■FOMC、利下げの小休止を示唆
10月29日(火)~30日(水)に、FOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されました。
政策金利は、市場の予想どおり0.25%の利下げが実施され、FF(フェデラル・ファンド)レートの誘導目標レンジが1.50~1.75%になりました。
※フェデラル・ファンドレートの誘導目標レンジ上限を掲載
※FRBのデータをもとにザイFX!が作成
そして、焦点となっていた12月FOMCでの利下げの可能性についてですが、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は会見で、「政策のスタンスは適切である」と発言しています。
声明文と同様、利下げを小休止することが示唆されており、今後は経済指標次第になります。
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●FOMCとは? 米国の政策金利FFレートやイベントのスケジュールを徹底解説!
■米中交渉、あまり悲観する必要はない!?
米ドル/円は利下げの小休止を受けて、109.28円まで上昇しました。
ただ、パウエルFRB議長は、「利上げの前には著しいインフレ率の上昇が必要」とも発言しており、利上げまではかなり遠いことから、その後は米ドル安に推移しました。
そして、10月31日(木)には「中国が米国との長期的貿易合意の可能性に疑問」との報道で、米中通商交渉への期待が後退。米ドル/円は107.88円まで下落しました。
(出所:TradingView)
さらに、11月16日(土)に、チリでAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議が開催される予定でしたが、デモの影響で開催されないことが決まりました。
ここでは、米中首脳会談も開催される予定でした。その代わりに、マカオで開催される可能性があるとの報道があったものの、これを中国が否定したことから、これも米ドル/円を押し下げる要因となりました。
ただ、中国も合意を目指しており、ロス米商務長官も「第一弾合意に向けて良好な状態」と発言していることから、あまり悲観する必要もないと考えています。
■NYダウ最高値更新。リスク選好継続へ!
11月1日(金)は、米雇用統計が発表されました。
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●米雇用統計は、FXトレーダーなら知らない人はいない、月に一度のお祭り的イベント
米大手自動車メーカー、GM(ゼネラルモーターズ)のストライキの影響もあり、悪い数字が予想されていましたが、非農業部門雇用者数は+12.8万人となり、先月も+18.0万人へ上方修正される、良い数字が出ました。
【参考記事】
●ブレグジット期限は2020年1月末まで延期。リスク選好継続でクロス円買いが良さそう(10月29日、バカラ村)
これを受けて、NYダウも堅調となり、史上最高値を更新してきています。
(出所:Bloomberg)
米中通商交渉の第1弾合意に向けて、まだ不透明要素もあり、不調に終わる可能性もありますが、基本的にはトランプ大統領も合意しようとしています。また、FRBは金融政策で利下げを行い、雇用統計も良いので、今週(11月4日~)も引き続き、リスク選好のままと考えています。
【参考記事】
●株価堅調推移で円売りに妙味! 米ドル/円よりユーロ/円がおもしろそうなワケは?(10月31日、今井雅人)
●米国株の本格的なバブルはこれからだ! 米ドル/円の反落はスピード調整にすぎない(11月1日、陳満咲杜)
■でもクロス円は2週間、横ばいに
ただ、株式市場は強い動きをしているものの、為替市場は動意のない展開が続いています。
通常はリスク選好となれば、為替市場ではクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)が上昇しやすいのですが、主要なクロス円は2週間ほど横ばいが続いています。
(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:世界の通貨VS円 日足 4時間足)
■米ドル/円の下げは限定的になりそう
米ドル/円は、米長期金利と相関した推移をしています。
その米長期金利は、FRBが予防的利下げをいったん小休止としていることから、8月から10月につけた1.50%付近が、目先の底だと考えています。とすれば、米ドル/円も下げは限定的だと思います。
(出所:Bloomberg)
ただ、利上げは今の時点では考えにくいため、米長期金利の上昇も期待できず、横ばいになりやすいのではないかと思います。そうであれば、米ドル/円も横ばいが続くことになります。
■豪ドル/米ドルの200日線トライに注目!
米中の対立が緩和されてきていることもあって、株式市場は上昇。リスク選好が続いているため、オセアニア通貨でのクロス円は、押し目買いのままで考えています。
注目は、豪ドル/米ドルの200日移動平均線です。
豪ドル/米ドルは昨年(2018年)4月から、その水準まで反発しても、きれいに上値を抑えられる状況が続いています。
【FX初心者のための基礎知識入門】
●移動平均線は、テクニカル指標の超定番。SMA・WMA・EMAの違いは…?
(出所:TradingView)
今はまた、その水準へトライする動きに変わってきており、ここを超えることができれば、1年半以上続いた流れが変わることになります。
【参考記事】
●採決先送り! 英EU離脱期限は2020年1月末まで延期へ? ポンドの下落余地は限定的に(10月21日、バカラ村)
●英ポンドは1.30ドル? それとも1.15ドル? ここからはオセアニア通貨もおもしろそう(10月15日、バカラ村)
■トレード戦略はクロス円の買い
本日(11月5日)はRBA(オーストラリア準備銀行[豪州の中央銀行])金融政策理事会があり、政策金利は据え置きになると思われます(※)。
(※編集部注:本記事の寄稿後、11月5日(火)の東京時間に、RBAは政策金利にあたるオフィシャル・キャッシュ・レートを0.75%に据え置くことを決定した)
ただ、来年(2020年)には利下げされる可能性がまだあり、この点は豪ドルの売り要因になりますが、米中の対立が緩和されてきており、株式市場も堅調なため、リスク選好が続けば、豪ドル/米ドルも上昇するのではないかと考えています。
基本的にリスク選好のため、豪ドル/円やNZドル/円の方が良いと考えていますが、豪ドル/米ドルの200日移動平均線へトライする動きも、注目するところだと考えています。
今週(11月4日~)も引き続き、リスク選好からのクロス円の買いで考えています。
【参考記事】
●ブレグジット期限は2020年1月末まで延期。リスク選好継続でクロス円買いが良さそう(10月29日、バカラ村)
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