■欧米はロックダウン緩和へ向かう
米国のペンス副大統領が、「メモリアルデー(5月25日)の週末までに新型コロナは終息すると考えている」と発言しています。
本当に終息は近いのでしょうか?
(出所:TradingView)
米国ではジョージア州が4月24日(金)、一部の経済活動を再開しました。
状況が深刻だったイタリア、それにフランスでも5月からロックダウンを徐々に緩和していくようです。
ジョージア州に対しては、トランプ米大統領が「早過ぎる」と批判しているようですが……。
ジョージア州は面積が大きいですし、アトランタという大都市を抱えているだけに懸念が強いのでしょう。
ただ、方向としてはロックダウン緩和へ向かっていますから、金融緩和でジャブジャブになったマネーはリスクアセットの株、それに豪ドルへと流れやすくなるのではないでしょうか。
■米ドル/円は心肺停止。原因は30億ドルのオプション
今週(4月27日~)は、日米欧の中銀会合があります。
ちょうど今、日銀の結果が出ましたが、国債の買い入れ枠を80兆円から無制限に拡大とのことです。
リークされていた記事のとおりですね。
80兆円の枠でさえ使い切っていなかったので、無制限にしたところでセンチメントはともかく、実質的な影響はないのではと思います。
「セル・ザ・ファクト」なのか、発表直後はやや円高に動きましたが、大きな反応は見られないですね。
先週(4月20日~)の米ドル/円は107円から108円の小動きなレンジ。心肺停止状態ですね……。
心肺停止の原因は、107.50円のオプション。30億ドルあります。
これだけの規模だと、107.50円から大きく離れるのは難しい。
期限は明日(4月28日)なので、動き出すとしたら明日以降でしょうか。
逆にいえば、それまではオプションを利用した短期トレードができる、ということにもなります。
(出所:TradingView)
■米国でもマイナス金利導入の議論がある
4月29日(水)は、FOMC(米連邦公開市場委員会)です。
すでに危機対応策を打っていますから、大きな変更はないのでしょうが、前ミネアポリス連銀総裁のコチャラコタ氏がマイナス金利の導入を提唱しています。
今回やるかどうかはともかく、こういう話が出ること自体、米ドル高のイメージを持ちにくくなりますね。
4月30日(木)には、ECB(欧州中央銀行)理事会があります。
先週(4月20日~)、すでに緊急理事会を開き、資金供給の担保条件緩和を決めています。ジャンク級への格下げ懸念も出ているイタリア国債への配慮のようですね。
先週(4月20日~)は、北朝鮮労働党委員長の金正恩氏に対する健康不安説も話題となりました。
これはどう考えますか?
【参考記事】
●フラッシュ・クラッシュの再来はあるか? 北から米へのクリスマスプレゼントに注意(2019年12月23日、西原宏一&大橋ひろこ)
リスクオフのヘッドラインと受け取られているようですが、では、「金正恩が健康ならリスクオンなのか?」と言えば違うわけで、解釈しにくいですね。
後継争いなどから北朝鮮が混乱し、韓国経済に影響が出て韓国株市場が下落し、リスクオフへ――といった波及経路を想定しているのかもしれないですね。
KOSPI(韓国総合株価指数)を半導体市況の先行指標と見る人もいますから。
■コロナ相場のリーディングカレンシーは豪ドル
カレンダー的には、今週(4月27日~)からゴールデンウィーク。影響はありますか?
【参考記事】
●ゴールデンウィークは円高になるって本当? 過去20年を徹底検証。10連休はどうなる…
例年なら流動性が低下することで市場が荒れやすくなるのですが、銀行のディーラーがテレワークとなり、リスクテイクも控えています。
すでに流動性が欠けているわけですから、ゴールデンウィークだからといって変わるわけではないでしょう。
コモディティでは、銅が上がってきました。
(出所:TradingView)
平時なら巨額の財政支出には大きな抵抗がありますが、戦争状態に近い今ならいくらでも出せる。
実際に主要国は軒並み、巨額の経済対策を発表しています。
ロックダウン緩和へ向かい、市場が「アフターコロナ」を見始めれば、ジャブジャブになったマネーがコモディティや株へと流れるのでしょう。
今、為替市場で「リーディングカレンシー」となっているのが豪ドルです。アフターコロナを見据えた動きが強まれば、豪ドルの買われやすい地合いも続くのでしょう。
今週も引き続き、豪ドルを押し目買いしていきたいと思います。
【参考記事】
●原油暴落! 今日がクライマックスかも!? 為替市場のルールは、変わりつつある!(4月20日、西原宏一&大橋ひろこ)
●悪材料織り込みでNYダウの二番底はない!? 大きな流れは米ドル安。豪ドル買い継続へ(4月13日、西原宏一&大橋ひろこ)
●マーケットは「アフターコロナ」に注目! 大規模金融緩和であふれた資金はどこへ?(4月9日、西原宏一)
●日本の緊急事態宣言でセル・ザ・ファクトか。豪ドルの瞬間的な急騰は、誤発注だった!?(4月6日、西原宏一&大橋ひろこ)
●東京がロックダウンなら日本株はどうなる? 米ドル不足解消で米ドル売りが続きそう(3月30日、西原宏一&大橋ひろこ)
(構成/ミドルマン・高城泰)
【ザイFX!編集部からのお知らせ】
ザイFX!で人気の西原宏一さんと、ザイFX!編集部がお届けする有料メルマガ、それが「トレード戦略指令!(月額:6600円・税込)」です。
「トレード戦略指令!」は登録後10日間無料解約可能なので、初心者にもわかりやすいタイムリーな為替予想をはじめ、実践的な売買アドバイスやチャートによる相場分析などを、ぜひ体験してください。
株主:株式会社ダイヤモンド社(100%)
加入協会:一般社団法人日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)