開始される。今井氏はトランプ米大統領のこれまでの言動を踏まえると、いつ、何があるか予断を許さない状況であることは、言うまでもないと指摘。写真は2019年6月に開催された大阪G20時のもの (C)Visual China Group/Getty Images
■FOMCは市場を左右する材料にならず…
3番目は、各国の金融政策です。
9月17日(火)~18日(木)に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、0.25%の利下げが決定されましたが、この決定は市場の予想どおりだったので、特段、市場への影響はありませんでした。
【FX初心者のための基礎知識入門】
●FOMCとは? 米国の政策金利FFレートやイベントのスケジュールを徹底解説!

※2008年12月以降は誘導目標レンジの上限を掲載
※FRBのデータをもとにザイFX!が作成
問題は、今後の金融政策がどうなるのかという点でした。
FRB(米連邦準備制度理事会)はFOMCの声明文で、「経済成長と雇用の力強い伸びが継続する可能性が高い」としながらも、「見通しに対する不透明感は残る」と、米国の景気に対しては、どっちつかずの姿勢を示しました。
その上で、「景気を維持するために適切に行動する」としましたが、これは、利下げを明確に示すものではないということで、市場には失望感が広がりました。
しかし、その後の会見でパウエルFRB議長が、「FRBは必要に応じて積極的な措置を取る用意がある」と、やや前向きな姿勢を見せたことで、失望感もやや和らぎましたが、それでも消化不良のような状態となっています。
これも、市場を左右するような材料とはなりませんでした。

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:米ドル/円 1時間足)
■日銀は次回会合での検討を示唆
また、本日(9月19日)は、日銀が金融政策決定会合で政策の維持を決定しました。
声明文では「次回会合での検討」が示唆されましたが、たとえ何らかの追加金融緩和策が議論されることになったとしても、限定的な内容にとどまるでしょう。
市場への影響も、もしあったとしても、一時的なものに終わるのではないかと考えています。
■ジョンソン英首相の飛び道具に警戒!?
最後にブレグジット(英国のEU離脱)ですが、こちらは、10月末の離脱期限が延期される可能性が高まっています。
【参考記事】
●ジョンソン英首相が窮地!? 英ポンド急騰! しかし、英ポンドはいずれまた売られる(9月6日、今井雅人)
●混迷のブレグジット…。短期再開となった英議会でボリス首相が喫した6連敗とは?(9月12日、松崎美子)
●英ポンドは買いか? 売りか? 「合意なき離脱」の可能性は本当にない!?(9月13日、松崎美子)
それを受けて、英ポンドは上昇してきたわけですが、そうなると、ジョンソン英首相の完全な政治的敗北となるので、彼はまだ、諦めていないかもしれません。
今は議会が休会中ですが、来月(10月)再開されるあたりから、何か飛び道具を出してくるかもしれないので、まだ気が抜けません。
もしそうなったら、英ポンドは、再び暴落することもありえます。

(出所:TradingView)
以上、主要な材料がすべて中途半端なので、これからの1週間も、今週(9月16日~)と同じような動きとなる可能性が高いと思います。次のチャンスを待ちたいと思います。
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