■クロス円の上昇トレンド継続の条件が整いつつある
クロス円のブルトレンドが継続する場合、まず、外貨の上昇が前提条件となるが、その条件は整いつつあるとみる。
米ドル全体の話なら、第一にユーロ/米ドルを挙げないといけない。そこで、ユーロ/米ドルの構造を見てみると、10月1日(火)安値、1.0879ドルを起点とした大型切り返しが継続され、これから10月高値1.1180ドルのブレイクをもってさらなる上値余地が拓けると推測される。
ユーロの切り返しについては、本コラムで既述したとおり。テクニカル上の根本的な見方として、6月高値1.1414ドルを起点とした下落波が「下落ウェッジ」を形成していることは、以下のチャートに示すとおりだ。
【参考記事】
●米雇用統計の結果にかかわらず株高になる!? 米ドル/円は保ち合い継続か(陳満咲杜、2019年10月4日)
●まだ早いけど、言っちゃった!米ドル/円日足に「逆三尊」の可能性(陳満咲杜、2019年10月11日)
(出所:TradingView)
そして、10月半ばに下落ウェッジを上放れしたところでサインが点灯し、11月末までの反落はあくまで切り返す途中のスピード調整に過ぎず、これから6月高値へ「全値戻し」を果たす公算が大きい。
さらに、11月29日(金)の罫線はプライスアクション上のサインを鮮明に点灯させ、その後、11月21日(木)高値のブレイクも確認され、ブル基調の再確認につながった。詳細は昨日(12月5日)のレポートをもって説明したい。本文は以下をご参照いただきたい。
(出所:ひまわり証券)
まず結論から申すが、11月29日(赤矢印)の陽線は「フォールス・ブレイクアウト」と「フェイクセットアウト」の両方を兼ね、昨日の高値更新をもって同サインの有効性が確立され、これから上値トライする公算。
11月29日安値の1.0981、10月15日(緑矢印)安値1.0991や11月14日(藍矢印)安値1.0989を一旦下回ったものの、当日にて切り返し、陽線をもって「強気リバーサル」のサインを点灯したから、結果的に重要サポート水準の一時な割れが「ダマシ」だったことを示し、また上昇方向へセットアップされたと示唆。
ゆえに、12月2日の大幅上昇は当然の成り行きと見なし、我々のストラテジーの根拠でもあった。昨日11月21日高値1.1098のブレイクをもって前記サインの有効性を証明、確立されたサインの効き目はむしろこれからでしょう。10月高値の1.1180の打診やブレイクを射程圏に収める。
さまざまな外貨のうち、シェアが大きいのはユーロだから、ユーロのトレンドが確認できれば、そのほかの通貨はフォローできる。以下のチャートのとおり、英ポンドは8月から対ユーロで強気変動がずっと継続されてきた。
(出所:TradingView)
だから、英ポンドは対米ドルでも対ユーロより上昇トレンドがいち早く確認され、また、高値更新し続けているわけだ。
(出所:TradingView)
■英ポンドの上昇は当面続く見通し
日足チャートで英ポンドを観察すればわかるように、英ポンド/米ドルでも、英ポンド/円でも、200日移動平均線を上回ったあと、保ち合いがあっても同線以上の変動を維持するのみでなく、かけ離れた高い位置をキープしていたからこそ、その後の保ち合いの打破(もちろん上放れ)や目先の高値更新につながっている。それは強気変動の証左であり、また、ブルトレンドとしてわかりやすいパターンだと思う。
さらに、保ち合いの途中でも鮮明な構造を示し、英ポンドの上昇継続を強く暗示。
最近の英ポンドのブルトレンドに乗っていくのはわかりやすかったと思う。トレーダーなら、このようなわかりやすい局面を逃さず、利益計上していくことが大事だ。
なぜなら、わかりにくい市況も多いから、その時の損失をカバーできるように、わかりやすい時期に多く稼がないと、トータル的な利益につながらないリスクが大きい。英ポンド/米ドルのサインについては、11月28日(木)のレポートをもって説明したい。本文は以下をご参照いただきたい。
(出所:ひまわり証券)
ポンドは昨日切り返ししてきた。デイリーでも指摘したように、22日安値1.2824に迫ったものの、一転して高く大引け、日足では強気「アウトサイド」や「リバーサル」のサインを点灯、保ち合いの一巡を示唆。
同見方、こらから抵抗ラインのブレイクをもって証明され、また上昇モメンタムの加速につながるでしょう。GMMA長期線グループのサポートを再確認、という意味合いでも整合性を取れ、上放れを待ちたいところ。
更に、抵抗ライン自体が「ネックライン」の役割を果たす。8日安値を「ヘッド」と見なした場合、保ち合い自体が「ヘッド&ショルダーズ・ボトム」を形成、上放れをもって一段と上値余地を拓くでしょう。総合的にみると、ポンド/ドルのブルトレンドが再度セットアップされた公算が大きく、上放れがあれば、場合によっては上値追いも一手か
このように、英ポンドの上昇は、目先、外貨をリードする強気変動自体がわかりやすかったので、当面継続される見通し。
(出所:TradingView)
後追いの形で、ユーロや豪ドルの追随も想定され、いつものように、経済指標云々よりも市場の内部構造に注目したほうが大きな流れをつかめるかと思う。
実際、英ポンドの上放れが確認されたあと、英国のEU(欧州連合)離脱に絡む材料がまた一段と明るくなってきたように、巷の常識と違って、相場における真実とは、往々にして値動きが先になる傾向が強い。
この意味では、今晩(12月6日22時30分)の米雇用統計がどうであっても、主要外貨の切り返しは構造的な強さを持っている以上、変わらないだろう。指標結果次第で、一時的な米ドルの上昇があれば、むしろ戻り売りの好機と考えるべきか。もちろん、米ドル/円を除く。市況はいかに。
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