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■トルコがS-400のテストを開始

 今週（11月25日～）、トルコでもっとも大きな話題は、S-400のテスト開始です。

 11月14日（木）に行われた、エルドアン・トルコ大統領とトランプ米大統領の首脳会談では、両国間の対立課題において具体的な進展がなかったことを、前回のコラムでお伝えしました。

【参考記事】
●トルコ政府介入もあり、トルコリラは小動き…。今後、トルコリラを動かす材料は？（11月20日、エミン・ユルマズ）

 やはりそのあとに、トルコ政府は、購入したばかりのミサイルシステムを倉庫で待たせるつもりはないと発表しました。

 そして、11月25日（月)からトルコの首都・アンカラで、S-400のテストが始まりました。

 トルコ空軍のＦ-16戦闘機は、２日間にわたって通常飛行と低空飛行を繰り返し、S-400のレーダーシステムのテストを行ったと、現地メディアが報じています。

11月14日のトルコと米国の首脳会談では、両国間の対立課題で具体的な進展は見られず、トルコ政府はその後、S-400のレーダーシステムのテストを実施したと報じられている。写真は６月に開催されたＧ20大阪サミット時のもの (C)Anadolu Agency/Getty Images

 トルコ政府からは正式な発表がなく、テストがすべて終了したあとに詳細が公表される予定となっています。

【参考記事】
●トルコ政府がS-400到着を正式発表！ それでも、トルコリラ/円が底堅いワケとは？（７月17日、エミン・ユルマズ）

■テスト継続なら対トルコ制裁本格化も…

 ロシアの報道機関・ＲＩＡノーボスチによれば、トルコとロシアは来年（2020年）の前半に、ミサイルシステムをめぐる新たな合意を締結するようです。

 こちらも詳細についての記述はありませんでしたが、新しいミサイルバッテリー購入の可能性が高いと考えます。トルコが以前から強く希望している、S-400のロシアとの共同生産の可能性もあります。

 S-400のテスト開始については、現時点では米国から正式な反応はありませんが、10月に対トルコ制裁法案を作った２人の上院議員の１人であるクリス・バンホーレン上院議員は、「訪米から２週間も経っていないのに、エルドアン大統領はトランプ・米国・ＮＡＴＯ（北大西洋条約機構）をバカにしている」と、ツイッターで反発しました。

Two weeks after his WH visit, Erdogan is thumbing his nose at Trump, the U.S. + NATO, and crossing another red line on S-400s.

Existing law requires Trump to impose sanctions. Pompeo must also confront Turkey about its latest ‘safe zone’ violations and attacks against the Kurds. https://t.co/vNCbdf8sm6

— Chris Van Hollen (@ChrisVanHollen) November 25, 2019

 S-400のテストが継続すれば、米議会は本格的に対トルコ制裁に動くと考えます。

■香港情勢が落ち着けば、市場の注目はトルコに!?

 10月にトルコ制裁を止めたトランプ大統領も、弾劾ヒアリング（公聴会）で不利な証言が相次いでいるため、今後、トルコ制裁をどこまで止められるか疑問です。

【参考記事】
●ＥＵ主要国と米国がトルコ制裁を実施！ でも、トルコリラ/円が暴落しないワケは？（10月16日、エミン・ユルマズ）
●トルコ、米露と合意で軍事作戦停止！ トルコ中銀の年内利下げはあるのか？（10月23日、エミン・ユルマズ）

 10月の制裁案では、トルコの金融機関に対する部分がトルコリラ投資家にとって、もっとも重要なポイントでした。トルコの金融機関への制裁とは、米国法人と個人によるトルコ国債の購入を禁じるという内容です。

 このような制裁が発動すれば、トルコの資金調達能力に大きな打撃を与え、トルコリラの下落をもたらすと考えます。

トルコリラ/米ドル 日足

※通常は「米ドル/トルコリラ」ですが、トルコリラの上昇と下落をわかりやすくするため「トルコリラ/米ドル」のチャートを掲載しています。
（出所：Bloomberg）

 米議会がどのタイミングでトルコ制裁に動くか予想できませんが、香港の地方選挙後に香港情勢が落ち着けば、トルコはもっと注目されるでしょう。

■2020年夏までにトルコ総選挙!?

 今週（11月25日～）のトルコリラ/円は、S-400テスト開始のニュースで19円を割り込んできましたが、大きな下落は起きていません。

トルコリラ/円 ４時間足

（出所：TradingView）

 直近では、解散総選挙に向けた動きが加速しているように感じます。元経済担当大臣のアリ・ババジャン氏の新党は、ついに設立されるようです。

【参考記事】
●8月26日早朝、トルコリラが急落したワケは？ 米中貿易交渉次第で対円は17円台前半も…（８月28日、エミン・ユルマズ）

 エルドアン大統領からも、総選挙を意識した演説が続いていますので、来年（2020年）の夏までに総選挙が行われる可能性が高まったと考えます。

●ＦＸ会社徹底比較！：トルコリラ/円が取引できるFX会社はここだ！