■英議会が採決を先送り!
10月末の英国のEU(欧州連合)離脱(=ブレグジット)期限に向けて、英ポンドの動きが激しくなっています。
10月17日(木)~18日(金)に、EU首脳会議がありましたが、その直前までは、EU側との合意に関する報道に、楽観的なものから悲観的なものまであり、英ポンドはその都度、乱高下を繰り返していました。
ただ、ジョンソン英首相はEU側と合意を取り付けることができ、英ポンド/米ドルは1.2985ドルまで上昇しました。
次に、英議会の承認を得る段階となりましたが、10月19日(土)に、英議会は採決を先送りとしました。
EUとの合意にこぎつけたものの、英議会の承認が先送りされたジョンソン英首相 (C)Justin Sullivan/Getty Images
これで、ジョンソン首相には離脱延期をEU側へ申請しなければいけない義務が発生し、EU側へ書簡を送付しました。
しかし、離脱延期の書簡にはジョンソン首相の署名がなく、10月末に、何がなんでも離脱したいという意志が表れています。
【参考記事】
●英ポンドは1.30ドル? それとも1.15ドル? ここからはオセアニア通貨もおもしろそう(10月15日、バカラ村)
●【英EU離脱】可決でも否決でもなく採決見送り!? ジョンソン首相に秘策はある?
●英国の合意あるEU離脱はあり得る? 週明けはフラッシュクラッシュ級の動きも!?
■総選挙→ソフトブレグジットのシナリオか?
ここから、EU側は離脱延期を承認するかの審議に入りますが、これには数日を要するようです。
ここで延期が認められないようであれば、合意なき離脱となります。
ただ、そうなると金融ショックの引き金になる可能性もあるため、ここでは延期が認められるものと思います。
市場もすでに、そのように考えていると思われるため、英ポンドの週明け(10月21日)の動きは落ち着いています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/米ドル 1時間足)
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:英ポンド/円 1時間足)
その後は、離脱期限が2020年1月末まで延期されると思いますので、そこで総選挙となって、現在は保守党が有力のため、保守党が過半数の議席を取り、ソフトブレグジットに向かうのではないかと思います。
少なくとも、合意なき離脱の可能性はかなり低くなったこともあって、英ポンドの下げ余地も限定的になるのではないかと思います。
■ドラギ総裁、最後のECB理事会へ!
今週(10月21日~)は、24日(木)にECB(欧州中央銀行)理事会があります。
ドラギ総裁にとって最後の会合となり、次回(11月)からはラガルド氏が新ECB総裁となります。
ドラギ総裁は、前回(9月)のECB理事会で、量的緩和の再開を決定したこともあって、今回もハト派な発言に終始すると思いますが、ブレグジット問題のリスクが軽減されていることから、その点に関しては楽観的な発言が出てくる可能性があります。
任期満了に伴い、10月24日(木)の理事会が最後となるマリオ・ドラギECB総裁。9月の理事会で量的緩和の再開を決定したこともあり、バカラ村氏は今回もハト派な発言に終始すると予想している (C)Bloomberg/Getty Images
■オセアニア通貨がテクニカル的に強い形に!
10月24日(木)には、ペンス米副大統領の演説もあります。
対中政策に関しての演説で、ペンス米副大統領は強硬派の人でもあるため、リスク回避となる可能性には注意が必要です。
まだ大統領選までは時間があり、強硬路線に出ることもできるため、中国への圧力をかけてくるようであれば、米国株が下落し、円高になります。
何もなければ、ECBの量的緩和、FRB(米連邦準備制度理事会)のバランスシート拡大、英国の離脱リスク軽減、米中対立はとりあえず第1弾の合意、という状況がありますので、先週(10月14日~)に引き続き、リスク選好になりやすいと考えています。
なお、オセアニア通貨については、先週(10月14日~)は、まだテクニカル的には弱い状態でしたが、今週(10月21日~)はテクニカル的にも強い形になっていますので、今週も引き続き、リスク選好で考えたいと思います。
【参考記事】
●英ポンドは1.30ドル? それとも1.15ドル? ここからはオセアニア通貨もおもしろそう(10月15日、バカラ村)
(出所:TradingView)
(出所:TradingView)
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)