先週のパウエル議長の悲観的な発言によってマーケット全体がリスク回避に向かっているところへ、週末には中国北京では第2波の感染拡大が懸念された。それで週明けのマーケットではアジア時間からグローベックスセッションで米国株が大幅安となった。ドル円やユーロ円もリスク回避で下がるには下がったが、その下げ幅はとても小さいものにとどまった。
ただこの下げ過程で為替相場の反応薄だけではなく、米長期債の値動きのなさも顕著だった。ダウ平均で500ポイントも下がったら、10年債では1フルポイントくらい価格上昇してもよさそうなものだが、5ポイントほどしか上がらなかった。
金利市場だけは恐怖を感じていないのだという解釈もできるが、これはもう金利水準だけでは反応しきれないくらいに限界に近づいているということを示唆しているものと見られる。本来ならばリスク回避としょうして値上がりするから、ヘッジとしての安全資産である国債の存在価値がある。
それなのにヘッジ機能がなくなってしまうとなると、回避すべきリスクそのもの、つまり米国株ならば株そのものを売り払ってしまう必要性が出てくる。それが株価の下げにはバイアスがかかったように大きく振れるのではないだろうか。
市場の不安が増大しているところへ、ニューヨーク序盤でFRBが6000億ドル規模のMLSPの即刻開始を宣言。これで米国株は大幅安から脱することができた。そしてニューヨーク終盤ではFRBが個別企業の社債も購入すると表明したことで、米国株は一段高。行って来いの激しい展開となった。
そうした中でもドル円は小動きだった。ニューヨーク時間ではほんの20ポイントほどしか動いていない。下がるときに下がらなかったので、上げるべきときも上がらないというのが自然だろう。
今日は日銀の政策期待でリスクテークの勢いが強まった。企業支援向けの貸出枠を増やしたことで、昨日のFRBと同様のものを意識させたものと思われる。ドル円も前日の高値を抜けてきた。しかしこの流れが後も継続するかどうかは不確かである。
今晩はパウエル議長のトークがある。前回と同様に危機は短期的にはおさまらないとする姿勢を堅持するだろう。そのスタンスがあったから昨日の融資拡大となったわけだが、はたして今晩も好感できるかどうか。再び「そんなに足下は良くないのか」ということで、流れが反転するかもしれない。
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