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志摩力男の「マーケットの常識を疑え!」

日本は緊急事態を海外に合わせて解除!?
巨額の政府支出で危険な通貨は?

2020年05月07日(木)12:52公開 (2020年05月07日(木)12:52更新)
志摩力男

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■緊急事態宣言は5月末まで延長。自粛疲れも…

 中国の春秋戦国時代を描いた漫画作品『キングダム』が人気を博していますが、4月からTVアニメ第3シーズンが放映され始め、子供といっしょに毎週楽しみにしていました。

 ところが、第5話から突然休止。新型コロナウイルスの影響で、アニメ制作が滞り始めたからです。

 こんなところにまで新型コロナの影響が出てきたのかと思うと、驚きました。やはり、テレワークで作品は作れないのでしょうか。

緊急事態宣言が5月末まで延長されることが決定されました。

 なぜ延長を決めたのか、どのような条件がそろえば緊急事態宣言が解除されるのか、明確なことは示されていません。

 周囲を見ていると、先の見えない「自粛」に疲れてきているように見えます。

■日本は海外の状況次第で6月にも緊急事態を解除か

 政府はなぜ緊急事態解除の基準を示さないのか。

 それはおそらく日本の状況によってというより、海外の状況に合わせて緊急事態を解除するつもりだからではないでしょうか。

 4月7日(火)に緊急事態宣言を出す前、国内の感染者数も増えつつありましたが、欧州、そして米国もロックダウンに入っていったことが政府の背中を押したと思います。

 ロックダウンをすれば、感染者数は確実に減ります。

 最初の感染地である中国は、ロックダウンを曲がりなりにも成功させ、きれいな体になりました。

 ロックダウンを始めた以上、欧米諸国はいずれ感染者を激減させ、経済活動を再開させるときがやって来るでしょう。いずれやって来ます。

新型コロナウイルスの感染者数の推移(米国、スペイン、イタリア、中国)

(出所:TradingView

 もしその時、日本の感染者数が多く、経済活動を同時に再開できなかった場合、グローバルなサプライチェーンから弾き飛ばされてしまうリスクがあります。

 政府としては、そうした状況だけは避けたいと思っているでしょう。

 次のステージでは、感染抑制に成功し、きれいな体になった国々と、感染がコントロールできず、野放しになっている国々、2つのグループが生まれます。

 そして、感染抑制に成功した国同士で人は行き来しますが、感染がコントロールできない国々は孤立する、という状況が目に浮かびます。

 欧米各国は、段階を経つつもロックダウン解除の方向に動いています。

 おそらく、日本も来月(6月)には緊急事態宣言が解除され、正常化に向かっているでしょう。

■ロックダウン解除後の世界はどうなる?

 では、ロックダウン解除後の世界はどうなっているでしょうか。

 お隣、韓国では、これまで我慢していた生活の反動が出て、猛烈な消費、旅行需要が出てきているようです。

 しかし、中国では状況はかなり違うようです。旅行や買い物といった行動は戻ってきたとはいえ、ピーク時の3割減といったところのようです。

 いつ何時、二回目の感染爆発が起きてもおかしくはありません。それに対して備える必要があります。

 また、社会的距離をとる慣行が今後もおそらく続きます。

 これまで、たとえば50人で満席だった飲食店は、接近し合わないように座席に座るため、20人程度しか入場できないことになります。

 そうなると、収益的には当初見込みの半分程度ということになります。利益率の鈍化という問題が起きます。

 飲食店のみならず、その他の施設でも、社会的距離をとることにより、利益率が圧迫されます。つまり、低収益社会となります。

【参考記事】
新型コロナ不況とリーマン・ショックの違いは? 景気後退は厳しくなる。市場は楽観的すぎ!(4月8日、志摩力男)
新型コロナ後の世界はどうなる? ソフトバンクGの資産売却でポンド/円の売り!?(4月1日、志摩力男)

■各国政府の財政赤字は膨らみ続ける

 今回の危機で、各国政府は巨額の支出をして経済をサポートしました。

 その支出は、最終的には税金で賄われることになりますが、増税できるタイミングはずいぶん先になりそうです。

 そうなると、各国政府の財政赤字が膨らみ続けることになります。

 ただ、どんなに赤字が膨らんでも、今は各国の中央銀行が債券市場で大量購入し、債券市場を支えています。

 事実上、MMT(現代貨幣理論※)に半分足を突っ込む感じになりますが、これを市場がどのように判断するのか、注意して見ていかなければなりません。

(※編集部注:MMT(現代貨幣理論)とは、自国通貨を持つ国はいくらでも自国通貨建て国債を発行して債務を拡大できるため、財政の均衡より経済の均衡を目指すべきという理論のこと)

■新興国通貨の売買には注意が必要

 今は、新型コロナウイルスによるダメージを、どの国も同じように被っているため、国ごとの差が出てきませんが、時間の経過とともに、その差が顕著になるでしょう。

国家財政の状況が通貨のファンダメンタルズを決定する状況が来年(2021年)にも来そうです。

 財政の悪化した国の通貨は売られます。その意味では、新興国通貨の売買には注意が必要です。弱い国はどんどん付け入られます。

 経常赤字国であるトルコリラは対円で15円を割り込んできました。南アフリカランドも軟調です。

 こうした通貨は安易な場所でロングにしない方が良さそうです。

【参考記事】
原油価格暴落で逆オイルショックに!! トルコリラは対米ドル・対円で下落継続へ(4月22日、エミン・ユルマズ)
為替相場は当面、レンジが続きそう…。米ドル/円は106.80~109.30円程度を想定(4月16日、今井雅人)
トルコの新型コロナ感染拡大は鈍化傾向。トルコリラ/円は15.50円前後で下げ止まるか(4月15日、エミン・ユルマズ)
新型コロナによる市場のパニックは一服? トルコリラ相場は6-7月の感染収束がカギ(4月8日、エミン・ユルマズ)

トルコリラ/円 日足
トルコリラ/円 日足チャート

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:トルコリラ/円 日足

南アフリカランド/円 日足
南アフリカランド/円 日足チャート

(リアルタイムチャートはこちら → FXチャート&レート:南アフリカランド/円 日足


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